今回は、オーバーヘッドプレスで起こる「腰痛」と「肩の痛み」について書いていきます。
以前の記事で、オーバーヘッドプレスで腰痛が起こる原因は
・体幹部、殿部の筋の弱さ
・脊柱起立筋の過緊張
この2つを解説しました。
それでも改善しない方は、広背筋が硬いことで「腰痛」や「肩の痛み」が起きている可能性があります。
「広背筋が硬い人の特徴」としては
・慢性的な腰痛がある
・肩のインピンジメントがある
など、その他のトレーニングでも痛みを感じることが多い印象です。
なので、今回は
・広背筋の硬さで起こる「腰と肩の障害」
・広背筋の硬さを改善するストレッチ方法
を紹介していきます。
広背筋の硬さと肩の痛みの関係
まずは広背筋について見ていきます。
広背筋は「腰〜肩」にかけて幅広く付きます。
「作用(広背筋の働き)」に注目すると、
肩関節:内転、内旋、伸展
肩甲骨:下方回旋、下制
となります。
肩をバンザイする動き(オーバーヘッドプレスの動作)は
肩関節:屈曲、外転
肩甲骨:上方回旋、挙上
となり、広背筋の作用と「真逆の運動」となります。
つまり「広背筋が硬い」ことで、
「肩、肩甲骨の動きに制限がかかり、オーバーヘッドプレスの挙上動作が上手くできない」状態となります。
更には、肩内旋は「巻き肩」を誘発し、肩インピンジメントのリスクも高くなることで、無理や挙上した結果「肩の怪我」が多くなります。
広背筋の硬さと腰の痛みの関係
先程、広背筋が硬いと「肩、肩甲骨の動きに制限がかかり、オーバーヘッドプレスの挙上動作ができない」と書きましたが、
特に「トップポジション(挙げきった位置)で腰が痛む」方は、広背筋の硬さの影響が見られます。
トップポジションで痛む原因として、広背筋が硬いので
肩、肩甲骨の運動を「腰を反る」ことで代償しているからです。
※代償運動・・・
バンザイして耳の横まで肩を上げることが難しいため、体を反らして「見かけ上」肩が上がっているように見せている
上記の「代償動作」が、オーバーヘッドプレスの動作中に起こることで「腰痛の原因」となります。
この例は「トップポジションでの腰痛」ですが、挙上初期で痛む方はこちらの記事を参考にしてください。
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オーバーヘッドプレスで怪我をしないためのストレッチ
今まで見てきた「肩の痛み」や「腰の痛み」は、根本的には「広背筋の硬さ」が原因なので、それを取り除いていけば改善の可能性は高いので、ストレッチ方法を紹介します。
広背筋のストレッチ①
【やり方】
①四つん這いになり、手のひらを上に向ける
②手のひらを上に向けた腕を前に伸ばす(体の中心上に)
③踵にお尻をつけるように体重を後ろにかける
④広背筋が伸びている感覚があれば20秒キープして、1~2セット行う。
手を上に向けることで「肩外旋位」になるので、内旋の作用を持つ「広背筋」に、よりしっかりとストレッチをかけることができます。
広背筋のストレッチ②
①チューブを持ち、手のひらを顔に向ける
②四つん這いで台に肘を乗せる(肘の距離は拳1~2個分広げる)
③胸を地面につけるように体を沈める
④広背筋のストレッチと、胸椎の伸展を感じたら20秒キープ
肩に詰まり感や、痛みがある場合は無理ない範囲で行ってください。
先程のストレッチより「胸椎の伸展」の動きが出やすいので、オーバーヘッドプレス前だけではなく、「ベンチプレスでアーチが組めない方」にもオススメのストレッチです。
オーバーヘッドプレスと肩、腰の怪我 まとめ
以上が「広背筋の硬さで起こる肩の痛みと腰痛」になります。
広背筋は、ベンチプレスでの「肩甲骨の下制、下方回旋」にも使われ、デットリフトの背中を固める(下制、下方回旋)動きにも重要です。
ですが、「同じ方向の運動」ばかり繰り返していると、広背筋は硬くなり、作用の反対方向の「肩関節挙上」などの動きの妨げになります。
そして「巻き肩」などの姿勢不良の原因にもなるので、日常のストレッチとして行うことが、トレーニング全体での怪我予防にもなります。
最後に「広背筋が硬い」ことと「広背筋を上手く使う」ことは別と知っておいてください。
広背筋を上手く使うことで体幹部の安定性を高めたり、腰痛の予防にもなります。
それらの「広背筋を使うことでの役割」は、下記動画のフォーム解説を見てもらえると理解しやすいかなと思います。