殿筋、ハムの偏ったトレーニングと「股関節インピンジメント」の関係

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今回は、股関節の詰まり・痛みの原因になる「ハムストリングスと殿筋群の関係」について書いていきます。

 

股関節周りの問題は、

・スクワットでしゃがむときに詰まる、痛む

・股関節を曲げたときににポキポキ音がなる

などが多いと思います。

 

これらの解消方法は、過去の記事でも紹介した通り「股関節の安定性を高める」ことで、詰まりや痛みを改善することが多く見られます。

 

ですが、改善しない理由の1つに「ハムストリングスと殿筋群のバランスの悪さ」が考えられます。

 

「バランスの悪さ」とは、ハムストリングスと殿筋群は「股関節の伸展」といった共同の作用を持ちますが、ハムストリングスが優位(優先的)に働くと股関節が不安定になりやすく、詰まりや痛みの原因となります。

 

その理由について、

・ハムストリングスと殿筋群の関係

・詰まり、痛みを改善するためのエクササイズ

について紹介していきます

 

 

 

ハムストリングスと殿筋の解剖学

まずは、殿筋群(大殿筋、中殿筋)とハムストリングスの位置関係と、共同作用である「股関節伸展」について見ていきます。

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起始、停止は覚えなくて良いので、イメージを持っておく。

 

起始

停止

大殿筋

腸骨稜〜尾骨

腰背筋膜、中殿筋膜

殿筋粗面

腸脛靭帯

中殿筋

腸骨外面

大転子外側面

 

 

 

ハムストリングス

 

 

半腱様筋

坐骨結節

脛骨粗面の内側

半膜様筋

坐骨結節

脛骨粗面の内側後面

大腿二頭筋(長頭)

坐骨結節

腓骨頭の外側


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2つの位置関係を確認できれば、次に「股関節の詰まり、痛みの原因」の説明をします。

 

ハムストリングスと殿筋から見る「股関節伸展の違い」 

股関節の詰まり、痛みは様々な要因がありますが「股関節のインピンジメント 」を起こしている可能性が高くなります。

 

股関節のインピンジメントとは

「骨と骨の間に筋肉などが挟まれて痛み、詰まり感が出る」

といった、肩でもよく起こる症状が股関節でも起こります。

 

股関節のインピンジメントの原因は

・柔軟性不足

・股関節を安定させる筋の筋力低下

などが比較的に多く、股関節を安定させる役割を持つ「殿筋」が上手く働いていないことが問題になります。

 

更に、冒頭で言った「ハムストリングスが優位」になってしまうと、股関節のインピンジメントを助長させる形になります。

 

その理由が、

同じ「股関節伸展」の役割を持つが、殿筋とハムスリングスでは「大腿骨頭への影響」が大きく違う

ことが挙げられます。

なかなか言葉だけではイメージが湧きにくいと思うので、画像と共に解説していきます。

 

①起始・停止から見た2つの筋肉の違い

まずは大まかに分別した起始、停止から見ていきます。

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ここでの大きな違いは「大腿骨に直接ついているのか?」です。

詳しいことは後ほど解説しますが、

ハムストリングスは「骨盤〜下腿」につくため、殿筋のような「直接的に大腿骨に作用」はしません。

 

②股関節の伸展と大腿骨頭の動き

次に、共通の作用である「股関節の伸展はどのようにして起こっているのか?」を見ていきます。

※本来なら股関節屈曲位から見るべきですが、画像の都合上中間位からになります。

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起始、停止から見る2つの「股関節伸展の違い」は

・ハムストリングス:下腿が矢印方向に動くことで股関節伸展
・殿筋:大腿骨が矢印方向に動くことで股関節伸展

になります。

 

先程、ハムストリングスが優位に働くことが「股関節インピンジメントの原因」と言いましたが、その理由は「大腿骨頭の前方移動」が挙げられます。

 

「大腿骨頭の前方移動」が起こることで、「大腿骨頭と寛骨臼(受け皿)」の部分でインピンジメントが起きやすくなります。

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では、ハムストリングスと大腿骨頭前方移動の関係について見ていきます。

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骨盤〜下腿に向かって付着し「大腿骨に直接的に作用しない」ため、下腿を後ろに引くと大腿骨頭が前に移動しやすくなります。

 

ですが、殿筋がうまく働くことで「股関節の前方移動」を防いでくれるので、次に殿筋の役割を見ていきます

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殿筋は直接大腿骨に作用するため「股関節を正しい位置にキープ」しておく役割ももちます。

他にも靭帯の役割等で前方移動は防ぐことも出来ますが、インピンジメントを回避するためには「殿筋の働き」が欠かせません。

 

では、「殿筋の働きを良くするエクササイズ」を2つ紹介していきます。

 

股関節の詰まり、痛みを改善するエクササイズ

エクササイズを紹介する前に1つ重要なことが「股関節を曲げた状態(屈曲位)」で、エクササイズを行うことです。

 

その理由は単純に、

スクワットでの詰まり、痛みが出るのは「股関節が曲がった状態」だからです。

 

逆に「殿筋(お尻)のトレーニング」としてよく知られる

「ヒップスラスト」「バックキック」のみでは、改善どころか悪化する可能性もあります。

※フォームミスや、殿筋が上手く働かない場合

 

なので今回は股関節屈曲位で出来る

①クラムシェル

②ボトムストップチューブスクワット

の2種類を紹介します。

 

クラムシェル

クラムシェルをすることで「股関節のインナーマッスル」 と言われる「外旋六筋」を中心に殿筋群に刺激を与えることが出来ます。

肩と同じで、インナーマッスルが上手く働かないとインピンジメントを起こします。

 

では、クラムシェルのやり方を紹介します。

 

①膝上にチューブをはめ、横向きで股関節を45°曲げる

②踵、足の親指同士を合わせ、離れないようにする

③拳2個分を目安に膝を開く(股関節外旋運動)

④15~20回くらいでキツくなるよう負荷設定して2セット行う。

※踵、親指が離れないように注意する

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動作範囲のイメージ例

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フォームのミスの例で多いのが「膝を離しすぎている」「体を捻っている」例です。

殿筋にうまく刺激が入らないので注意しましょう。

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ボトムストップチューブスクワット

より実践的なエクササイズになり、今の時期は自宅でも積極的に取り入れてもらうことをオススメします。

 

やり方は、

①膝上にチューブを巻き、いつもの足幅にする

②膝を外に向けお尻に力を入れる(股関節外旋)

↑足で地面を裂くイメージも良い

③開いた膝の間にお尻を落とすようにしゃがむ

④膝を外に開きながら、ボトムで5秒キープ(お尻に刺激感じればOK)

⑤立ち上がり、10回を2セット繰り返す

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「股関節が曲がった位置」で殿筋をしっかり働かせるためのエクササイズです。

スクワットでニーイン癖のある方や、腰を痛めた方にもオススメです。

しゃがむ深さは1つの目安なので「スムーズにしゃがめる範囲」でOKです。

 

膝を外に開くイメージをGIFで貼っておきます。

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背中が極端に曲がったり、ヤンキー座りにならないように注意してください。

 

 

股関節の詰まり、痛み改善方法 まとめ

以上が、ハムストリングと殿筋による股関節の詰まり、痛みについてです。

 

股関節の不調の原因は柔軟性不足などでも起こりますが、

・股関節屈曲位で殿筋がしっかり働ける

・ハムストリングスが優位にならないトレーニングバランス

この2点がとても大切です。

 

ヒップスラストや、バックキックは股関節伸展で殿筋を使うトレーニングなので、今回のクラムシェルや、ボトムスクワットを積極的に取り入れてみてください。

 

股関節インピンジメントであまりにも痛みが強い場合は無理せず、安静にしてください。

また、自分が「股関節インピンジメントかどうか?」を検査する方法↓は、こちらの記事を読んでもらえると検査方法を紹介しています。 

www.health--life.com

 それでは今日はここまで!次回、お楽しみに〜!

 

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