今回は「トレーニーに多い腰痛のメカニズム」について解説していきます。
トレーニングをしている人で、
「腰を痛めたことがない」
という方は圧倒的に少ないと思います。
その腰痛になった原因が、
・フォームが乱れた
・負荷を上げ無理をしすぎた
などなど、思い当たることは多いはずですが、
「腰の中がどうなって腰痛が起こっているのか?」
を考えることはあるでしょうか。
腰痛のメカニズムを知ることで、
・腰痛を我慢しながらトレーニングする
・いつかは治ると思っている
といった考えが、どれだけ危ないことかわかると思います。
「腰を反ったときに痛い」症状は腰痛例の中でもかなり多く、
その中の「椎間関節と多裂筋が原因の痛み」について解説していきます!
- 椎間関節と多裂筋が腰痛を起こしやすい理由
- 【椎間関節】腰を反ると痛みが出る理由
- 【多裂筋】腰の状態を変化させ痛みがでる理由
- 椎間関節、多裂筋の動きを確認する PLFテスト
- 椎間板の痛み、多裂筋の痛みの改善方法
- トレーニーと腰痛 まとめ
椎間関節と多裂筋が腰痛を起こしやすい理由
「椎間関節」と「多裂筋」の位置を確認します。
「椎間関節」は、背骨1つ1つを構成する「椎体」のつなぎ目の関節部分を指します。
「多裂筋」は、脊柱のほぼ全て(第4頚椎〜仙骨)まで付き、特に「腰部」で発達している筋肉です。
この2つに共通する点が
・「侵害受容器」の数が多い
・「脊髄神経後枝内側枝」が支配している
という点です。
少しわかりやすくするために、簡単に説明をしていきます。
「侵害受容器」=「痛みを感じるセンサー」です。
椎間関節、多裂筋には「他の組織より多くの侵害受容器」があります。
そしてもう一つ
「他の組織より痛みを感じやすい」といった特徴を持ちます。
つまり「椎間関節」と「多裂筋」は、
「ものすごく痛みに敏感で、痛みを感じやすい構造」になっています。
次に「脊髄神経後枝内側枝の支配」です。
要は「椎間関節」と「多裂筋」は、同じ神経が管理しています。
この神経は痛みを感じると「防御反応」を示します。
「防御反応」は多裂筋をガチガチに固めます。
「ギックリ腰」 で例えてみます。
ギックリ腰は椎間関節の炎症が起こっている例が多く「動けないほどの痛み」に襲われます。
そこで神経が「動いたら痛いから動かないようにしてしまおう」と、多裂筋をガチガチに固める「防御反応」を起こします。
ギックリ腰の経験がある方は「腰の筋肉がガチガチに固まる感覚」を覚えているかも知れません。
「防御反応」が起こると、どんどん痛みに敏感になります。
そうなると「慢性腰痛」に繋がり、最悪な悪循環です。
このように、
痛みに敏感な腰のケアを怠ると、
腰痛のループから抜け出せなくなります。
もう少し詳しく、
・椎間関節の動き
・多裂筋の動き
について見ていきましょう。
【椎間関節】腰を反ると痛みが出る理由
腰椎が動く上で重要なポイントは
「椎体・椎間板・椎間関節」がうまく負荷を分散して動いていることです。
腰椎中間位では、負荷が全体に分散し、
「腰椎屈曲位では、椎間板の負荷が増える」
「腰椎伸展位では、椎間関節の負荷が増える」
といった構造になっています。
腰椎伸展(腰を反る)際の動きとして
少し難しいですが、画像のような動きになります。
先程
「腰椎伸展(腰を反る)ときに椎間関節の負担が増える」
といいましたが、これは正常な負荷のかかり方です。
ですが、
椎間関節に正常な負荷以上がかかると
「腰を反った時の痛み」に繋がります。
その原因で多いのが、
・椎間板の動きが悪い、狭小化
・多裂筋の筋緊張(後に解説)
によって起こります。
「椎間板狭小化」は、字の通り椎間板が狭くなることです。
画像での診断になりますが、筆者の経験上
腰痛を持つほとんどの方に、椎間板の狭小化が見られます。
では、
「腰椎の狭小化」で起こる腰痛について見ていきましょう。
このように椎間板狭小化により回旋が制限され、
ただでさえ腰椎の伸展で負荷が増す「椎間関節」に余計な負荷がかかります。
痛みを感じやすい特徴を持つ椎間関節は、負荷が増えるとすぐに痛みとして反応がでます。
【多裂筋】腰の状態を変化させ痛みがでる理由
次に「多裂筋」を詳しく見ていきます。
「多裂筋」は下部の腰椎で発達していて、特に下部腰椎の痛みに関与しています。
作用としては、
体幹部を伸展、側屈、回旋などに関わりますが
ここで重要な作用は
・腰椎前弯の保持
・椎間関節の安定化
の2つがあります。
この2つの重要な作用は「腰痛と多裂筋の筋緊張」があると簡単に乱れます。
腰椎は「生理的弯曲」といい、元々少し反っている形(前弯)になっています。
ですが
多裂筋に筋緊張があれば「腰椎の前弯」を強め、いわゆる「反り腰」の状態になります。
そして
多裂筋が硬く、前弯が強い状態では「椎間関節の安定化」ではなく「椎間関節に負担」をかけます。
ここまでをまとめると、
【腰を反ると痛みが出る】
→「防御反応」で多裂筋の筋緊張強くなる
→椎間関節の動きのリズムも崩れる
→腰椎の運動リズムが崩れ負荷、痛みが大きくなる
といった悪循環になります。
この悪循環を断ち切る方法としては、
「椎間関節、多裂筋の動きの改善」が必要です。
ではそのチェック方法を見ていきましょう。
椎間関節、多裂筋の動きを確認する PLFテスト
椎間板の狭小化は画像診断でないと正確に判断できませんが、椎間関節、多裂筋の動きはある程度判断することができます。
腰椎の前弯が強くなり、椎間関節に負荷が強くかかっている場合は
「腰椎の後弯可動域」が低下していることが多いです。
では、後弯可動域を調べる「PLFテスト」を紹介します。
後弯可動域を調べる【PLFテスト】
このように「後弯可動域」を調べます。
PLFテストの注意点を書いていきます。
・下にある足は動かさない
・股関節はまっすぐ屈曲する(骨盤、腰痛の動きを出すため)
・屈曲は勢いをつけずゆっくり行う
逆に
・膝が胸に全然近づかない
・腰椎の後弯の動きが全く出ない
といった方は、かなりの確率で
「多裂筋の硬さ」と「椎間板の動きの悪さ」があり、腰の怪我のリスクがかなり高いです。
腰痛の後弯の動きがわかりにくい方は、GIFの腰の部分の動きを参考にしてもらうといいです。
椎間板の痛み、多裂筋の痛みの改善方法
椎間関節と多裂筋の動きを改善するためには
・後弯可動域を改善エクササイズ
・股関節の柔軟性の改善
が必要になります。
まずは、
「後弯可動域改善エクササイズ」から見ていきましょう。
腰の痛みの改善 後弯可動域改善エクササイズ
先程のPLFテストで、
・後弯可動域がほとんどなかった人
・後弯可動域がある程度取れている人
で少しやり方が変わります。
可動域が小さい人を「A」
可動域が大きい人を「B」
として解説します。
基本の姿勢として「頭を抱え、四つん這い」になります。
「A」は、肘の位置が肩の真下
「B」は、肘と膝をなるべく近づける
ように基本姿勢を作ります。
ここでの「A」と「B」は
A=脊柱は、ほぼまっすぐな状態
B=腰椎以外の脊柱は屈曲位
と違いがあります。
これは次の「後弯を出す動作」のやりやすさに関わります。
次に「腰椎を後弯させる動き」を行います。
イメージとして
「腹筋に力を入れ背中を丸める意識」
で行います。
「腰椎の後弯」がうまく出来ると、腰の部分が丸くなります。
少し画像ではわかりにくい部分もあるので、
「A」「B」共にGIFで確認します。
「A」の後弯エクササイズ
「B」の後弯エクササイズ
しっかりと後弯出来ると「多裂筋が軽く伸びている感覚」があります。
固まった多裂筋に少しずつ動きをつけるイメージです。
「後弯の感覚がわからない」場合には、
・天井から腰を引っ張られる
・お腹を地面から離す
といった意識を持ってもらうといいです。
「後弯エクササイズ」は、腹筋群にも負荷がかかるので
「腰痛で腹筋が出来ない」という方にも、
腹筋も鍛えれて、腰痛も改善する可能性が高くなる
といった一石二鳥のエクササイズです。
10回を2セット行いましょう!
腰痛を改善する 股関節のストレッチ
「後弯エクササイズ」と共に、椎間関節、多裂筋の痛み、動きを改善するには
「股関節周りの柔軟性を改善」が効果的です。
その理由は、
腰に直接刺激を与える(マッサージなど)なども1つの選択肢にはなりますが、痛みに敏感な腰に「良かれと思った刺激」が「痛みの反応を強める」可能性もあります。
なので、
腰椎と密接な動きの関係がある「股関節」の動きを改善することが重要です。
遠回りしているようですが、実は、痛みや動きの改善の近道になります。
こちらの動画で紹介しているストレッチがオススメです。
「殿筋・関節包に対するストレッチ」
「腸腰筋・大腿直筋のストレッチ」
トレーニーと腰痛 まとめ
以上が「腰を反ったときの痛み」になります。
筋トレで腰を痛めた場合は、腰痛の悪循環を断ち切るためケアは絶対に必要です。
「ほっとけば治る」では、ひどくなる一方です。
あまりにも状態が悪いと、下肢にまで痛みが放散します。
特に、ボディコンテストのブームがあり
ポージングのことは良く知りませんが、腰椎を伸展させ、骨盤を前傾させているような女性をよくみますが「かなり腰に負担の大きい動き」の認識は持っておいたほうが良さそうです。
動画リンクも貼っていますが「腰痛の改善」には「股関節の柔軟性」はかなり重要な要素なので、しっかりと股関節の動きをつけましょう。
それでは、今日はここまで!次回、おたのしみに!
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