「肩甲骨の機能不全による肩の怪我」について
と見ていきました。
今回は「肩甲骨機能不全の上部型」について見ていきたいと思います。
「肩甲骨機能不全の上部型」に多い外見の特徴は、
・肩の高さに左右差がある(機能不全側が高い)
・リラックス時に肩内旋が強い(機能不全側)
が見られます。
そして、なりやすい人の特徴が
・腕を耳の横まで挙げれない
・肩鎖関節・肩関節の怪我をしたことがある
・サイドレイズをかなりやり込んでいる
といった方です。
では、
「肩甲骨機能不全の下部型とはどのような状態なのか?」
「機能不全を改善するストレッチとトレーニング」
について見ていきましょう。
- 肩の怪我につながる「肩甲骨の機能不全」を見分ける検査方法
- 肩甲骨機能不全により「肩甲上腕リズム」が破綻する原因
- 肩・肩甲骨の動きを良くする 「広背筋エクササイズ」
- 三角筋・インナーマッスルの協調性をあげるエクササイズ
- 筋力差で起こる肩甲上腕リズムの乱れと肩の怪我 まとめ
肩の怪我につながる「肩甲骨の機能不全」を見分ける検査方法
まずは「肩・肩甲骨が上手く連動して動くか?」という点を検査していきます。
やり方は、
「気をつけ→前ならえ→上まで肩を挙げる」だけです。
*このときに耳の横につける必要はありません。
では、実際に「良い例」と「悪い例」をみていきましょう。
「肩甲上腕リズム」は、肩と肩甲骨が共同で動くことで、スムーズな肩関節の動きをするための機能ですが、
悪い例では、肩の動き(肩甲上腕リズム)が正常に行われず、肩甲骨の挙上で代償します。
*少し大げさに表現しています。
「なぜ、そのようなことが起こるのか?」
という点についてみていきましょう。
肩甲骨機能不全により「肩甲上腕リズム」が破綻する原因
基本的に「肩甲上腕リズム」が破綻する例として多いのは、
・怪我をして痛みが強い時期
・痛みが引いてきた動かし始め
・筋力差、動きの癖による慢性的な破綻
の3パターンがよく見られます。
肩の怪我をしたばかりは、痛みを回避しようとし代償運動があるので「肩甲上腕リズム」が破綻するのは当然といえます。
痛みが引いてきた頃も、まだ代償運動の癖が残っているので仕方がありません。
ですが、
「筋力差・動きの癖での破綻」は、日々のトレーニングが引き起こします。
例えば、
・肩甲骨を動かさないサイドレイズを頻繁に行う
・肩のインナーのトレーニングを行わない
などで「筋力差・動きの癖」がつきやすくなります。
「肩甲上腕リズム」で大切な点は、
「僧帽筋=三角筋=インナー」のバランスが取れていることです。
ですが、偏ったトレーニングをすることで
「僧帽筋>三角筋>インナー」などのように、
筋力差が明らかになり、本来の肩甲上腕リズムの動きを行えず、「三角筋・インナー」の動きを「僧帽筋」が肩甲骨の早期挙上を行い代償します。
その結果、バンザイ動作で肩甲骨挙上の代償動作が見られます。
この「代償動作」が続くことで、肩の大きな怪我につながるリスクが高くなります。
それを改善するための
・ストレッチ方法
・トレーニング方法
について見ていきましょう。
肩・肩甲骨の動きを良くする 「広背筋エクササイズ」
まずは、肩と肩甲骨の動きを良くするために「広背筋」にアプローチしていきます。
「なぜ、広背筋なのか?」を簡単に説明します。
広背筋は、
・肩関節 内旋
・肩関節 伸展
の作用を持ちます。
肩甲上腕リズムが破綻している例では、
「肩関節 内旋」で、筋・関節の動きが固まっていることが多く、
肩を挙げる「肩関節 屈曲」の動作に対して、反対の作用を持つ「肩関節 伸展筋」の柔軟性の低下があり、屈曲動作の妨げになっている事が多く見られます。
必然的に、
肩甲上腕リズムの乱れ=広背筋の柔軟性が低下する
とも言えます。
なので今回は「広背筋に動きをつけるエクササイズ」を紹介します。
先に、GIFを見てみましょう。
それでは、やり方を解説していきます。
ベンチ台か椅子を用意します。
「膝・股関節・肘が90°」になるようにして「広背筋にストレッチ」をかけます。
小指同士を向き合わせることにより、「肩外旋」しやすくなりストレッチ効果が上がります。
次は「広背筋を収縮」させます。
しっかりと胸を張りながら「肘をベンチに押し込み」 広背筋の作用である「肩伸展」の動作を行います。
上手く感覚をつかめない方は、
肘を、骨盤や膝の方向に押し込むなど、少しイメージを変えてみるのも1つです。
このような形で、
「肩の動き+制限となっている広背筋に動きをつける」ことが大切です。
また、このエクササイズは
「胸椎の連動」も入るため、肩の動きをつけるには、尚効果的です。
10回を2セット行いましょう。
*プルオーバーが上手く出来ない方にも、良い練習方法になります。
三角筋・インナーマッスルの協調性をあげるエクササイズ
固まっていた広背筋に動きを付けたところで、次は、
「筋力差のある三角筋・インナーマッスルの協調性をあげるトレーニング」をやっていきます。
まず用意するものは、チューブと軽いダンベル(1kg〜2kg)です。
では、早速やり方を見ていきましょう。
これが一連の動作となります。
耳の横に挙げない理由としては、
「三角筋と僧帽筋を強く関与させないため」です。
ただでさえ筋力差があるので、
インナーがしっかりと働ける状態を保ちつつ、三角筋と僧帽筋は代償では無い、本来の働きをさせるイメージです。
肩甲骨挙上が代償で出ないように注意しながら、
10~15回を丁寧に2セット行いましょう。
肩の動きの安定性とインナーマッスルを上手く使うための肩甲骨面については、こちらの記事で詳しく解説しています。
筋力差で起こる肩甲上腕リズムの乱れと肩の怪我 まとめ
以上が「肩甲骨上部型で起きる肩の怪我」についてです。
肩の筋力差は自分ではなかなか気付きにくく、肩甲骨の代償動作も当たり前になれば尚更、修正が難しくなります。
なので、補助的な運動として今回のエクササイズを高頻度で取り組むことにより、極端な筋力差が生まれにくくなります。
特に、
・サイドレイズ大好き!!
という方は、必ず取り入れましょう。
また、肩に負担の少ないサイドレイズを取り入れるのも「肩甲上腕リズムの破綻」を避けるのに重要なので、是非こちらの記事を参考にしてみてください。
それでは今日はここまで〜 次回、おたのしみに!