今回は「ケーブルフェイスプル」の紹介をします。
「ケーブルフェイスプル」といえば、「三角筋後部」を鍛える種目をして、よく知られています。
「ただ、三角筋後部を鍛えるだけでは、もったいない」と筆者は考えています。
「ケーブルフェイスプル」をやる最大のメリットは、
”全身の連動をあげ、怪我をしない肩を作り上げる”
だと考えています。
特に「ベンチプレス」や「肩のトレーニング」で、
- 肩を痛めたことがあったり、不安が残る
- インナーのトレーニングは”めんどくさい”からやらない
- 前回記事の「上腕骨頭前方偏位」に当てはまる
といった方は、「肩の怪我を無くすために」特に、取り入れてもらいたいトレーニングになります。
それでは、肩の痛みを無くし、動きの連動をあげる「ケーブルフェイスプル」の紹介をしていきます。
*前回記事の内容も含まれますので、まだ読んでない方は、先にこちらの記事を読んでもらうと内容理解がしやすくなります。
- 【ケーブルフェイスプル】で強化できる筋肉と、骨格の連動とは?
- 【ケーブルフェイスプル】三角筋・僧帽筋・肩甲骨の連動をあげるやり方 セッティング編
- 【ケーブルフェイスプル】三角筋・僧帽筋・肩甲骨の連動をあげるやり方
- 【フェイスプル】”三角筋・僧帽筋・肩甲骨の連動”と肩を鍛える方法【ケーブル】 まとめ
【ケーブルフェイスプル】で強化できる筋肉と、骨格の連動とは?
今回紹介する「骨格の連動」を使いながら行う「ケーブルフェイスプル」では、主に5つの筋肉をメインに鍛えることが出来ます。
「三角筋後部・中部・僧帽筋・棘下筋・小円筋」の5つです。
フェイスプルではよく、「なるべく肩甲骨を動かさず、三角筋後部にピンポイントに刺激をいれる!」と言われたりします。
フェイスプルを「単関節運動(1つの関節しか動かないこと)」と、捉えていれば正しいことかも知れませんが、動きの流れから考えると「複合関節」の運動です。
最低でも「肘関節・肩関節」の2関節は、大きく動いています。
「複合関節の運動」であれば、全身の連動を使うことが大切になります。
フォームの詳細はあとで説明しますが、例を上げると
- 肩甲骨を最大限動かす
- 下半身の動きも連動させる
などが大切で、一般にされている「ケーブルフェイスプル」とは少し変わります。
なぜ、「トレーニング部位と直接関係のない、下半身まで動かすのか?」と思う方もいると思いますが、その理由は、2つあります。
- 「骨格の連動」をあげ、筋肉に刺激を与えるためには、全身を動かすこと。
- 全身を動かすことによる、可動域の向上。
この2点がもたらすメリットが、「怪我をしない肩」を作り上げます。
それでは、実際に「ケーブルフェイスプル」のフォームについて、見て行きましょう。
*施設や自宅に「ケーブルがない!」といった方は、チューブでも代用可能です。
【ケーブルフェイスプル】三角筋・僧帽筋・肩甲骨の連動をあげるやり方 セッティング編
まずは「セッティング」の方法を見ていきます。
つけるアタッチメントは、2つ持ち手のあるロープがおすすめです。
では、次にロープの「握り方」について見ていきます。
①ロープの部分を「小指・薬指・中指」で握ります。
②丸い部分を「人差し指」で握ります。
「親指」は、反対側にかけておきましょう。
③握り終えたら「少し腕を内に捻る」ようにします。
これは、「肩を軽く内旋」させるためです。
「なぜこの握り方なのか?」の理由は2つあります。
- 「肩の内旋・外旋」がやりやすくなる
- 「人差し指」で握ると「腕撓骨筋」が関与しやすく、前腕に疲労がきやすい
「腕撓骨筋」には、”手首を橈屈”といい、親指側に手首を返す働きがあります。
「フェイスプル」の動作はじめに人差し指で握っていると「橈屈」が起こりやすくなります。
他にも動きとして意識する点が多いので、ここは意識を無くすために握り方を工夫します。
では、実際に動作をみていきましょう。
【ケーブルフェイスプル】三角筋・僧帽筋・肩甲骨の連動をあげるやり方
まずは、スタートポジションです。
ケーブルと肩のラインが真っ直ぐのまま、3,4歩下がりましょう。
丸印のある関節の動きがポイントとなります。
上から、
- 肩:内旋位
- 肩甲骨:外転位
- 胸椎:屈曲
- 股関節:屈曲(リラックス)
- 膝関節:屈曲(リラックス)
です。
体全体を「丸くする」ようなイメージです。
特に重要なポイントが「下半身のリラックス」です。
リラックスし、丸くすることで「背中〜肩」のストレッチを得ることが出来ます。
続いて動作に入ります。
- 肩:中間位
- 肩甲骨:中間位
- 胸椎:ニュートラル(自然な位置)
- 股関節:ニュートラル
- 膝関節:軽度屈曲(リラックス)
骨格全体の動きが、スタートポジションと比べ「伸展」に寄ります。
肩の中間位が分かりづらい方は「拳が天井を向く」のと「親指と人差し指が自分の顔の方を向く」といったイメージで引いてもらうといいです。
最後にロックアウトポジションです。
引いてくる方向は「でこ」あたりに向けて、引きましょう。
- 肩:外旋90度(肘と肩のライン揃える)
- 肩甲骨:内転(胸椎・肩と連動)
- 胸椎:伸展
- 股関節:伸展
- 膝関節:ニュートラル
ここで、大きく骨格の動きが「伸展」に変わります。
まず上からポイントを説明していきます。
- 肩:しっかりと90度外旋まで持っていき、「棘下筋・小円筋」に最大収縮をかける。
- 肩甲骨:しっかりと寄せる。寄せないと最大の可動域が出ない。
- 胸椎:伸展が出来ないと、「骨格の連動」が出ない。
- 股関節:伸展位でロック。デッドリフトのロックアウトのイメージ
- 膝関節:ニュートラル。デッドリフトのロックアウトのイメージ
以上の点が「骨格の意識」になります。
もう一度同じ画像を見ます。
全体から見て大切なポイントは、
- 腰椎で伸展しないこと
- 肘と肩のラインが揃うこと(棘下筋の働きを上げるため)
- 肩が耳より後ろになること(肩の伸展の可動域が増え、三角筋に最大収縮を得る。)このためには、「胸椎の伸展」が重要。
次にストレッチがかかるポジションです。
- 肩:内旋位
- 肩甲骨:最大外転位
- 胸椎:屈曲
- 股関節:屈曲(リラックス)
- 膝関節:屈曲(リラックス)
右側の丸印の「上背部〜肩の後ろ」を”目一杯ストレッチ”をかけてください。
しっかりとストレッチをかけることで、動きの固まりやすい「肩甲骨の内側」や「肩の後方関節包〜インナー」にかけてストレッチをかけることが出来ます。
動きの悪い部分には「マッサージ」などで、筋肉の緊張をとるのも1つの手ですが、「大きく動かす」ことにより「動きをつける」方が、”トレーニング+柔軟性向上”の相乗効果が得られます。
そして、またはじめの動作から「骨格の連動」を意識しながら繰り返し行います!
最後に全体のイメージを貼っておきます。
【フェイスプル】”三角筋・僧帽筋・肩甲骨の連動”と肩を鍛える方法【ケーブル】 まとめ
以上が、「三角筋後部・中部・僧帽筋・棘下筋・小円筋」を鍛え、「骨格連動」と「筋肉の動きをつける」ケーブルフェイスプルになります。
「ベンチプレスをよくされる方」や、「インナーだけのトレーニングがめんどくさい」「肩を怪我したことがあるor怪我したくない方」は是非、高頻度で取り入れてみてください。
毎トレーニング後に行ってでも構いません。
「15~20レップ」程度行える重量で、丁寧に「骨格の連動」を意識しながらやりましょう。
セット数は、2セット程度で大丈夫です。
最後にいちばん重要なポイントの確認です。
- 全身を大きく動かすこと
- しっかりと「上背部」と「肩後部」にストレッチをかけること
これさえ守れば「怪我のしない、強い肩作り」に、貢献してくれる素晴らしい種目です。
それでは、今日はここまで〜 次回、トレーニングで「肩を痛めやすい」は生まれつき?”関節の緩さ”と怪我の予防法お楽しみに〜