【オーバーヘッドプレス】”骨格”から見るフォームと肩の強化【ミリタリープレス】

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今回は【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】について、書いていきます。

 

”肩のトレーニング”といえば、「ダンベルショルダープレス」や「サイドレイズ」などが非常に人気のある種目です。

ジム内でも、バーベルをつかって【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】をしている方は、ほとんど見かけません。

ですが、筆者は肩の強化・トレーニングには【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】を、もっともおすすめします。

 

その理由は、

  • 「肩甲上腕リズム」など、肩が正しい動きでないと出来ない
  • 動く部分が「肩」のみでは無く、「体全体」と「骨格の連動」を使う
  • 多くの筋肉が動員され、体幹部の強化にもなる

の3点が「ダンベルショルダープレス」との大きな違いになります。

 

この中でも最も重要なものが、「肩甲上腕リズム」と「骨格の連動」になります。

今回は、その2点に注目して、【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】の、フォームとやり方について見ていきましょう。

 

動画解説はこちら↓

 

 

 

【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】に欠かせない「肩甲上腕リズム」とは?

まずは、「肩甲上腕リズム」から見ていきましょう。

「肩甲上腕リズム」とは、

「肩関節が、外転30度以上の場合、肩(上腕)と肩甲骨は2:1で外転動作を行う」

ということです。

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引用:http://bestperformancegroup.com/

もっと簡単に説明しますと、

「肩外転30度からは、肩甲骨も共同で動きますよ。180度「肩関節」が外転すれば、肩(上腕)が120度、肩甲骨が60度動いて、合わせて肩関節の外転180度!」

といった感じです。

この動きは、「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」のフォーム解説でも、大切な点ですので、しっかりと覚えていてください。

 

「肩甲上腕リズム」と「骨格の連動」に重要な【肩鎖関節】と【胸鎖関節】

次に、肩の骨格の動きに重要な、

  • 肩鎖関節(肩峰+鎖骨肩峰端)
  • 胸鎖関節(胸骨+鎖骨胸骨端)

の2つです。

まずは2つの位置関係を見てみましょう。

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この2つの関節は、「肩」と「肩甲骨」に、密接な位置関係にあります。

もちろん【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】の動きにも大切で、特に「肩甲骨の動き」に大きく関わってきます。

では、まずは「肩鎖関節」の役割について、簡単に説明しています。

 

「肩鎖関節」は、構造上不安定のため、”3つの強力な靭帯”により安定を保っています。

そして、その上から僧帽筋などの筋肉が被さり、更に安定を高めます。

そして重要なポイントが、肩鎖関節は「肩甲骨の運動の支点」となります。

特に、肩甲骨の「外転・内転・上方回旋・下方回旋」の運動では、「肩鎖関節の面を、肩峰(肩甲骨)が滑るように動く」ような状態になります。

 

肩鎖関節を痛めている方は、スムーズな肩甲骨の動きができなくなります。

余談ですが、「肩甲骨の関節面」の単独の動きを良くするには、「肩鎖関節」を中心に運動を実施すると、関節面の運動効果が高まります。

 

続いて「胸鎖関節」についても見ていきます。

「胸鎖関節」も非常に関節の安定が悪く、”3つの強力な靭帯”で固定されています。

そして胸鎖関節は、「鎖骨の運動の支点」となります。

そして「胸鎖関節」は、特に鎖骨の「挙上・下制」で大きな動きを持ちます。

つまり、特に肩甲骨の「挙上・下制」で重要な役割を持ちます。

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「挙上・下制」では、かなり大きく「胸鎖関節」が動きます。

ベンチプレスなどで、「肩の怪我」をしやすい方は、「胸鎖関節」の動きが悪く、肩甲骨の位置を上手くキープできない可能性もあります。

*ケアやコンディショニングの記事については、今後配信していきます。

 

そして「肩鎖関節」「胸鎖関節」の元である鎖骨』のとても重要な動きが、”後方回旋”といった動きです。

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 『鎖骨』の後方回旋は、「肩の屈曲」と共に動きます。

その動きの大きさは、「鎖骨」を横から見た軸で「35度」程度、回旋します。

この、「鎖骨の後方回旋」がでないと、肩の連動は上手く出来ません。

 

『「鎖骨・胸鎖関節・肩鎖関節」の、全てが肩の運動(肩甲上腕リズム)に重要である』ということです。

このような「骨格の動き」からみる、「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」のフォームについて見ていきましょう。

 

肩を強化する【オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)】のフォームとやり方

 まずは、「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」を、

  • スタートポジション
  • バーの挙上局面
  • フィニッシュポジション

の3つに分けて「骨格の動き」を見ていきましょう。

 *今回は、「肩・肩甲骨・鎖骨」に注目し、解説します。

 

「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」の”スタートポジション”の骨格動作とフォーム

 スタートポジションで大切な「骨格の動き」は、

  • 肩:軽度外旋位
  • 肩甲骨:下方回旋・後傾
  • 鎖骨: 下制
  • 胸椎:伸展

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このような状態になります。

「フォーム」として意識する点は、

  • 脇を締め、背中(広背筋)に緊張を持たせる
  • バーと前腕が、垂直になるようにする (横・後ろから見て)

 の2点を意識してみてください。

 

ここまでの動きは「ベンチプレス」とよく似ていますね。

続いて、「バーの挙上局面」を見ていきましょう。

 

「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」の”バー挙上局面”の骨格動作とフォーム

まずは、「挙上局面の初期」から見ていきます。

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「挙上局面のはじまり」では、先程のスタートポジションから、「骨格の動作」はあまり変化はありません。

”スタートポジションの状態から、挙上方向に、そのままバーベルを挙げる”といったイメージでいいと思います。

 

「フォーム」面での注意は、

  • 「脇」を極端に開かないこと
  • 「腰椎」の伸展をしないこと(胸椎・股関節で姿勢を保つ)
  • 顔のギリギリをバーが通過すること

の3点を意識して行いましょう。

高重量になると、「腰椎伸展」が初期でもよく見られるので、注意が必要です。

 

次に「挙上局面の中期」です。

この辺りから「骨格の動き」が大きく変化してきます。

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「骨格の動き」

  • 肩:屈曲+外転(軽度外旋は変化なし)
  • 肩甲骨:上方回旋30度程度
  • 鎖骨:挙上+後方回旋
  • 胸椎:伸展をキープ

さて、ここで「肩甲上腕リズム」が登場しました。

この「挙上局面の中期」では、肩が外転90度以上に差し掛かります。

この際に、とても重要な動きが、「肩甲骨上方回旋」+「鎖骨の挙上」になります。

この「骨格の連動」が上手く出来ないと、これ以上挙上した時に「肩のインピンジメント」の可能性がでてきます。

後方から、撮影すると「肩甲上腕リズム」を、確認しやすいのでオススメです。

 

「フォーム」の注意点は、

  • 極端に脇を開かない
  • バーの軌道が、体から離れない
  • 「腰椎の伸展」をしないこと(胸椎+股関節で姿勢を保つ)

この局面も「腰椎の伸展」が起こりやすい場面です。

腰を痛める原因となりますので、しっかりと「腹圧」を高め、体幹部の緊張を高めましょう。

 

では、次に「挙上局面の後期」です。

この「挙上局面の後期」では、大きく分けて2パターン挙上方法が存在します。

  • 「骨格動作」になるべく近く、肩の健康を第一に考えるフォーム
  • 「挙上重量」を求め、力をバーに伝える挙上フォーム

筆者は、トレーニングにおいては「最大の健康」を目指していますので、「骨格動作」をメインの方の解説をします。

 

では、見ていきましょう。

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「骨格の動作」

  • 肩:屈曲+外転(この時点で「肩は中間位」となる)
  • 肩甲骨:上方回旋+挙上
  • 鎖骨:挙上+後方回旋
  • 胸椎:伸展をキープ

ここで大きく変わったのが、「肩」と「肩甲骨」になります。

「肩甲上腕リズム」を保ちながら、「肩は中間位」となります。

この理由は、2つあり

  • 肩甲骨下方回旋で、固めていた背中が、動作中に「肩甲上腕リズム」の、上方回旋+挙上により変化するため。
  • 重量をあげる要素が「初期・中期」とくらべ「後期」は、”肘の伸展”の要素が強くなるために、バーのなるべく真下に、肘が位置するようにするため

といった理由になります。

 

「フォーム」の注意点は、

  • 「腰椎の伸展」をしないこと(胸椎+股関節で姿勢を保つ)
  • バーが後ろに流れすぎないこと 

ここも「腰椎」は同じですが、この「挙上局面の後期」では、かなり体幹部も不安定になります。

動作中に、体がフラつくのも「後期」が多いと感じます。

そのフラつきで、バーが後ろに流れると、落下の危険性もあるので注意したいところです。

 

トップポジションに移る前に、少し「挙上重量」を追うフォームも見てみましょう。

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 画像上にある、「赤のラインまで、脇を開き、肘をバーの真下に入れる」という状態です。

 この方法のメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット

  • 肘とバーのラインが揃うので、肘伸展の最大筋力を発揮出来る
  • 肩甲骨の挙上とも、バーのラインが合うのでフィニッシュまで持っていきやすい

デメリット

  • バックプレスの形に近くなるため、肩の可動域が低かったり「肩関節に不安」を持っている方には危険
  • 肩のインナーマッスルに強さや、安定した位置でバーを保持出来なければ、バーの重さで「肩が内・外旋」方向に揺れ「インピンジメント」を起こす可能性がある。

となります。

最終的には、自身の、体の柔軟性や強い部位によってかわりますので、色々とお試しください。

   

「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」の”フィニッシュポジション”のフォームとやり方

では早速見ていきます。

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「 フィニッシュポジション」では、しっかりとロックアウトします。

ロックアウト方法を「骨格動作」とともに見ていきましょう。

「骨格の動作」

  • 肩:最大屈曲+最大外転(肩は中間位)
  • 肩甲骨:最大上方回旋+最大挙上
  • 鎖骨:最大挙上+最大後方回旋
  • 胸椎:伸展をキープ
  • 肘:完全伸展 

 フィニッシュポジションでは、しっかりと「シュラッグで動作」を行いましょう。

これが抜けると、ロックアウトは上手く出来ません。

ロックアウトのポイントは、

バー〜手〜肘(伸展)〜肩(中間位)〜肩甲骨(シュラッグ)〜体幹部〜下半身が一直線になり、はじめて「フィニッシュポジション」の完成です。

もう一度「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」の一連の流れの確認をします。

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次は「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」のよくある失敗例を2つあげます。

 

「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」の失敗例 「肩甲上腕リズム」の乱れ

この例では、

「左肩の外転」が過剰に先行し、「肩甲骨の上方回旋」が伴っておらず、「肩甲上腕リズム」が破綻しています。

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 赤線を見てもらうと、「左の肩の外転のみ」の運動が起こっています。

この左右差は、重量が上がるほど著名になり、肩の怪我のもとになるので注意が必要です

原因は、

  • 背中の使い方
  • 左右の柔軟性・筋力差

など他にも色々とありますが、「肩甲上腕リズム」の乱れは、注意し、チェックして見ていきたいポイントです。

 

「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」の失敗例 「腰椎の伸展」

これは、「挙上局面・下降局面」両方で見られますが、とくに高重量になると多く見られます。

バーの重さが、真上から、モロに「腰椎」にのしかかる形になりますので、「腰の怪我」に直結します。

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下の「腰椎伸展」は、挙上局面どこでも起こりえます。

なので、しっかり『胸椎』の伸展を意識し、『背中』を広背筋で固め、『股関節』を殿筋で固める、『体幹部』を腹圧で固めることが、大切です。

そして扱えない重さを持たないことです。

「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」は、基本的には6~7レップできる重量を5レップで組み、少し余裕をもたせて終わりましょう。

 

肩の強化「オーバーヘッドプレス(ミリタリープレス)」骨格からみるフォーム まとめ

以上が「肩甲上腕リズム」と「骨格動作」からみる「オーバーヘッドプレス」です。

重要なポイントは「重いものを持つ」ではなく、「正しい動き」です。

*筆者の考えです。

「骨格動作」を上手くおこない、「肩甲上腕リズム」などの連動が出ると、肩の強化とともに、様々な補助筋の強化にもなります。

 

柔軟性が無く動作が難しい方は、しっかりと、こちらの記事にあるストレッチをおこなってもらうことで、連動が出やすくなりますので、是非お試しください。 

それでは今日はここまで〜 次回、【スクワット】深くしゃがむと「かかとが浮く」は”距骨”の動きで改善!足首の柔軟性向上お楽しみに!