今回は「体幹の役割」について書いていきます。
今や、スポーツ現場やトレーニング施設などでも何かにつけて
「体幹が弱いから〜〜〜」や、
「体幹がうまく使えてないから〜〜〜」など、
体幹部の重要性について「それっぽい表現」をしていることをよく目にします。
「体幹が重要では無い!」といった意味ではなく、
体幹トレーニングをする本人がトレーニング時間を割くのに、体幹の役割について知らないと勿体ないと感じています。
*ほとんどが、〜〜がやっているから、〜〜にやったほうがいいと言われたから。と聞きます。
なので今回は、
「流行りの体幹トレーニングに流されないため」に、体幹筋の役割について解説していきたいと思います。
「体幹=お腹の筋肉」は間違い
まずは「体幹と呼ばれる場所」についてです。
よく聞くのが、
・お腹、腰回りのインナーマッスル
・腕と足を覗いた胴体部分
などの曖昧で間違えた表現です。
伝えやすさを考慮することで、この表現になったのなら仕方ないですが、
現状「体幹トレーニング」=「お腹周りのトレーニング」とされてるように感じます。
では「正しい表現は?」と聞かれれば、
「体幹筋」=「姿勢制御に関わる筋」
と表現するべきだと考えています。
ここで言う「姿勢制御」は、
「3つの運動軸に対して制御出来る」ということです。
(イメージは脊柱・肩甲胸郭関節・股関節の動き)
では、「姿勢制御の役割を持つ体幹筋」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
姿勢制御に関わる「体幹の役割」とは?
「姿勢制御」について体は、2つの機能を使います。
①受動的システム
「椎体、関節、関節包、靭帯」などが、自分の姿勢の「感覚情報」を脳に伝えます。
その情報を元に脳から姿勢を安定させたり、適切な運動パターンを伝達する役割があります。
例:体が横に傾いている→脳に感覚情報伝達
脳から適切な指令→体を真っ直ぐに戻せ
ですが、
受動的システムは「痛み」や「日常の不良姿勢」に影響を大きく受けます。
「痛み」では、脳に伝える感覚情報の質が下がったり、
「不良姿勢」では、筋緊張や筋の長さの変化が出て、適切な運動パターンが行えません。
②能動システム
「筋、腱、結合組織」などで、姿勢制御を行います。
筋は3つに分類され、
・ローカルスタビライザー(深層筋)
・グローバルスタビライザー(浅層筋)
・グローバルムーバー
に分かれます。
その3つを詳しく見ていきます。
ローカルスタビライザー(深層筋)の特徴
ローカルスタビライザーは「脊柱に近い位置にある筋」を指します。
〜特徴〜
大きな力は持たないが、感覚情報を伝える神経を多く持ち、負荷に対して体の剛性を高める準備をする。
脊柱・肩甲胸郭関節・股関節の動きの安定化
といった役割を持ちます。
そして「フィードフォワード機構」というものがあり、
「体を動かす時、どの筋肉よりも先に腹横筋が収縮する」と言われています。
これは一種の、体の剛性を高める準備といえます。
この「準備」は、スポーツでも重要で、
「次に行う運動に対して、筋活動のパターンを予測する」
といった役割も持ちます。
スポーツをしていた方なら
「頭で考えず、体で覚えろ!」など
言われたことがあると思います。
「頭で考えず」は置いといて、「体で覚える」ことは、技術的な要素も含みますが、
「フィードフォワード機構が上手く働くように、体で負荷のパターンを覚える」
といった意味では大切です。
・グローバルスタビライザー(浅層筋)の特徴
グローバルスタビライザーは、「体の中心を包み、体幹部の動きに坑がう大きな筋群」
を指します。
〜特徴〜
より大きな負荷に対して「姿勢制御」する。
特に「回旋」の動きに対して制御力を持つ。
といった役割を持ちます。
ローカルスタビライザーより強い姿勢制御の力を持つので、「低負荷」や「高負荷」のどちらにも動員されます。
なので、
グローバルスタビライザーには、「適切な反応」が求められます。
「痛みで反応が鈍れば、高負荷時に姿勢制御できない」となると、動作での怪我に繋がりやすくなります。
野球の「スイング動作での腰痛」などにも関わりが深いと思います。
グローバルムーバーの特徴
グローバルムーバーは「高重量、高負荷に対しての姿勢制御に関わる筋」を指します。
〜特徴〜
高負荷の状況での姿勢制御。
運動軸の方向に対する関節運動の加速。
といった役割を持ちます。
より高負荷に対する姿勢制御は、
スクワットやデッドリフトをイメージしてもらうと良いです。
大筋群を鍛えるアスリートやトレーニーは多いと思います。
ですが、
グローバルムーバーばかりのトレーニングをしていると、
本来ならローカルスタビライザーが対応する低負荷でも、グローバルムーバーが参加しやすくなる可能性があります。
不必要な筋、動きが発生するため、
俗に言う「体幹が使えていない」状態になる可能性があります。
体幹の役割 まとめ
以上が「体幹の役割と特徴」になります。
まとめると、
体幹の役割=動作の安定化(姿勢制御)
となります。
ローカルスタビライザーは、「感覚情報の伝達」
グローバルスタビライザーは、「回旋運動と、高負荷の制御」
グローバルムーバーは、「より強い負荷の制御と、関節運動の加速」
これらを知り、自分に必要な体幹トレーニングを取り入れていたでしょうか?
「誰かがやってたから」
「誰かに言われたから」
では、時間の無駄になります。
また、体幹のトレーニングを選択する重要なポイントとして、
「自分が3つのどの部分に弱さ」があるのかを知る必要があります。
それらの検査方法やトレーニング方法は、また後日更新します。
それでは今日はここまで! 次回おたのしみに!