今回は、「肩甲骨の動きを良くする【僧帽筋・菱形筋】のトレーニング」について解説していきます。
肩甲骨の動きが悪いと、
- トレーニングで、肩の怪我のリスクが上がる
- 背中のトレーニングがうまく出来ない
- 肩こりや頭痛の原因になる
など、ある程度の認識は、皆さん共通で持っていると思います。
「肩甲骨の動き」というのは、今回ご紹介する「僧帽筋・菱形筋」以外にもたくさんの筋肉が関わることも良く知られています。
例:広背筋・肩甲挙筋など
ですが「僧帽筋・菱形筋」には、「他の肩甲骨の動きに関わる筋肉」には無い「非常に重要な役割」を持っています。
この2つの筋肉が持つ重要な役割は、「肩甲骨の内側を胸郭に固定させる」という役割です。
このキーワードでピンときた方は、読み進めてもらって構いませんが、「なんのことかよくわからない」方は、必ずこちらの記事を先に読んでいただくことをオススメします。
「前鋸筋」と「僧帽筋・菱形筋」はお互いに協調しあって「肩甲骨内側を胸郭に固定させる役割」を持ちます。
特に、
- 肩をよく怪我する
- トレーニング動作で肩甲骨がうまく動かない
- 肩甲骨の内側に浮きがある
といった方は、前鋸筋以外にも「僧帽筋・菱形筋」の機能低下が見られる可能性があります。
そんな「僧帽筋・菱形筋の機能低下を改善するトレーニング」を紹介していきます。
- 「前鋸筋・僧帽筋・菱形筋」の肩甲骨の動きに対する”共同の役割”
- 肩・肩甲骨の動きを良くするチューブトレーニング 【僧帽筋中・下部エクササイズ】
- 肩・肩甲骨の動きを良くするダンベルトレーニング【インクラインダンベルロウ】
- 肩・肩甲骨の動きを良くする【僧帽筋・菱形筋】のトレーニング まとめ
「前鋸筋・僧帽筋・菱形筋」の肩甲骨の動きに対する”共同の役割”
まずは「前鋸筋」の役割の復習です。
「前鋸筋」には、肩甲骨を外転させると共に、「肩甲骨内側を胸郭に固定」させる役割があります。
「僧帽筋・菱形筋」の役割を理解するためには、「どこに筋肉がついているか?」が大切なので、まずは位置関係を見ていきます。
「僧帽筋」は、首〜肩甲骨〜脊柱と広範囲に付き、
「菱形筋」は、肩甲骨の内側に付きます。
*菱形筋は、「大菱形筋」と「小菱形筋」の2つ存在する。
次に、上から見た視点で「僧帽筋・菱形筋」の「肩甲骨内側を胸郭に固定する」役割について見ていきます。
このように「僧帽筋・菱形筋」は、肩甲骨内側を胸郭に固定させる役割を持ちます。
「前鋸筋」と「僧帽筋・菱形筋」のバランスが取れていると、
肩甲骨がどの方向に動きても「浮かない」といったことが、可能になります。
しっかりとお互いが働くことにより、「肩のインピンジメント」を防ぎ、円滑に肩や肩甲骨を動かすことが可能になります。
逆にうまく働かないと、
- 肩のインピンジメント
- 肩・肩甲骨が動きにくくなる
などのトラブルが発生します。
それを解消する2つのエクササイズをこれから見ていきましょう。
肩・肩甲骨の動きを良くするチューブトレーニング 【僧帽筋中・下部エクササイズ】
まずは「僧帽筋中部・下部エクササイズ」を行います。
*胸郭に固定作用は、僧帽筋中部・下部がメイン
安定した位置にチューブを巻き付けます。
巻く高さは「デコの高さ」くらいでいいです。
そしてチューブを握り、「膝立ち」か「正座」になりましょう。
2つの角度でエクササイズを行います。
①肩の真横のラインにチューブ
②肩甲骨面上のラインにチューブ
肩の角度は、「外転100~120度」くらいでセットしましょう。
「肩甲骨面上」の詳しい説明はこちらの記事に書いています。
次に「僧帽筋中部・下部」を働かせるために、「肩甲骨の内転+下制」 を行います。
このときの注意点は、肘が曲がったりせずに「肩甲骨のみ動かす」ことです。
しっかりと「背中の真ん中にシワを作るイメージ」で行います。
「肩甲骨内転+下制」の位置で2秒ほど止めて、ゆっくり戻します。
これを15~20回繰り返しましょう。
これで「僧帽筋中部・下部」にしっかり収縮感が得られれば、バッチリです。
もし、なかなかいい感覚が得られない方は、
- 肘が曲がっていないか?
- 前腕に力が入っていないか?
- 肩があがっていないか?
- 体を捻っていないか?
を確認してみてください。
簡単にですが、参考動画を貼っておきます。
参考動画では、ケーブルで行っていますが、チューブとケーブルどちらでも可能です!
肩・肩甲骨の動きを良くするダンベルトレーニング【インクラインダンベルロウ】
次は、「僧帽筋・菱形筋」を同時に刺激することができる、「インクラインダンベルロウ」です。
「インクラインダンベルロウ」は、「肩甲骨の最大内転〜最大外転」を行うことができ、「僧帽筋・菱形筋」に最大収縮とストレッチをかけることが出来ます。
では、さっそくやり方をみていきましょう。
「ベンチ台を45度」にセットして、「大胸筋が半分くらいはみ出るようにセット」します。
そしてこの状態のから
- 肩:内旋(親指と人差指が向かい合うように)
- 肩甲骨:最大外転
- 胸椎:屈曲
で、スタートポジションに入ります。
このスタートポジションの姿勢が、もっとも「肩甲骨内側にストレッチ」をかけることが出来ます。
それでは、引いていきます。
トップポジションでは、
- 肩:中間位
- 肩甲骨:最大内転
- 胸椎:伸展
となります。
「肩甲骨最大内転」させることが重要です。
そのために「胸椎伸展」と「肩中間位」にします。
注意点は、
- 肩甲骨挙上させないこと
- 肘の引く方向で決めるのではなく、肩甲骨内転した結果、引ける方向に肘を引く意識を持つ
- 腰椎伸展すると、腰に負担が来るので、腰椎より上だけが動くイメージを持つ
の3点がとても大切です。
重さは、楽に動作できる重量設定にし、15〜20回を2セット程度行いましょう。
肩・肩甲骨の動きを良くする【僧帽筋・菱形筋】のトレーニング まとめ
以上が「僧帽筋・菱形筋」の機能改善トレーニングになります。
「インナーマッスル」や「アウターマッスル」は、よく知られトレーニング方法なども広まっていますが、「それらの筋肉が、うまく働ける位置に安定させる筋肉」の役割もとても大切です。
なので、前鋸筋と共に「肩甲骨内側を胸郭に固定する」という、肩の健康状態を維持するのに非常に大切な役割を持ちますので、週に2回程度は取り入れてみてください。
また、トレーニング動作自体が、とても動きが大きいので「ベンチプレス」で固まった筋肉に対しても非常に有効な動きとなります。
それでは、今日はここまで〜 次回おたのしみに!