今回は「スクワットで起こる膝の痛みと改善方法」について解説します。
膝の痛みは沢山の原因がありますが、そのうちの1つに足首の硬さが挙げられます。
特にスクワットの基本
・膝を開いてしゃがむ
・股関節と膝関節両方を適切に動かして自然にしゃがむ
・立ち上がり、しゃがみでニーインしていない
など、怪我を防ぐフォームを意識していても膝が痛いといった方は「足首の硬さ」が原因かも知れません。
なので今回は
▶足首の硬さと膝の痛みの関係
▶スクワットに必要な膝の動き
▶足首の動きの改善方法
といった流れで見ていきます。
膝関節の動きと腓腹筋
まずは膝の構造から見ていきます。
膝関節は「大腿骨+脛骨+膝蓋骨」3つの骨で構成されます。
動きは屈曲(曲げる)と伸展(伸ばす)に加えて、大腿骨と脛骨それぞれに回旋(捻り)があり、足首が硬いとすべての動きが制限されやすくなります。
※回旋は内に捻る「内旋」と外に捻る「外旋」の動きです。
回旋は脛骨か大腿骨どちらかで起こり、「足裏が地面に付いているかどうか」で変わります。
まずは足裏が付いていない(OKC)のパターンから見ます。
OKCと膝関節の動き
地面に足裏が接地していない場合、膝関節の「屈曲+脛骨の内旋」が起こります。
逆に伸展では、膝関節の「伸展+脛骨の外旋」が起こります。
これらの運動を「スクリューホームムーブメント」と呼び、詳細は別記事で解説しています。
ここでは膝関節の屈曲時には「脛骨」が内旋し、伸展時には外旋すると覚えておいてください。
次に足裏が地面に接地している(CKCと)のパターンを見ます。
CKCと膝関節の動き
地面に足裏が設置している場合、膝関節の「屈曲+大腿骨の外旋」が起こります。
逆に伸展では、膝関節の「伸展+大腿骨の内旋」が起こります。
先程と比較すると、
足裏が接地していない(OKC)では、膝の運動と共に脛骨の回旋が起こり、
足裏が接地している(CKC)では、膝の運動と共に大腿骨の回旋が起きます。
これは足裏が接地していると脛骨の回旋運動が起きないため、変わりに大腿骨が回旋して見かけ上での脛骨の回旋が起き、正常な膝関節の運動となります。
つまりスクワットで膝を痛めないためには「膝関節の屈曲+大腿骨の外旋」が重要ですが、この運動を制限する筋の1つが腓腹筋です。
腓腹筋の解剖学
腓腹筋は2つの起始を持ち、大腿骨内側上顆と外側上顆から踵骨隆起に付着します。
主な働きは「足関節の底屈」ですが、腓腹筋は膝関節の屈曲にも作用します。
つまり腓腹筋の動きが悪い(拘縮などがある)と、
膝関節の屈曲がうまく出来ない→大腿骨の外旋がうまく起きない→膝が正常に動かない
といった悪循環が生まれます。
そこで腓腹筋が硬いかどうかの検査としては「足関節の背屈可動域」を調べる検査が有効なので、その方法を紹介します。
足関節の評価方法
背屈可動域の調べ方は、
①壁から10cm離れた位置に立つ(拳1つ分を目安)
②片膝を曲げて壁に膝が付くか(踵が浮かないように)
③膝が付けば足関節背屈可動域は正常
両方試して左右差も見て下さい。
「痛い方の膝の足首だけ硬い」こともあるかも知れません。
特にスクワットでしゃがんだときに踵が浮く場合、足首が硬い可能性があるので注意が必要です。
足首の硬さを改善するストレッチ方法
腓腹筋を効率よくストレッチするためには、膝関節を伸ばした状態で足関節を背屈させます。
そこでリラックスした状態で行う必要があるので、段差を利用します。
壁や柱にもたれかかるように体重を掛けるとストレッチしやすいです。
腓腹筋が伸びた位置で20秒キープし、1〜2セット行いましょう。
ハムストリングスのストレッチ
その他にも、ハムストリングスと腓腹筋は交差するように付着するため、ハムストリングスの硬さも腓腹筋に影響します。
ハムストリングスのストレッチも合わせて行うと良いです。
足首の硬さと膝関節の痛み まとめ
腓腹筋の硬さはハムストリングスなどと違って検査をしないとわからないことが多く、膝が痛くなって初めて硬さに気が付くことも多いです。
なので今痛みが無くても、予防としてストレッチを取り組むことをオススメします。
今回紹介した膝の痛みは腓腹筋の硬さが原因でしたが、ハムストリングスが原因で膝を痛めるケースもあります。
特に「膝を前に出してはいけない」と教えられた方に多く、本来スクワット動作はしっかりと膝を前に出す必要があります。
それでも改善しない場合は「膝を痛めないためのハムストリングスを使うしゃがみ方」を参考にしてみてください。