今回は、スクワットの「膝の痛みとつま先の向き」について書いていきます。
スクワットでの「つま先の向き」は、教科書的には「30°外向き」が一般的です。
ですが、骨格にも「個人差」があり、全員が当てはまるわけではありません。
特にスクワット動作で
・膝の内側が痛む
・ニーイン(膝が内に入る)
が見られる方は「つま先の向き」を見直すのも良いかも知れません。
それでは、
・つま先の向きを決める「骨格の要因」
・自分に合う「つま先の向きの決め方」
について見ていきましょう。
つま先を30°外に向ける理由と「脛骨の外捻」とは?
まずは、教科書通りの「つま先を30°外に向ける理由」を見ていきます。
30°外に向けるのは
・しゃがみやすいから
・膝の向きと、つま先の向きを揃える指標になる
などの説明されることが多いと思います。
間違ってはいませんが「なぜ?」を考えると
『つま先を外に向ける一番の理由は「脛骨の外捻」が関与しているから』となります。
脛骨の外捻とは、
「脛骨の近位端(膝側)」に対して、「脛骨の遠位端(足首側)」は、「外捻(外向きの捻れ)」していることを指します。
画像の通り、脛骨は足首に向かい外捻し、その角度は「20°〜40°」になります。
外捻の角度の分、”つま先を外向きに向けることで軸が合う”ので「外捻30°」を平均とし、教科書的には「つま先を30°外に向ける」となります。
なんとなく「つま先を外向ける」ことが理解できたと思うので、
次に感覚的な「しゃがみやすさ」についても見ていきます。
スクワットの「しゃがみやすさ」と、距腿関節の運動軸
「つま先を外に向ける」方がしゃがみやすいのは「感覚的」だけではなく、「骨格的」にもしゃがみやすくなります。
その理由の1つが、
つま先を外に向けることで「距腿関節の運動軸が合う」ことがあげられます。
まずは「距腿関節」と、
運動軸に関与する「内果(内くるぶし)」「外果(外くるぶし)を見てみます。
この2つは「足首の背屈(上にあげる)」運動に大きく関与して、「スクワットのしゃがみやすさ」にも直結します。
次に「距腿関節の運動軸と、つま先の向き」についてです。
「距腿関節の運動軸」は、内果が前〜外果が後ろの位置関係から「少しつま先を外に向ける」ことで、足首の背屈運動がスムーズに行いやすくなります。
これらの「骨格要素」が、つま先を外に向けることでの「感覚的なしゃがみやすさ」に繋がります。
実際に足首をまっすぐ上にあげるのと、少しつま先を外に向けて上げるのを試してもらうと、実感しやすいと思います。
スクワットのつま先の向きを「脛骨の外捻」から決める方法
「脛骨の外捻」を正確に計測することはとても難しいので、「2つの方法」を使いざっくりと判断してスクワットに応用していきます。
※大腿骨の形状の影響も受けるが、今回は脛骨を中心に考える
まず1つ目が「つま先まっすぐで立ち、膝の向きを見る」ことです。
基本的には「脛骨の外捻が強い」方が、相対的に「膝が内を向きやすい」形になります。
※Hのマークを基準にしてもらうとわかりやすいです。
膝が内向きの状態では、「ニーインの原因」「膝、股関節痛の原因」になります。
なので、外捻が強い方は「つま先を外に向ける」ことで、「膝の向きをまっすぐ」にします。
そうすることで、
膝の構造上の安定も得やすく、スクワットのニーインも防ぎやすくなります。
このように「膝の向きを安定した位置」にすると、次は実際のしゃがみ動作に応用します。
スクワットに応用する、2つ目の方法は
「つま先をあげ、地面につけると同時に膝を曲げる」ことです。
GIFのように、一度つま先をあげ、下ろすと同時に膝を曲げてみてください。
ここで「しゃがみやすい感覚」があれば、「つま先の向き、膝の向き」を実際のスクワットにも応用することで、しゃがみ動作がスムーズにいくかも知れません。
スクワットフォームのつま先の向きと膝の痛み まとめ
以上が「脛骨の外捻とスクワットの関係」になります。
教科書通りの「つま先の向きは30°」には、「脛骨の外捻」「距腿関節の運動軸」「膝の位置関係」など、深い意味合いがあります。
脛骨の外捻は左右差も出やすいので、「膝が痛む」「ニーイン癖がある」という方は、一度「つま先の向きの見直し」をしてみると良いかも知れません。
また、今回は「脛骨」のみから考えましたが「大腿骨」の影響を大きく受けるので、次回はそれらについても解説したいと思います。
その他の「骨格から考えるスクワットフォーム」の記事も見ておくと、フォーム、パフォーマンスの向上に繋がると思うので、是非読んで見てください。