今回は肩のトレーニングで行われる「バックプレス」について書いていきたいと思います。
この記事を書く前に「肩のトレーニングでバックプレスをやるか?」というアンケートをTwitterで取ったところ
肩のトレーニングで「バックプレス」は⁉️
— タロー(トレーニング強化書) (@health_life_day) October 21, 2019
参考にしたいので、理由も添えてリプライなど頂けると嬉しいです🤣
80%近く「やらない」といった結果になりました。
そしてリプライで多く集まった意見が
・肩の怪我(インピンジメント)などのリスクが高いのでやらない
・肩の可動域に不安があり怖い
・筋の収縮反応がフロントと変わらないと論文で見た
などの声がありました。
なので今回は、バックプレスを行うことでの「肩関節の怪我のリスク」について書いていきます。
*筆者もバックプレスを「やらない」側の意見なので、「やる」方にとって少しマイナス面の内容が目につくかもしれません。
肩の安全な可動域とバックプレスの負荷方向
バックプレスは、スミスマシンやバーベルで行ったり多少のフォームの差はありますが、「バーが頭の後ろを通る軌道」になります。
画像の「可動域」で行うには肩の関節への無理な負担はほぼ無いと思います。
ですが、この可動域で行っている例を見ることは非常に少なく、大きく可動域を取りすぎていることで「肩の怪我のリスクを高めている」ことが多く見られます。
可動域を大きく取ることで起こりやすい例を2種類紹介します。
バックプレスで怪我が多い理由① 肩の外旋、伸展可動域の限界
アンケートでも多くの意見を頂いた「肩の怪我」や「肩の怖さ」は、「肩の外旋可動域の限界を超えている」ことが原因が多く見られます。
フォームで比較して見てみましょう。
上側の可動域は「肩外転、外旋90°」をキープ出来ています。
「肩外転、外旋90°」のことを2ndポジションといいます。覚えておいて下さい。
この可動域は「肩の正常範囲の動き」です。
下側は、大きな可動域を取ろうとしている状態です。
深く肘が曲がり過ぎ、ピンク矢印方向に2ndポジションから伸展方向に逸脱しています。
この状態ならまだマシですが、下画像のように
水色方向に肘が動くことで大きな怪我のリスクになります。
水色矢印方向に動くことは「肩の外旋が90度を超える」ことになります。
ここで起こる肩の状態変化を「関節・靭帯の構造」から見ていきます。
肩のインピンジメント、関節唇損傷の原因「下関節上腕靭帯」
先程の「肩の外旋が90度を超える」ことで肩の状態変化が起こる。
と言いましたが、その1つの要因として「下関節上腕靭帯」の異常な緊張による骨頭の位置変化が見られます。
言葉では何のことかわからなくなるので、画像で説明します。
上腕骨頭〜肩甲骨に付く靭帯で、肩関節の下側を支えます。
次に、下関節上腕靭帯の役割を見ていきます。
下関節上腕靭帯は、肩外転、外旋で緊張が高まり「上腕骨頭の動きの安定化」に関与します。
緊張が高まることで肩の安定が上がりますが、
「90度以上の肩の過度外旋」により骨頭をインピンジメントを起こす方向に働かせます。
では「肩外転位+過度外旋」で起こる下関節上腕靭帯の働きを見ます。
過緊張を起こした下関節上腕靭帯は「骨頭を後上方に押し出す」働きをしてしまいます。
これにより肩峰間が短縮して「インピンジメント」を起こしやすくなったり、
肩甲骨の関節の受け皿部分に衝突し「関節唇損傷」が起きたりします。
バックプレスを行うことで
・肩の痛みを感じる
・関節部分に違和感を感じる
という方は、インピンジメントなどを起こしている可能性が高くなるので、可動域には注意が必要です。
余談ですが、野球選手の投球動作で似たような状態が起こることも少なくありません。
なので、オーバーヘッドスポーツをする方は特にバックプレスは気をつける必要があります。
バックプレスで怪我が多い理由② 腰椎の過伸展
次もよく見る「腰椎の過伸展」についてです。
バックプレスで「腰が痛む」方はかなりの原因で起こっています。
画像で比較していきます。
腰椎は「前弯」の形をしますが、右のように過伸展をすることで前弯が強くなります。
いわゆる反り腰をひどくした状態です。
腰椎の過伸展が起こる理由としては
・肩や肩甲骨、胸椎の柔軟性が不足している
・広く可動域を取りすぎようとした代償動作
・重量設定やフォームのミス
が多いと考えられます。
ただこれは全て改善可能です。
「上記の項目を見直し改善する」を繰り返しましょう。
*ベンチプレスで腰、肩が痛む方も同じことが言えます。
こちらの記事に「腰椎が伸展位で起こる腰痛」について書いています。
バックプレスの迷信 三角筋後部が効く?
「バックプレスが三角筋後部に効く」と聞きますが、様々な研究結果の記事がありますが「三角筋後部に優位に刺激がある」は見たことがありません。
*記事、論文については検索して見て下さい。
この記事を書くにあたって筆者含め数人にバックプレスを試してもらいましたが、いずれの意見も「収縮感では無く、詰まり感が強い」でした。
皆、柔軟性は問題無くトレーニング歴も長いので「詰まり感と収縮感がごちゃまぜになっているのか?」といった結論にも至りました。
これは1つの意見なので、一度試してもらい様々な意見をコメント等で頂けると嬉しいです。
肩のトレーニング バックプレス まとめ
以上が「バックプレスの怪我のリスク」になります。
バックプレスをすることが悪いのではなく、無闇に重量を増やしたり、可動域を広げることが危険です。
怪我をしないで行う際に意識するポイントは肩、腰を考慮し
・使用重量を落とす
・可動域を制限する
ことが重要だと思います。
ですが、重量や可動域を減らしてまでやるなら
オーバーヘッドプレスのほうが良いと筆者は考えています。
オーバーヘッドプレスについては下記の記事に書いてあるので参考にしてください。
それでは今日はここまで!次回、お楽しみに!