【腸腰筋】スクワットの腰・股関節の痛みを改善するストレッチと検査方法

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 今回はスクワットに重要な「腸腰筋」について書いていきます。

 

腸腰筋に問題があると、スクワットのしゃがみ動作で

・股関節前面の詰まり感や痛み

・腰椎が安定せず、腰痛の原因に

・動作中に骨盤の位置を保てず腰痛の原因に

などの所見が見られます。

 

もちろんスクワット自体のフォームに原因があることも多いですが、腸腰筋の状態を見直すことも大切です。

 

なので今回は、

・腸腰筋の解剖学とスクワットの関係

・皆が腸腰筋をストレッチしてはいけない理由

・腸腰筋をうまく働かせる方法

この流れで見ていきます。

 

 

腸腰筋の解剖学

まずは腸腰筋の解剖学から見ていきます。

 

腸腰筋とは2つの筋肉を合わせた呼び方で、「腸骨筋」と「大腰筋」に分けることができます。

※記事内でも特別に分けて説明が必要ない場合は腸腰筋と書いています。

 

腸骨筋

起始:腸骨窩

停止:大腿骨の小転子

大腰筋

起始:第12胸椎〜第5腰椎、腰椎の横突起

停止:大腿骨の小転子

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腸腰筋の作用としては、

①股関節の屈曲と外旋

②骨盤の前傾(主に腸骨筋)

③腰椎の前弯(主に大腰筋)

④腰椎の安定化

⑤股関節の求心性を高める

などがあります。

 

①②③の作用には「一方が固定されていること」が条件となり、

①股関節の屈曲と外旋→骨盤と腰椎が固定

②③骨盤の前傾+腰椎の前弯→大腿骨が固定

のように、固定下でそれぞれの働きを持ちます。

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④腰椎の安定化

特に前後方向(矢状面)と横方向(前額面)に対して作用します。

 

前後方向の安定化では、脊柱の生理的弯曲の「腰椎の前弯」を保つ役割を腸腰筋が担っています。

左右方向では特に大腰筋が関与し、起始部である「腰椎の横突起」から付着するため、腰椎の側方安定性が高くなります。

ヨットの帆をイメージしてもらえると良いです。

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⑤股関節の求心性を高める

腸腰筋の筋の走行を見ると、「股関節の前方」を通っているのがわかります。

このような走行から、腸腰筋は股関節(大腿骨頭)が前に抜け出さないように前方から支え、関節の安定を高めています。

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このような安定性を高める構造や働きを「求心性」と言い、骨頭を関節窩に適切にはめ込む役割があります。

特に、股関節や肩関節などの動きの大きい「球関節」は関節のはまり込みが悪いため、骨頭を関節窩に適切にはめ込む「求心性」が重要です。
股関節の場合は「腸腰筋」や「深層外旋六筋」などが担い、肩関節では棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋などのインナーマッスルが求心性を高めます。

 

ここまで腸腰筋の解剖学について見てきたので、スクワットとの関連性を見てきます。

 

 

スクワットで起こるトラブルと腸腰筋の関係

スクワットの動作中に腸腰筋が上手く働くと、

・腰椎を安定させる

・股関節を安定させる

・膝を開いた状態でしゃがみやすくなる(股関節の外旋)

などのメリットがあります。

 

逆に腸腰筋が働かないことで、冒頭で挙げた所見が見られ、そのような問題が起こる理由として、「拘縮(筋肉が硬く、動きが悪い)」と「機能低下(筋の働きが不十分)」などが挙げられます。

消去法にはなりますが、まずは拘縮の可能性を消すことが重要なので、「腸腰筋拘縮の検査方法」を見ていきます。

 

 

腸腰筋の柔軟性検査 トーマステスト

拘縮に対する検査方法「トーマステスト」を紹介します。

 

上向きに寝た状態で片側の膝を両手で抱え、胸に近付けるように動かします。

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その際に、

・お尻が浮かずに無理なく胸に近付ければ「陰性」

・下側にあるお尻が浮けば「陽性」

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お尻が浮く理由は、膝を抱えて足を上げた反対側の骨盤と腰椎が腸腰筋に引っ張られる形になります。

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引っ張られた際に、柔軟性が適切であればお尻は浮かない「陰性」、拘縮があるとお尻が浮く「陽性」となります。

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トーマステストが陽性の場合、まずはストレッチ等で柔軟性を向上させることが重要です。

特にデスクワークなど、普段から「股関節屈曲位」の姿勢が続く方は、次に紹介するストレッチを入念に行ってください。

 

 

腸腰筋のストレッチ方法

片膝立ちになり、「肩−股関節−膝」を直線にします。

次に、お尻に力を入れて骨盤を後傾させます。(お尻の穴を締めるイメージ)

後傾させると鼠径部〜お腹の前面辺りに伸張感があれば、20秒間ストレッチします。

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バリエーションとして「腕を上げて体を横に倒す」方法もあり、腰椎の横突起に付着する大腰筋は、体を横に倒すことで、より伸張されます。

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 どこにも窮屈感が無ければ、無理のない範囲で体を横に倒してみてください。

 

【ストレッチの際の注意点】

腸腰筋のストレッチをする際に注意したいのが、脚(股関節)を後ろに引きすぎないことです。

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詳細は動画で説明していますが、後ろに引きすぎると「股関節前面の関節包」に負担が掛かりやすく、股関節の詰まり感や痛みの原因になることもあります。

解説動画はこちら↓

【腸腰筋】腰痛、股関節痛がひどくなる”間違えたストレッチ方法”と理由 - YouTube

 

次に「機能低下」の改善方法を紹介します。

 

 

腸腰筋を活性化させるエクササイズ

上記動画で紹介したチューブの方法も良いですが、より腸腰筋をピンポイントに働かせるためのエクササイズを紹介します。

 

まずは片足を伸ばし、もう一方の足でバランス取って座ります。

背筋を伸ばしたまま、足を上に挙げます。

この際に体が後ろに反らないように注意し、股関節の付け根から挙げるイメージを持ちます。

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初めは足が挙がる距離は気にせず、床から離すイメージだけで良いので、10回2セット程行いましょう。

 

この姿勢で行う理由は、腸腰筋の他にも「大腿直筋」が股関節の屈曲に関与します。

大腿直筋の筋の走行を考えると、股関節中間位から屈曲するほうが働きやすく、逆に股関節屈曲位からのでは筋が短縮した状態なので、関与しにくくなります。

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紹介しているエクササイズは股関節屈曲位から始まるので、腸腰筋を働かせるための姿勢を選択しています。

ただ、上記のエクササイズでは可動域が狭いので、先程の動画で紹介しているチューブエクササイズも行えると尚良いです。

 

更に腰椎の安定化を図るために「プランク」や「RDL」もオススメです。

 

【プランクのやり方】

【体幹トレーニング】トレーナーが教える自分に必要な種目とやり方 - YouTube

 

【RDLのフォーム解説】

【ルーマニアンデッドリフト】腰を痛めないフォームとハムストリングスの鍛え方【筋トレ】 - YouTube

 

 

スクワットと腸腰筋の働き まとめ

以上が、腸腰筋の働きとスクワットの関係です。

 

トレーニングにおいてはフォームが大きく影響しますが、「拘縮」や「機能低下」を見逃すと、そもそも良いフォームで出来なくなります。

なのでストレッチやエクササイズは面倒だと思わず、メインセットの時間を削ってでも毎回行うことで、怪我などのトラブルを減らすことが出来ます。

 

スクワットのフォーム解説記事

note.com

その他スクワット以外にも、トーマステストが陽性の場合「腰を反った際の痛み」にも繋がりやすく、腸腰筋の硬さが慢性腰痛の原因になります。

ベンチプレスで「アーチを作ると腰が痛い」場合は特に要注意です。

 

その場合は大腿直筋のストレッチも並行して行えると良いので、下記記事に紹介しているものを試してみてください。

www.health--life.com

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