今回は【スクワットとニーイン】について筆者の考えを書いていきます。
「ニーインは絶対ダメ!」という方もいますが、
「ニーインは重量を挙げる為の技術」
でもあると、筆者は考えています。
ですがもちろん
「怪我のリスクも向上」します。
「重量が軽い間はニーインしないが、重くなってくるとニーインする」
という方がほとんどだと思います。
人間は極力無駄な動きはしないので、「高重量で起こる良い意味と、悪い意味」があります。
結論を言いますと、
競技者(重量挙げの選手など)は「重量を上げるための技術」
健康にトレーニングしたい方は「怪我のリスク」
として「ニーインを理解すること」が大切です。
では、
・ニーインが重量を上げる技術となる理由
・ニーインによる怪我のリスク
について見ていきましょう。
ニーインを知るための 「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」とは?
まずはニーインと関わりの深い「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」を見てみましょう。
股関節〜膝をまたぎ、股関節・膝関節の動きに関わります。
また、ニーアウト(膝が外に向く負荷)に対して、膝関節を外側から支える形で「動作の安定」を保ちます。
作用に注目してみます。
「膝関節の屈曲・伸展」とあり、正反対の動きの両方に関わります。
「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」は、膝関節の屈曲角度で作用が変わり、
膝関節屈曲90°以下で、「膝伸展」
膝伸展屈曲90°以上で、「膝屈曲」
といった、屈曲角90°を境目に作用が切り替わります。
この「膝関節90°以下で伸展に関わる」ことが「ニーインを起こす1つの要因」となります。
*詳しい解説は後ほど
次に「股関節の作用」です。
注目する点は「内旋」の作用で、ニーインすると必ず「股関節内旋方向」に力が働きます。
このときに強く働くのが「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」です。
では、ここで見た
「膝関節の伸展」と「股関節の内旋」から、ニーインのメリット・デメリットについてみていきましょう。
ニーインが重量を挙げる「技術」となる理由
まずはニーインのメリット「重量を挙げるための技術」です。
ニーインが技術となる理由として、
「股関節(骨盤)を持ち上げる」ことが出来ます。
ニーインのもっとも多い例としては「ボトムからの切り返した後」のタイミングです。
そのタイミングで、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を大きく使い「股関節内旋」すると、股関節を挙上方向に浮かせます。
挙上方向に股関節が浮くと、その時点でほとんどの場合「膝関節屈曲90°以下」になっています。
「膝関節屈曲90°以下」になると、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯が「膝伸展」に作用し挙上の手助けをします。
なので、
「ボトムから挙がらない」状態を、「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」をフル活用して、
「ニーインを使い挙上を手助けする」という立派な技術と言えます。
とても強い女子のパワーリフターの選手が、技術として使っているであろう動画です。
参考になると思います。
*直接聞いたわけでは無いですが、イメージはこの感じです。
ニーインが「怪我の原因」になる理由
次は、ニーインのデメリット「怪我の原因になる」点です。
筆者は競技者ではないので、ニーインは極力避けるように指導します。
「重量を扱う技術」としての反面、「怪我のリスク」が高くなります。
ニーインの流れを正面から見てみましょう。
この動画を見て、起こるであろう怪我の種類は主に、
・股関節の痛み・詰まり(強く内旋するため)
・膝の痛み(後ほど詳しく)
・腰の痛み(グッドモーニングになりやすい)
などが考えられます。
特に、
「膝の痛み」に対しては、「大腿筋膜張筋・腸脛靭帯」 の作用が喧嘩して起こる怪我となるので、少し詳しく見ていきましょう。
「大腿筋膜張筋のもう一つの作用」として、下腿の外旋があります。
これは膝の角度に関係なく、常に外旋方向に作用します。
「ニーインの股関節の動き」を思い出しましょう。
ニーインでは「股関節が内旋」します。
膝が内側に折れる方向です。
これは、「大腿筋膜張筋の力を強く使った結果」です。
そして、膝の下についている「下腿には外旋の力」が加わります。
角度に関係なしにです。
そうなると膝は内側に折れ、さらに内側を伸ばす方向(外旋)に捻る力が加わります。
膝の内側を支える「内側側副靱帯、半月板、鵞足」などに大きなストレスが加わります。
「ニーインは高重量時に出やすい」 という方は、それだけの負荷が膝にかかっている事を理解しておかないと、膝の大きな怪我に繋がるので注意しましょう。
【スクワットとニーイン】 まとめ
以上がスクワットで起きる、ニーインのメリット、デメリットになります。
どちらが良い悪いは本人が選ぶものです。
ですが、
技術として習得するには、必ず基礎が必要です。
参考動画でもあった通り、「強い筋肉」と「熟練されたフォーム」の中でやっと生み出せる物だと思います。
「ニーインの癖がある」と「ニーインを技術として使う」では大きな意味の違いがあります。
筆者の意見としては、
「重量をあげる技術」と「怪我のリスク」をトレードオフする環境でない限りは、ニーインは避けるべきと思います。
それでは、今日はここまで!次回、お楽しみに!