今回は、肩、肩甲骨の痛みの原因になる「肩甲背神経痛」について書いていきます。
「肩甲骨神経」は、頚椎から出る神経の一部で、
・長時間の同じ姿勢(デスクワーク)
・猫背、巻き肩などの姿勢不良
などが原因で「首〜肩甲骨の内側に痛み」が起こります。
やっかいなのが、放置で治ることは少なく、自粛による「リモートワーク、運動不足」で特に悪化しやすくなります。
なので今回は、
・肩甲背神経痛が起こる原因
・改善のストレッチ、運動方法
について紹介していきます。
- 肩甲骨の痛みの原因となる「肩甲背神経」とは?
- 肩甲背神経痛と関わりの深い3つの筋肉とは?
- 肩甲挙筋と肩こりの関係性
- 肩甲挙筋のストレッチ
- 肩甲骨の動きを付けるチューブ運動
- 肩こりの原因を改善するシュラッグ運動
- リモートワークで起こりやすい首〜肩、肩甲骨の痛み まとめ
肩甲骨の痛みの原因となる「肩甲背神経」とは?
まずは「肩甲背神経」について見ていきます。
肩甲背神経は「首〜肩甲骨の内側」に向けて走行する神経です。
肩甲背神経が「何らかの原因」で圧迫されたり、障害が起こることで「首〜肩甲骨にかけての痛み」となります。
「何らかの原因」とは
・頚椎ヘルニアなどの疾患
・筋肉が硬くなり、肩甲背神経を絞扼
の2つが主となります。
特に日常生活で多いのが「筋肉が硬くなる(緊張)」ことで、冒頭で挙げた
・長時間の同じ姿勢(デスクワーク)
・猫背、巻き肩などの姿勢不良
などが直接的な原因になります。
それらの筋肉を知ることが改善に重要なので、肩甲背神経と関わりの深い「3つの筋肉」について見ていきます。
肩甲背神経痛と関わりの深い3つの筋肉とは?
まずは「3つの筋肉」と「肩甲背神経」の位置関係を見ていきます。
首から〜肩甲骨の内側にかけて、
・肩甲挙筋
・小菱形筋
・大菱形筋
と3つの筋肉があり、「肩甲背神経はその下を通過」しています。
つまり、3つの内のどれかが「強い筋緊張」を起こすと、肩甲背神経が「筋肉により絞扼」され、首、肩、肩甲骨の内側に痛みが出ます。
姿勢不良や、デスクワークなどでは特に「肩甲挙筋」が緊張を起こしやすく、いわゆる「肩こり」を感じている方は注意が必要です。
なぜ「肩甲挙筋が特に緊張を起こしやすいか?」を、もう少し詳しく見ていきます。
肩甲挙筋と肩こりの関係性
【肩甲挙筋】
起始:第1頚椎〜第4頚椎の横突起
停止:肩甲骨上角の内側縁
※4つの繊維があり、それらをまとめて「肩甲挙筋」と呼ぶ。
【作用】
肩甲骨:挙上、下方回旋
頸部:伸展、同側側屈、同側回旋
※同側とは、筋肉の付いている方向に動くこと(右肩甲挙筋→右側屈)
このように多くの運動に関わります。
以前「ストレートネックの改善エクササイズ」の動画で詳しく解説しましたが、
デスクワークなどで起こる「ストレートネック」では、典型的に「上位頚椎」の動きが悪くなります。
※「上位頚椎」とは、7つある頚椎の「第1〜第3頚椎」のことを言い、肩甲挙筋の起始部であり、大きな関わりを持つ。
「ストレートネック」は、デスクワークの方にとても多く、
・ストレートネックで前に倒れた首を支える→肩甲挙筋が緊張
・猫背、巻き肩で肩がすくむ(肩甲骨挙上)→肩甲挙筋が緊張
のように、
肩甲挙筋の緊張状態が続くことが「肩こり」の原因になり、その下を通過する「肩甲背神経」を圧迫して「肩甲骨の内側の痛み」まで繋がります。
冒頭で「放置しても治らない」と言った理由が、「日常生活そのものが状態を悪くしている」からです。
根本的に改善するためには
・筋肉の緊張を改善するストレッチ
・固まった筋肉に動きを付けるエクササイズ
この2つを取り入れることが大切です。
では、ストレッチ+2種類のエクササイズを紹介していきます。
肩甲挙筋のストレッチ
肩甲挙筋のストレッチを紹介します。
ストレッチの原則ですが「作用の逆の動きをすると筋が伸びる」ので、右の肩甲挙筋を伸ばす場合には
頸部:屈曲、反対側側屈、反対側回旋
肩甲骨:下制
の動きを取り入れます。
実際にやり方を紹介していきます。
①左斜め下を見て、その方向に首を曲げる(屈曲、反対側側屈、反対側回旋)
②左上で頭の上から後頭部を掴む
③後頭部を目線の方向に引っ張る
④右肩は脱力しておき、肩甲挙筋が伸びたら20秒キープする
肩甲骨の動きを付けるチューブ運動
ストレッチした後は、首、肩、肩甲骨が動きやすくなっているので、このタイミングでチューブを使って動かします。
チューブが無い場合は、タオル等を使ってもらって大丈夫です。
①チューブ肩幅より少し広めで持つ
②肘を伸ばしたまま肩を後ろに回す
③後ろに回した肩をそのまま前に戻す
④無理のない範囲で15回2セット行う
肩こりの原因を改善するシュラッグ運動
最後にシュラッグ運動を行います。
シュラッグは「僧帽筋上部」を鍛える種目で、デスクワークや肩こりがある方の多くが「弱っている」状態になります。
僧帽筋上部は、肩甲挙筋の上から被さっている大きな筋肉で、
主な作用としては
・肩甲骨の挙上(肩甲挙筋と同じ)
・肩甲骨の上方回旋(肩甲挙筋と反対)
になります。
ここで、僧帽筋上部が弱っていると、
「肩甲骨挙上位+下方回旋」の位置で固まってしまいます。
こうなると、肩甲上腕リズムが乱れ
・肩のインピンジメント(ゴリゴリ音、痛み)
・肩甲背神経痛
など、様々な障害の原因になります。
それらを防ぐためにも「僧帽筋上部」を鍛えることが重要なので、その方法として「シュラッグ」を紹介します。
①膝にチューブを踏み、大腿の横で持つ
※負荷は少し強めで良い
②肩をすくめるように肩甲骨挙上する
③挙上で少し止め、ゆっくり下ろす
④15〜20回でキツくなる負荷設定にし、2セット行う
リモートワークで起こりやすい首〜肩、肩甲骨の痛み まとめ
以上が、首〜肩、肩甲骨の痛みについてです。
大きな原因としては、「姿勢が悪くなることでの筋緊張」と言いましたが、これは「長年の積み重ね」で起こります。
なので
「ストレッチをしたからすぐに解決する!」
「短期的な結果を出す!」
「速攻改善!」
と言ったことは基本的に無く、長年の積み重ねには、改善に時間が掛かることがほとんどです。
さらに、日常生活を見直すことも重要なので、デスクワークであれば
・パソコンの位置を高くする
・こまめに姿勢を変える
など工夫してみてください。
ストレートネックの原因や、改善エクササイズも試して見てください。