今回はトレーニングの「単関節種目」に対しての筆者の考えを書いていきます。
トレーニングにおいて、
多関節種目(2つ以上の関節が動く種目)は、
「スクワット・ベンチプレス・デッドリフト」などがあげられ、
単関節種目(1つの関節しか動かない種目)は、
「アームカール・レッグエクステンション・レッグカール」などがあります。
その中で、後者の「単関節種目」は、
・対象筋をパンプさせる、効かせる
・対象筋に最大限「収縮・伸張」の刺激を与える
といった目的で行っている方が多いと思います。
「どの単関節種目をやるか?」については、どう考えてるでしょうか?
・追い込める種目を選択する?
・自分の弱点部位を補うために行う?
など、どれも正しい理由ですが1つ覚えてほしいことがあります。
「単関節種目」をうまく活用することで、
筋肉の状態を最適化し、怪我のリスクを減らす。
ということです。
では、
・筋肉の状態を最適化できる理由
・メニューの組み方の例
について見ていきましょう。
単関節種目が筋肉の状態をよくする理由
今回は筆者の経験談も踏まえ、
【デッドリフトとハムストリングス】をベースに解説していきます。
まずは、
「デッドリフトにおけるハムストリングスの役割」
を簡単に説明していきます。
このようにデッドリフトでの、ハムストリングスには
「骨盤・脊柱を良い位置に留めておく、アイソメトリック収縮」
「ロックアウトするための股関節伸展による、コンセントリック収縮」
が主に求められます。
ですが、
ハムストリングは「股関節伸展」のみではなく
「膝関節の屈曲」にも作用します。
*細かい作用の解説は省きます。
デッドリフトでは「股関節の伸展」として作用しますが「膝関節の屈曲」の作用は行いません。
繰り返しデッドリフトを行うことは、ハムストリングスから見ると「同一の筋刺激」に加え「小さな可動域で大きな力」が求められます。
繰り返し負荷が掛かることにより、
「ハムストリングスの局所的な負担」が蓄積し、その結果「肉離れ」などの怪我に繋がる可能性が非常に高くなります。
この「局所的な負担」を取り除くためには「小さな負荷で大きな可動域」を与えるのが有効です。
ストレッチや、マッサージなどのケアも大切ですが、
関節や筋肉を大きく動かすことが
「筋肉の状態」を改善することに貢献します。
*アクティブリカバリーのようなイメージ
「小さな負荷で大きな可動域」+「動きのなかったハムストリングスの膝屈曲作用」から考えると
”レッグカール”が有効です。
*特に、寝ながらできるマシン
レッグカール(単関節種目)には、
・ハムストリングスを最大限に収縮・伸張させる
・デッドリフトでは補えない膝関節の可動域を取れる
この2つから「怪我のリスクを減らす役割」を「単関節種目」が担っているといえます。
「怪我のリスクを減らすための単関節種目」は、
・追い込む、パンプさせる
といった意識は、さほど重要でないと考えています。
関節に負担をかけず、少し余裕をもって終えれる重量で15〜20回を1〜2セットで良いと思います。
*筆者はデッドリフトを多めにやっていたときに、ベンチプレスでハムストリングスに軽い肉離れが起きました。
幸い2日程度で痛みはなくなりましたが、断裂するリスクもあります。
その後、デッドリフトの頻度は変えていませんが、レッグカールを取り入れることでハムストリングスの状態は全く問題なくトレーニング出来ています。
このように「多関節種目」での怪我を防ぐためには「単関節種目」が重要と考えているので、他の例もいくつか紹介します。
怪我を防ぐための「多関節種目」+「単関節種目」
ここではいくつかの
「多関節種目」+「単関節種目」の例を挙げていきます。
「筋肥大」のためではなく「怪我の予防」のためということをご理解ください。
そして原則としては、
・多関節種目で補えない動きを行う
・対象筋に最大収縮〜伸張を与える
ことです。
では、見ていきましょう。
①ベンチプレス+ケーブルフライ
この組み合わせは、目的は違えど王道と思います。
簡単な説明になりますが、
バーベルは伸び縮みしないので、大胸筋や肩関節にかかる負荷は一定の負荷が多くなります。
ケーブルフライを組み合わせることで、
大胸筋に対して最大限収縮・伸張をかけることができるので
・大胸筋の怪我、胸骨部の痛み
・肩関節の拘縮(内旋位)
などの予防に効果的です。
ベンチプレス後に、大胸筋の各繊維方向に対して15~20回を1セット行いましょう。
②デッドリフト+ローイング
厳密に言えばローイングは多関節種目ではありませんが、そこは置いておきます。
デッドリフトは床から重量を引くため、背中には常にアイソメトリック収縮が求められます。
これも繰り返すことで「肩甲骨の内側」を中心に動きが悪くなるケースがあります。
そこで「ローイング」を行うことで、肩甲骨内側に収縮、伸張を掛けることが出来ます。
ここで指すローイングは、軌道の決まったマシーンではなく「ケーブルマシン」など出来ると理想です。
方法としては、
収縮時は「胸椎を伸展させ、肩甲骨を最大内転」
伸張時は「胸椎を屈曲させ、肩甲骨を最大外転」
を意識するだけです。
これも15~20回を1~2セット行いましょう。
③スクワット+クラムシェル
上記2つは、原則にしたがったものですが少しアレンジを加え
「必要な動きを作用させることで、怪我を予防する」ことも単関節種目の1つのメリットです。
「スクワットと股関節の痛み」の原因の1つとして、
「ボトムで上手く股関節が外旋していないor外旋筋が働いていない」
ことがあります。
それを「単関節種目のクラムシェル」を行うことで、
「股関節屈曲位での外旋動作」を活性化させることができ、股関節の痛みの原因を解消するきっかけになります。
上記2つは、
「トレーニング後」に行う単関節種目ですが、
クラムシェルのようなパターンは「トレーニング前」に行うことで効果を発揮します。
これも15~20回を1~2セット行いましょう。
クラムシェルのやり方はこちら
トレーニングの怪我を防ぐ「単関節種目の役割」 まとめ
トレーニングで怪我を防ぐ手段は、他にもいろいろありますが
コンディショニング目的で単関節種目を取り入れることで、より体の状態は良くなると考えています。
「どのように取り組めばいいかわからない」という方は、
まずは「2つの関節に作用する筋肉」を中心に行えばいいと思います。
例えば
ハムストリングスの股関節伸展と膝屈曲のように、
「大腿直筋には、股関節屈曲と膝伸展」
「下腿三頭筋には、足関節底屈と膝屈曲」
など色々な筋肉が2つの関節に作用します。
単関節種目を様々な視点から取り入れることは、解剖学を学ぶきっかけにもなるのでオススメです!
それでは、今日はここまで!次回お楽しみに!
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