今回は、腰の痛みを治す「ケーブルプルスルー」について紹介していきます。
ケーブルプルスルーは、主に「殿筋を鍛え広背筋との運動連鎖を高める」種目です。
「臀部の筋肉を鍛える」といえば、最近大流行の「ヒップスラスト」が、まず思いつくかと思われます。
「ヒップスラスト」は、”高重量を扱うことが出来るために人気種目になった”
と筆者は勝手に思っていますが、その分「代償動作」が出やすい種目でもあると感じています。
「代償動作」のせいで「殿筋」を鍛えるどころか、「腰が痛い」といった声もよく聞きます。
その点、紹介する「ケーブルプルスルー」は
・腰に負担がほとんどかからず、「殿筋」に刺激を与える
・ヒップヒンジ動作がうまくなり、「ハムストリングスの柔軟性向上」にも貢献するので「腰痛対策」になる。
・広背筋との連動が良くなり「デッドリフト」がうまくなる
といった大きなメリットをもたらします。
なぜ「ケーブルプルスルー」がこれほどのメリットがあるのか?
という点について、「運動連鎖の観点」から解説していきたいと思います。
- トレーニング・私生活において最も重要な「殿筋と広背筋の運動連鎖」とは?
- 「ケーブルプルスルー」がもたらす、腰痛を治す「広背筋・殿筋の運動連鎖」
- 「広背筋・殿筋」を鍛え”腰痛を治す” 【ケーブルプルスルー】のやり方
- 「広背筋・殿筋」を鍛え”腰痛を治す”トレーニング 【ケーブルプルスルー】のやり方 まとめ
トレーニング・私生活において最も重要な「殿筋と広背筋の運動連鎖」とは?
「そもそも運動連鎖って何?」
という方もいると思うので、簡単に説明します。
簡単な「歩行」を例に上げてみましょう。
前進するために、足を前に出す際には、
「股関節と膝は曲げて、踵から足がつくように足首は軽く上を向きます」
そして、足が着地すると
「股関節と膝は伸び、足裏全体が付き、足は地面を蹴ります」
この関節・筋が上手く動くために、働く一連の動作を「運動連鎖」といいます。
「右足」を前に出せば、「左腕」を前に振りますね。
それも”上半身と下半身”の「運動の連鎖」です。
「運動連鎖」は、基本的には「無意識」で行われています。
そして「運動連鎖」が乱れていくのも「無意識」なのです。
「運動連鎖」が乱れている状態では、「膝をずっと伸ばしたまま歩いてる」といった感じです。
人間が「加齢」や「運動不足・デスクワーク」などによって落ちやすい筋肉が「広背筋」と「殿筋」です。
そして体の後面の「広背筋と殿筋」の「運動連鎖」が乱れている方に、多い症状が「腰痛」です。
*トレーニングを行っている方は、無理なフォームや重量で「運動連鎖」が乱れます。
そんな「運動連鎖」の乱れを解消する「ケーブルプルスルー」の魅力を見ていきましょう。
*臀部の多くの筋群が関与しますので「殿筋」とまとめています。
「ケーブルプルスルー」がもたらす、腰痛を治す「広背筋・殿筋の運動連鎖」
まずは、「広背筋・殿筋の位置」と「広背筋・殿筋の連動」について見ていきましょう。
左側が 「位置関係」です。
「腰のあたり」でお互いの筋肉が密接しています。
次に重要なことが、右画像の「広背筋・殿筋の連動」ということです。
この2つの筋肉の連動は「右広背筋=左殿筋」「左広背筋=右殿筋」といった形で、クロスして連動します。
もう少し詳しく見てみましょう。
左が「広背筋・殿筋」の筋肉の繊維方向です。
2つの筋肉が「腰で交わる」ように走行しています。
「右の広背筋」と「左の殿筋」が連動して収縮すると「腰圧」が高まります。
この「腰圧」は、トレーニングでいう「腹圧」と同じですので「腰を守ってくれるもの」になります。
この「連動の実感」が湧きにくい方は実際に体験してみましょう。
特に「腰を反った時に、腰が痛む」といった方は重要です。
「腰痛を治す」”殿筋・広背筋の運動連鎖”の感覚を掴む
まずはうつ伏せに寝て、片側の膝を曲げましょう。
そして曲げた膝を地面から離すように、浮かせます。
これは、「股関節伸展」の動きで、主に「殿筋」の作用です。
「運動連鎖の失敗」を見ていきましょう。
*強い腰痛がある方は、失敗例は試さないでください。
先ほどの「股関節伸展」+「腰椎伸展」をします。
デコを床から浮かし、体を反るイメージです。
「腰に大きな負担」や「痛み」を感じられると思います。
広背筋と殿筋の連動が上手く使えない方は「この状態に常になっている」ということです。
はじめにいいました
・デスクワーク姿勢
・デッドリフトで、腰に頼り挙上
・見せかけの高重量のヒップスラスト
は、この運動連鎖の失敗を無意識で行い「腰の痛み」に繋がります。
「運動連鎖の成功例」をみていきましょう。
「股関節伸展+広背筋」に力を入れます。
イメージは
・肘を腰の方向に持っていく
・肩甲骨をズボンの後ろポケットに入れる
・脇の下に、服のシワを寄せる
ようなイメージで行ってください。
上手く出来ると「勝手に肘が浮き、肘と広背筋のラインが平行」になります。
「殿筋+広背筋」を上手く使えると先程の「失敗例」と比べ「腰部の負担」は減っていないでしょうか?
「運動連鎖」を上手く使えるようになり「殿筋」を鍛え「ハムストリングス」の柔軟性を向上させる「一石三鳥」とも言える”ケーブルプルスルー”のやり方を解説します。
「広背筋・殿筋」を鍛え”腰痛を治す” 【ケーブルプルスルー】のやり方
まずはセッティングです。
ケーブルのプーリーの高さは「膝の少し下」くらいにしましょう。
グリップはさほど重要ではありませんが、画像のような握り方が1番簡単です。
*ケーブルが無い方は、チューブでも代用可能です。
スタートポジションを見ていきます。
ケーブルから3〜4歩離れましょう。
スタートポジションはこのような状態です。
次に「ヒップヒンジ動作」を使って、ボトムポジションまで行きます。
「ヒップヒンジって何?」という方は、こちらの記事をご覧ください。
*ヒップヒンジ動作が出来ないと、腰の怪我のリスクがとても高くなります。
次に「下降局面」です。
しっかりと広背筋に緊張感を保つことで、脊柱が真っ直ぐになり「ヒップヒンジ」が上手く出来ます。
この時点で、鏡が前にあると「顎があがってしまう」事が多いので気をつけます。
顎が上がると「頚椎」が伸展してしまうので、「胸椎+広背筋の連動」がなくなりやすくなります。
次に「ボトムポジション」です。
ハムストリングスに伸張感があるまで下降し、そこで1〜2秒止めます。
背中の緊張は抜かずに「ヒップヒンジ」を行います。
*ヒップヒンジが上手くできていれば伸張感は得にくいが「殿筋」にも伸張がかかる。
最後の挙上〜ロックアウトです。
①脊柱を真っ直ぐにし体を起こすのと同時に、股関節を前に突き出す。
*決して体を反って先に体だけが上がらないようにしてください。
②体の前に「壁」があるイメージでそこに思い切り股関節をぶつけに行く。
この動作は「股関節の伸展」で「殿筋の伸張〜収縮」になるので、殿筋にしっかりと刺激を入れるために必要な動作です。
③脊柱は真っ直ぐを保ち、「股関節を外旋」し、ロックアウトする。
この時に腰が反って後ろに体が倒れないように注意です。
ロックアウトで体は一直線になります。
回数は、15回程度を3セットを目安にし、
- 2秒かけて下ろす
- ボトムでハムストリングスに伸張がかかれば、2秒止める
- ロックアウトまでは、なるべく早く、力強く行う
意識で行いましょう。
一連の「ケーブルプルスルー」の流れ
失敗例
・「腰椎の伸展」で代償している
これは本当に気をつけましょう。
「運動連鎖」の乱れだけではなく、腰に大怪我を抱える可能性があります。
「広背筋・殿筋」を鍛え”腰痛を治す”トレーニング 【ケーブルプルスルー】のやり方 まとめ
以上が、「広背筋・殿筋の運動連鎖をあげ、”腰痛を治す”ケーブルプルスルー」です。
「腰痛予防」ということに関しましては、「デッドリフト」が1番効果が高いと筆者は考えています。
ただ、「腰の痛みでデッドリフトは不安」という方も多いと思います。
そんな方は、特にこの「ケーブルプルスルー」を取り入れてください。
体の使い方と柔軟性が上がり、デッドリフトに必要な「広背筋と殿筋の運動連鎖」を習得することが出来ます。
そして「腰の痛みがマシになりケーブルプルスルーに慣れてきた」という方は、こちらの「ルーマニアンデッドリフト」に、チャレンジしてみてください。
この2つの種目が上手く出来るようになると、トレーニングで痛めたり、日常生活の運動不足からくるものなら「腰痛は治ります」
それでは、今日はここまで〜、