今回は「広背筋の柔軟性が原因で起こる肩の痛み」について書いていきます。
「広背筋」は、背中の逆三角形を作る人気の高い筋肉で「懸垂」や「ラットプルダウン」などで鍛えている方が多いと思います。
ですが、鍛えているばかりでは
柔軟性が低下しやすく、肩の怪我の原因になります。
例えば、
・ショルダープレスで肩がポキポキ鳴ったり、痛みがある
・ダンベルプルオーバーで肩が詰まる、痛い
・ボディコンテストのポージングを常に行っている
という方は、広背筋の柔軟性が低下している可能性が高いです。
「なぜ広背筋が硬いと怪我の原因となるのか?」を
・肩の関節の可動域制限
・肩甲胸郭関節のバランスの乱れ
この2点から解説していきます。
広背筋と肩関節の動きの関係
広背筋は三角形のような形の筋肉で、
【起始】
①第7胸椎〜腰椎、仙椎の棘突起
②腸骨稜
③第10〜12肋骨
④肩甲骨の下角
【停止】
上腕骨小結節稜
多くの起始を持ち、筋肉の作用は主に
肩関節:「伸展」「内旋」「内転」に働きます。
「広背筋の柔軟性が低い」状態では、作用の反対の動きである「肩の屈曲、外転、外旋」の動きが制限され、肩甲骨の動きまで悪くなります。
では、簡単にチェック出来る方法を紹介します。
広背筋の柔軟性を確かめる方法
方法は
①小指の横側、前腕を合わせる
②合わせた部分を離さず、肩屈曲動作
③肘が顎のラインまで上がらないと、広背筋が硬い可能性が高い
肩を屈曲するときは、体を反ったり、前腕と小指が離れないように注意しましょう。
次に、広背筋の柔軟性低下で起こる「広背筋症候群」について見ていきます。
「広背筋症候群」と肩の痛みの関係
冒頭では
・ショルダープレス
・ダンベルプルオーバー
などで、肩に痛みがある場合は「広背筋の柔軟性の低下」の可能性があると言いました。
「広背筋の柔軟性が低下」すると
「ショルダープレス」では「肩関節外転、外旋」の可動域が制限され、ポジショニングを取ることすら難しくなります。
その状態で無理やり動作を行うことで「肩の痛み」の原因になったり、ポジションを上手く保とうと、体幹部を伸展(腰を反らしたり)する「代償動作」を行うことで、腰に負担がかかります。
「ダンベルプルオーバー」では、腕を上げる「肩屈曲」の動きが広背筋により制限されることで「肩の詰まりや、痛みの原因」になります。
このように「広背筋の柔軟性の低下」 で起こる
「肩関節の屈曲、外転、外旋可動域の低下」を「広背筋症候群」と言います。
※主に、投球障害で使われる言葉です。
「広背筋症候群」が見られると
・肩関節のインピンジメント
・巻き肩などの姿勢不良
・骨頭の前方偏位
など、様々な肩の怪我の原因となります。
先に広背筋のストレッチ方法を紹介した後に、「肩甲胸郭関節の筋力バランスの乱れ」について見ていきましょう。
広背筋の2種類のストレッチ方法
では、広背筋のストレッチを2種類紹介します。
【1つ目のストレッチ】
①ストレッチする腕を挙げ、肩から捻るように小指を鏡側に向ける(肩外旋)
②挙げた腕の反対側に体を倒し、少し矢印方向に体捻っても良い。
③脇の下に伸張感があれ20秒キープ
ストレッチ中は、深呼吸を意識すると「肋間筋」のストレッチにもなるので「呼吸」も意識してみて下さい。
【2つ目のストレッチ】
①適当な高さの台に肘を乗せる(小指が自分の顔に向くように)
②胸を床に近づけるように体を沈める
③広背筋に伸張を感じたら20秒キープ
※肩が詰まる場合は無理ない範囲で行って下さい。
次は「肩甲胸郭関節の筋力バランスの乱れ」についてです。
肩の痛みとフォースカップル機構
「広背筋症候群」は他にも悪影響を及ぼしやすく「肩甲胸郭関節の筋力バランスの乱れ」が起きやすい状態です。
その中でも、
肩と肩甲骨が正しく動くための「僧帽筋中・下部」「前鋸筋」のバランスが重要で、広背筋ばかり鍛えたり、柔軟性が低下して姿勢不良になることで「肩甲上腕リズム」が乱れます。
僧帽筋や、前鋸筋のバランスが上手く保たれることで「肩がスムーズに動くことが出来る」ことを「フォースカップル機構」といいます。
「フォースカップル機構」と「肩の痛みの改善方法」については、こちらの動画で解説していますので、是非見てもらうことをオススメします。
広背筋症候群と肩の痛み まとめ
以上が「広背筋症候群と肩の痛み」についてです。
野球などのオーバーヘッドスポーツでも「広背筋症候群」が原因で、肩、肘を痛める例も多いので、ストレッチ等ケアは欠かさないようにしてください。
また、冒頭で「ボディコンテストのポージング」について触れましたが、腰に手を当て広背筋に力を入れることは「巻き肩」や「柔軟性の低下」の原因になり、肩の怪我へと繋がりやすいので、日々のケアが重要です。
それでは、今日はここまで!次回、お楽しみに!
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