今回は「デッドリフトとオルタネイトグリップ」について書いていきます。
デッドリフトのグリップは、
の3種類が主流の握り方になります。
その中で「オルタネイトグリップ」には、
・素手で高重量を挙げやすい(握る力が先に負けない)
・フックグリップのような痛みを伴わない
・簡単にできる
といったメリットがあります。
ですが、
「簡単に出来る」が故、オルタネイトグリップを間違えて使うと、
・上腕二頭筋断裂
・肩関節後部の損傷
・肩甲骨内側の痛み
など、大きな怪我の原因になります。
怪我を防ぐためにも、オルタネイトグリップを見よう見まねでは無く、理論も合わせて覚えれると強力な武器となります。
なので今回は、
「デッドリフトで怪我をしないオルタネイトグリップ」
について紹介していきます。
オーバーハンドグリップとオルタネイトグリップの決定的な違い
「オーバーハンドグリップとオルタネイトグリップの違い」についてです。
2つのグリップの決定的な違いは、
「左右対称」か「左右非対称」か。
になります。
「オーバーハンドグリップ」は握る位置が”左右対称”に対して、
「オルタネイトグリップ」は逆手側が少し離れ”左右非対称”になります。
なぜなら、
オルタネイトグリップを「左右対称」で持つと怪我の原因になる
可能性が高くなるからです。
オルタネイトグリップを「左右非対称で握る理由」は、骨格の問題にあります。
では、骨格の問題について見ていきましょう。
デッドリフトのグリップを決める要因「外反肘」とは?
オルタネイトグリップを左右非対称で握る原因は「肘の構造」です。
肘には「外反肘」と呼ばれる角度が存在します。
手を表に向けたときに「肘が外側に開いている角度」です。
(オルタネイトグリップの逆手)
この角度は「正常で10°~15°」あります。
(女性はもう少し角度が大きいことも)
この角度の分だけ腕は外側に向いているので「逆手」で握る方は、少し外側を握らないといけません。
そうせずに「左右対称」で握ってしまうと、
逆手側は「肩内転・内旋でバーを握る」ことになります。
そうなることで
・肘が曲がりやすくなる
・肩後方、肩甲骨内側に強い伸張が加わる
ことになります。
では、
「肘が曲がる、肩後方、肩甲骨内側の伸張による怪我の例」を見ていきましょう。
デッドリフトのグリップミスで起こる怪我の例
オルタネイトグリップの逆手側は、
「握る位置」や「握っている向き」から肘が曲がりやすくなります。
ですが、
デッドリフトにおいて「肘は伸ばす」は絶対条件になります。
*肘を曲げるとことで「上腕二頭筋」が働きますが、デッドリフトのような高重量の負荷に耐えることは出来ません。
耐えれない結果「上腕二頭腱断裂」になります。
「デッドリフト 上腕二頭筋断裂」の実際の映像です。
逆手側の肘が曲がり、負荷に耐えれずに断裂しています。
次に怪我で多いのが、
・肩の後部の痛み
・肩甲骨内側の痛み
になります。
オルタネイトグリップを「左右均等」で握ることで「肩内転・内旋」が少し入ります。
肩が内旋した状態で、高重量の原因がかかることにより、肩後面についてある「三角筋後部、小円筋、棘下筋」にまで強い伸張が加わります。
断裂はしないものの、強い伸張負荷が加わることにより「痛みや動きの悪さ」に繋がります。
そして、
「肩が内転・内旋」にあると「肩甲骨は外転」しやすくなります。
そうなると「肩甲骨の内側に強い伸張」が加わり「肩甲骨内側の痛みの原因」になります。
肩の後部や、肩甲骨内側の動きが悪くなると、
ベンチプレスなどの他の種目にも大きな影響を及ぼし「肩全体の怪我のリスクを上げる」ことになりかねません。
なので「オルタネイトグリップの握り方の基準」について見ていきましょう。
オルタネイトグリップの正しい握り方
まず重要なのが、
デッドリフトでグリップを決める1つの要因として、
「足に干渉しすぎない」ことが大切です。
*足に干渉しすぎるのがダメな理由
握った際に、足と腕が強くぶつかるようではうまく力が伝わらない。
これを前提にした上で話を進めていきます。
オルタネイトグリップを使う上で正しい握り方を調べるには、
「自分の外反肘の角度を知る」が大切です。
簡単な方法としては、
「脇を軽く閉めて、肘を伸ばす」ことをしてもらうとわかります。
*先程の画像の姿勢
外側に開いた角度の分だけ、バーを握る位置を外側にズラします。
「基準は足から手がどれだけ離れたか」など覚えてもらうのもいいです。
「あれこれ考えるのがめんどくさい!」という方は、
指1~2本分外側を握るイメージでも構いません。
この意識を持っているだけで、冒頭でもあげた
・上腕二頭筋断裂
・肩後面、肩甲骨の痛み
のリスクを減らすことが可能になります。
はじめは「外反肘」に沿って握る位置を設定して、少しずつ自分に合う位置にアレンジていくことが、怪我のリスクを減らすことに繋がります。
デッドリフト バーの握り方 まとめ
以上が「オルタネイトグリップの注意点」になります。
基本中の基本である「骨格の問題」を知ることで、そこからアレンジしていくことが可能になります。
グリップも個人差が大きいのでオルタネイトグリップでも、
「左右均等で大丈夫!」
という方もいれば、
「握る位置を指3本くらいは左右差ある」
といった方がいてもおかしくありません。
なので、ベースの考えとして骨格の問題を考慮して、少しずつアレンジを加えていく形を取ってもらうことをオススメします。
見よう見真似では「その人にあった握り方」を真似している可能性があるので少し注意してみてください!
「デッドリフトと腰の痛み」
についてはこちらの記事がオススメです。
それでは今日はここまで!次回、お楽しみに!