今回は大腿部の痛み、痺れに関与する「大腿外側皮神経」について書いていきます。
例えば、
「大腿の外側、前面に痛みや痺れがでる」という症状の中で、
・腰を反ると症状が強くなる
・歩いていると痛み、しびれがひどくなる
・ベルトをつけると痛みが強くなる
という方は「大腿外側皮神経障害」を起こしている可能性があります。
トレーニーにも
・無理な増量を行っている
・腹筋を過剰にトレーニングしている
こういった方は注意が必要です。
その「大腿外側皮神経障害」が
・なぜ起こるのか?
・改善するための方法
を紹介していきます。
太もものしびれ、痛みの原因になる「大腿外側皮神経障害」とは?
まずは「大腿外側皮神経」を確認しています。
鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋の3つで三角形を作り、その三角形の名前を「スカルパ三角」と呼びます。
スカルパ三角内には、
「大腿動脈・大腿静脈・大腿神経」が三角形の中心付近を通ります。
そのスカルパ三角の中でも、「鼠径靭帯と縫工筋」の角の下を通過するのが「大腿外側皮神経」になります。
「大腿外側皮神経障害」は「鼠径靭帯、縫工筋の圧迫」が原因となり症状が現れる多くなります。
ですが1つ注意点として、
「腰椎由来の症状との鑑別」が必要になります。
なので冒頭のような症状がある方は、一度医療機関を受診してもらうことを勧めます。
では「鼠径靭帯」と「縫工筋」についてもう少し詳しく見ていきましょう。
鼠径靭帯と大腿外側皮神経障害
先に「鼠径靭帯」が見ていきます。
鼠径靭帯は「上前腸骨棘〜恥骨結合」を繋いでいる靭帯で、「外腹斜筋の停止腱」からなります。
このように外腹斜筋と密接な関係を持ちます。
外腹斜筋の作用は「体幹の屈曲や反対側への屈曲、回旋」があり、「体をに捻る腹筋のトレーニング」で強く作用します。
そしてトレーニングを続けケアを怠ると、外腹斜筋の動きが悪くなり、腱の部分でつながる「鼠径靭帯」にも影響を及ぼします。
「大腿外側皮神経」は、鼠径靭帯の下を通過するので外腹斜筋の動きを良くすることで、鼠径靭帯部での圧迫を軽減出来る可能性があります。
*アプローチ方法は後に紹介
縫工筋と大腿外側皮神経
次に「縫工筋」についてです。
縫工筋は、上前腸骨棘〜脛骨粗面に付着します。
作用としては、
股関節:屈曲、外転、外旋
膝関節:屈曲
下腿:内旋
を持ちます。
「あぐらをかく動き」が縫工筋の作用と覚えてもらうといいです。
もう一つ重要な作用として、縫工筋は膝の内側の安定性を高める「鵞足(がそく)」を構成します。
いわゆる「ニーイン」の動きを制御する働きがあります。
スクワットでニーインの癖がある方は、縫工筋に大きな負担がかかっている可能性があり、それが「大腿外側皮神経障害」に影響を及ぼしているかもしれません。
では先程の「外腹斜筋・鼠径靭帯」と「縫工筋」のケア方法を紹介していきます。
大腿外側皮神経障害を改善するストレッチ
外腹斜筋、鼠径靭帯のアプローチ
腹筋のストレッチは「うつ伏せの状態から上体を反らす」といったイメージを持った方が多いと思いますが、この姿勢は「大腿外側皮神経障害」を助長させることがあるのでオススメできません。
ではどうすればよいか?
「呼吸」を利用してストレッチをします。
呼吸を利用することで「胸郭」にも同時に動きをつけることが出来るので、
「大腿外側皮神経障害」の改善以外にも、肩、腰の怪我予防にも大きな効果があります。
方法はこちらの動画を見てもらうとわかりやすいと思います。
縫工筋へのアプローチ方法
次に「縫工筋」へのアプローチです。
縫工筋に対してストレッチを出来ると良いのですが、
・体を反る動き
・股関節の伸展する動き
を行うと「大腿外側皮神経」の痛みやしびれを増強させる可能性があるので、この場合はあまりストレッチは向きません。
「大腿外側皮神経」は、スカルパ三角の中でも「縫工筋の起始部」付近を通過するので、縫工筋の起始部を中心にアプローチすることが効果的です。
その方法を紹介していきます。
まずは縫工筋を触診します。
方法は、縫工筋単独の作用である「あぐらをかく」状態を作ります。
椅子の上に座りながら、足を組んでも構いません。
足を組んだ状態で「上前腸骨棘」に触れます。
骨盤の前側に出っ張っている骨で、簡単に触れることができます。
そこから指を少し下にズラすとモコっと隆起している筋肉を触れることでき、それが「縫工筋の起始部」になります。
縫工筋の起始部に触れることが出来たら、親指で圧迫しながら横に揺らします。
圧迫の強さは「少し強め」で行います。
少しずつ圧迫位置をずらしながら、30秒程度マッサージを行いましょう。
大腿外側皮神経障害 まとめ
以上が、大腿外側皮神経障害に対するアプローチ方法になります。
今回は原因筋となりやすい「外腹斜筋、鼠径靭帯、縫工筋」について紹介しましたが、必ず腰椎疾患との鑑別が必要ですので、医療機関で診察してもらうことをおすすめします。
腰椎疾患や、大腿外側皮神経障害を起こしている方は、特に「殿筋の柔軟性の低下」も見られやすいので、こちらのストレッチも取り入れてもらうことをオススメします。
それでは今日はここまで、次回おたのしみに!
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