今回は「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」について書いていきます。
「坐骨神経痛」は、
・お尻〜足にかけて痛み、しびれがある
・足に力が入りにくく、冷たい感覚がある
・歩行時や階段を登るとお尻に痛みがでる
このような症状が代表的です。
その「坐骨神経痛」の原因の1つに、お尻の筋肉の1つである「梨状筋(りじょうきん)」が深く関係しています。
「梨状筋が原因の坐骨神経痛」が起きやすい方の特徴は、
・反り腰で、股関節が硬い
・立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ姿勢が続くことが多い
などが見られます。
それらを改善するための
・坐骨神経と梨状筋の関係
・改善するためのストレッチ方法
を紹介していきます。
※腰椎ヘルニア等の可能性もありますので、坐骨神経痛のような症状がある方は一度医療機関を受信することをオススメします。
坐骨神経痛の原因となる「梨状筋」とは?
まずは、梨状筋について見ていきます。
梨状筋はお尻の大きな筋肉である「大殿筋」や「中殿筋」の奥に位置し「股関節のインナーマッスル」とも言われます。
ここでは紹介していませんが、股関節インナーマッスルは合計6つあり「外旋六筋」と呼ばれ「股関節の安定」に大きく関わっています。
では「梨状筋と坐骨神経の関係」を見てみます。
画像のように
坐骨神経は梨状筋の下「梨状筋下孔(りじょうきんかこう)」を通過します。
普通に坐骨神経が通過する分には何も問題ありませんが、
何らかの原因(冒頭の特徴など)で、梨状筋が坐骨神経を圧迫して、お尻や足に痛み、しびれが出ることを「梨状筋症候群」と言います。
※梨状筋下孔から坐骨神経が通過するパターンが90%で、「梨状筋上孔を通過する例」や、「梨状筋の中を通過する例」もあるが、とても稀で判別はほぼできない。
次に、「梨状筋が坐骨神経を圧迫する理由」を見ていきます。
殿部、足の痛み「梨状筋症候群」の原因とは?
梨状筋症候群の原因は「梨状筋の過緊張」「梨状筋の過負荷」があげられます。
・反り腰で、股関節の動きが悪い
→骨盤が前傾しやすく、股関節内旋(内股)のまま固定され「梨状筋が過緊張」
・立ちっぱなし、座りっぱなしの姿勢が日常で多い
→姿勢不良などで中殿筋が働かず、負荷が偏り「梨状筋の過負荷」
「梨状筋の過緊張」は、
股関節外旋の作用を持つ梨状筋が、うちまた姿勢の「股関節内旋」が続くと常に引っ張られている状態になり緊張が強くなります。
少し話が難しくなりますが「梨状筋の過負荷」を説明します。
梨状筋の過負荷に大きく関わってくるのが、
・骨盤の前傾
・中殿筋の働き
になります。
中殿筋と梨状筋について見てみます。
少しむずかしい言葉で書きましたが、画像のように
梨状筋は 「股関節がズレないようにハマりを良くする役割」
中殿筋は「股関節を力強く動かすのと、立ったり歩いたりするときの股間節、骨盤を安定させる役割」
このように役割分担をしています。
この「役割分担」のバランスが崩れると「梨状筋の過負荷」に繋がり、バランスを崩す原因の1つが「骨盤の前傾」になります。
それでは「骨盤の前傾によるバランスの崩れ」を見てみます。
「骨盤前傾」することで「梨状筋の位置が変化」します。
位置の変化によって「梨状筋の筋の走行が中殿筋に近づく」ことが起き、中殿筋に近づくということは「機能的安定」に強く関与します。
「機能的安定」は、歩行や立っている状態で股関節や骨盤を安定させることですが、本来は中殿筋がメインで行うことに梨状筋も積極的に参加してしまい「過負荷」となります。
「過緊張」と「過負荷」を起こした梨状筋が、梨状筋下孔を通る「坐骨神経」を圧迫し、お尻や太もも〜足裏までの痛みやしびれの症状を出します。
これらの原因から起こっている「梨状筋症候群」を改善するには、
・梨状筋の「過緊張」
・骨盤前傾による「過負荷」
この2つにアプローチする必要があります。
その2つの方法について紹介します。
梨状筋の過緊張を改善するストレッチ方法
まずは緊張している梨状筋に対してストレッチしていきます。
梨状筋のみでは無く、臀部の筋肉を数多く伸ばすことができる簡単な方法です。
伸びた位置で20秒キープして左右共に2セットずつ行いましょう。
とても簡単な方法ですが、非常に良い効果の高いストレッチです。
このストレッチが習慣化してくるともう少し種類を増やしたいので、
下記の動画にある
・ハムストリングスのストレッチ
・お尻のストレッチ
これらを追加して行ってみてください。
骨盤前傾を防ぎ、梨状筋に動きを付ける方法
次に梨状筋の「過負荷」についてのアプローチです。
骨盤前傾で起こっている過負荷に関しては「安静で改善はほぼ不可能」です。
なので、なるべく「正しい位置で動かす」ことで梨状筋の無駄な緊張をとり「収縮〜伸張」を繰り返し動かしながら、筋肉の状態を改善していく方法を取ります。
方法を紹介します。
番号毎に説明します。
①腹筋に力を入れ、肩を床から少し浮かす。
腹筋に力を入れる理由は「骨盤を後傾」させるためです。
「骨盤前傾」で、梨状筋が過負荷を起こすので防ぐために腹筋郡を使います。
骨盤前傾の方は腹筋が弱い方が多いので意識してみてください。
②足を少しあげ、壁に踵を付ける
足をあげ膝を伸ばした状態で踵を付けます。
踵を付ける理由としては後に行う運動のためです。
③足は真っ直ぐでは無く、内側に入れる
足をあげ内側に入れることで梨状筋が軽く伸張します。
足が親指側に少し倒しておきます。
このポジションで「股関節外旋」運動を行います。
イメージは壁につけた踵を軸に、小指側に足を捻ってみてください。
このときにしっかりとお尻の辺りの筋肉が動いていればOKです!
20回を2セット行いましょう。
順番はストレッチ→運動で行ってください。
坐骨神経痛の原因と解消方法 まとめ
以上が「梨状筋症候群と改善のアプローチ方法」です。
梨状筋症候群(坐骨神経痛)は、放っておいて治るものではなく、原因に対してしっかりとアプローチしてあげることが大切です。
そして今回紹介したアプローチ方法以外にも、様々なアプローチ方法が必要になります。
例えば、
・骨盤前傾の要因になる「腸腰筋、大腿直筋」のストレッチ
・ハムストリングスを中心とした「足後面」全体の柔軟性
などを並行して行うことで「坐骨神経痛」の原因を改善する可能性が高くなります。
その方法は下の動画で紹介しているので、是非ためしてみてください。
腸腰筋・大腿直筋のストレッチ
見ながらできる下半身のストレッチ
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