今回は、筋トレにおいて「肩を痛めやすいタイプ」について解説していきます。
肩を痛める原因は色々とありますが、その中で「どうしようもない事」があります。
例えば、
- フォームが悪くて、肩を痛めた。
- 高重量にチャレンジして、肩を痛めた
など「明らかな原因」にあるものは対処が可能になります。
それとは違って、「原因がつかめない肩の痛み」に悩んでいる方も多くいます。
そんな「原因がつかめない肩の痛み」の根本が、実は「生まれつき肩を痛めやすい体質」なのかもしれません。
「生まれつき肩を痛めやすい」という方によく当てはまるのが、
- 肩を上げたり、動かしたりすると「ポコポコ」音がなる。
- 過去に「脱臼」や「スポーツ等の怪我」をしたことがある。
- 肩の関節に「挟み込まれた痛み」や「引っかかり」がある。
など当てはまる人は、「生まれつき肩を痛めやすい体質」かも知れません。
「生まれつきだから、もう治しようがない!」と諦めるのは早く、トレーニングで「肩の状態を変えること」が可能です。
今回は「なぜ生まれつき肩を痛めやすいのか?」や「肩の状態を改善するトレーニング」を紹介していきます。
- 筋トレで肩を痛めやすい「関節弛緩性」と「不安定性」とは?
- 肩の痛みの原因「関節弛緩・不安定」を改善するトレーニング ”協調性エクササイズ”
- 肩の痛みの原因「関節弛緩・不安定」を改善するトレーニング ”キューバンプレス”
- 筋トレで「肩を痛めやすい原因」を改善するトレーニング まとめ
筋トレで肩を痛めやすい「関節弛緩性」と「不安定性」とは?
筋トレで「肩を痛めやすい」は、2種類あります。
「関節の弛緩性」と「関節の不安定性」です。
簡単にこの2つの説明をしていきます。
・関節の弛緩性(しかんせい)
「関節の弛緩性」とは、「生まれつき関節がゆるい」ということです。
関節がゆるい原因には、
- 骨格の構造的に、はまり込みが悪い(骨格の形は皆違う)
- 関節を支える「靭帯・腱」がゆるい
この2つが多くの原因をしめます。
特に、女性の方は「関節弛緩性」が、多く見られ「関節が大きく動きすぎて、痛めてしまう」といったケースも多く見られます。
男性と比べ「骨格の作りが違う」ことと、「標準の筋肉量が違う」ことも理由の1つです。
・関節の不安定性
「関節不安定性」とは、「過去の怪我」や「筋力のバランスが悪い」といったことで起こりやすくなります。
特に、「スポーツでの怪我が原因で起こる不安定性」というものが多く、
- 野球で肩を痛めた
- ラグビーで肩を脱臼した
- 骨折・手術経験がある
といった方に、多く見られます。
「関節不安定性」とは読んで字の如く、「関節が不安定な状態」です。
動かすたびに、関節内でグラグラ揺れ、痛みに繋がる状態です。
つまり、『先程の「関節弛緩性」と同じ状態になっている』といえます。
この「関節弛緩性」「関節不安定性」の状態を改善するためには、2つの方法が存在します。
*手術という奥の手もありますが・・
その2つの方法が、
- 肩関節の周囲の「筋肉の強化」
- 肩関節の周囲の「協調性を上げる」
ということが、解決策になります。
その2点を「効率よく同時に鍛えるトレーニング方法」を2つ紹介していきます。
肩の痛みの原因「関節弛緩・不安定」を改善するトレーニング ”協調性エクササイズ”
この「協調性エクササイズ」では、「肩・肩甲骨・脊柱」の骨格の動きと、画像にある「肩〜背中」にかけての重要な筋肉が活性化されます。
それでは、トレーニング方法を見ていきます。
まずは「バンザイしてうつ伏せ」で寝ましょう。
画像では、片側ずつ動かしていきますが、動作を丁寧に行うために「片側ずつ」をオススメします。
次は少し「手を床から浮かせます」
*体を捻らないように注意
この時に、矢印方向に肩甲骨を動かすことを意識しましょう。
これが上手く出来ると「筋肉×骨格」の協調性が生まれます。
では、浮かした状態から動かしていきます。
「床から浮かせた手の高さを変えず」に、脇が90度開いている状態まで動かします。
この時に意識する点は、「3~4秒かけてゆっくり動かす」ことです。
浮かせた状態で動かすことにより、「肩・肩甲骨のインナーマッスル」が常に働いて、関節を安定させようとする状態になります。
常に「筋肉」が働いている状態をキープさせ、「骨格」が動くことにより「協調性」が高まります。
*「筋肉」が安定化のため常に働いている状態を、アイソメトリック収縮ともいいます。
「脇が90度」の位置で下ろし、次は「脇が90度」の位置から、床から手を浮かせて、始めます。
そしてゆっくりと上に上げていきましょう。
これを10往復しましょう。
トレーニング前のウォーミングアップにも有効です。
少し慣れてくると「500ミリのペットボトル」や「障害物」をおいて、筋肉に対する負荷を上げてみたり、可動域を広めるのもオススメです。
肩の痛みの原因「関節弛緩・不安定」を改善するトレーニング ”キューバンプレス”
先程よりもすこし難易度が上がります。
「協調性エクササイズ」では、主に「アイソメトリック収縮」が筋肉の働きでした。
ただ「関節弛緩性」や「関節不安定性」のある方には、より「強い安定感のある筋肉」が必要です。
「強い筋肉」を作るためには「筋肉の収縮〜伸張」といった大きな動きが必要です。
そして、特に大事な筋肉が「棘下筋」になります。
そんな「強い安定感のある棘下筋」+「動きの中での協調性」がつく、”キューバンプレス”について紹介します。
まずは、立膝になり、膝の下にチューブを入れます。
*チューブの強さによっては、立ってやっても大丈夫です。
手幅は「肩幅より少し広め」くらいです。
次に「肩90度外転」させます。
横から見た時に「肩と肘」が一直線になるようにします。
肘は90度曲がった状態です。
では、ここから「外旋」の”収縮”の動きで「棘下筋」に強い刺激を与えます。
先程の位置から、「90度外旋位」まで持っていきます。
このとき、肘は90度を保ちます。
この時に「肩甲骨と脇の間あたりに刺激」が来ていればバッチリです。
では、最後にこのまま、肩を上に上げます。
先程の位置から「真っ直ぐ上に上げる」イメージで行います。
頭の上に上げる必要はありません。
この状態は、「筋肉のアイソメトリック収縮+骨格の協調性」が強く作用する場面です。
そして肩を下ろしていくときは、
赤矢印の順番で、「上がってきたときの逆の動き」でスタートポジションに戻します。
これで「棘下筋」にも「伸張刺激」が与えられます。
10回程度行えるチューブの強さで、2セット行いましょう。
筋トレで「肩を痛めやすい原因」を改善するトレーニング まとめ
以上が、肩を痛めやすい「関節弛緩性・不安定性」を改善す「協調性エクササイズ」と「キューバンプレス」になります。
「関節弛緩性」や「関節不安定性」は、なかなか気づく事ができません。
その理由は、
・症状が「インピンジメント」と似ている
・生まれつきなので自覚症状が少なく、発見しにくい
といった事が挙げられます。
冒頭に出てきました、「関節弛緩性」を疑うキーワードの他に、「重い物をぶら下げて持った時に、横から見ると、肩にくぼみが出来る」場合は、ほぼ確定です。
検査方法としてあり「サルカスサイン」と呼ばれます。
ただ、「筋肉の安定感」と「骨格の協調性」を高めることで、肩の怪我はかなり防ぐことが出来ますので、是非取り入れてください。
そして、「キューバンプレス」が上手く出来るようになると、次は「オーバーヘッドプレス」に移行して、強い肩を作りましょう!
それでは、今日はここまで〜 次回、【腰痛を治す】殿筋・広背筋のトレーニング方法!運動連鎖を高める【ケーブルプルスルー】とは?おたのしみに!
関連記事