背中のトレーニング効率を上げる運動連鎖とグリップ

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今回はトレーニング効率を上げる「運動連鎖」について解説します。

 

運動連鎖を簡単に説明すると、「関節や筋肉が連動して動くこと」を指します。

感覚的には、スムーズに体が動く動作のことです。

 

この運動連鎖をトレーニングに応用すれば、背中のトレーニングで僧帽筋と広背筋をどちらかをメインに鍛え分けやすくなったり、苦手な肩甲骨や肩の動きがやりやすく感じたりと、様々なメリットがあります。

 

今回は一例として、バーを持つ「グリップ方法」を用いて、背中のトレーニングと運動連鎖の関係を紹介していきます。

 

 

背中の筋肉と解剖学 

まずは僧帽筋と広背筋を見ていきます。

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2つの筋肉は背中の大部分を占め、

僧帽筋は主に肩甲骨の「挙上・内転・下制・上方回旋」に関わり、

広背筋は主に肩関節の「伸展・内転・内旋」に関与します。

 

トレーニングに置き換えると、 

肩甲骨が中心に動く=僧帽筋のトレーニング

肩が中心に動く=広背筋のトレーニング

といったイメージをまずは持っておきます。

 

次に、動きの中心を選ぶための「グリップ方法」について見ていきます。

 

背中のトレーニングとグリップ

代表的な背中のトレーニング「懸垂、ラットプルダウン、ベントオーバーロウ」などで用いられる主なグリップは「順手」「逆手」の2種類です。

 

f:id:health--life:20210915092902p:plain順手はバーを上から握る形を取るので、肩関節は自然に内旋しやすくなります。

そして、肩関節が内旋すると、肩甲骨は内転を行いやすくなります。

 

一度、「順手で肩甲骨を寄せる」「逆手で肩甲骨を寄せる」この2つのパターンを試してみて下さい。

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順手の方が肩甲骨を寄せやすく感じると思います。

これが「運動連鎖」で、順手は肩甲骨の内転を意識しやすいので、僧帽筋を鍛えるグリップに向いているとも言えます。 

 

筆者が「ベンチプレスで肩甲骨を寄せるな」という理由には運動連鎖の側面もあり、「肩甲骨内転=脇が開く」ので、肩の怪我を防ぐには抑えておくべきポイントです。

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次に、逆手はバーを下から握る形なので、肩関節は自然に外旋しやすくなります。

肩関節が外旋した状態では脇が開きにくく、肩関節を後ろに引く伸展運動が行いやすくなります。

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肩関節の伸展は広背筋の主な作用なので、広背筋のトレーニングに向いています。

ここまでグリップによる運動連鎖を確認出来たので、次は種目別に見ていきます。

 

懸垂とラットプルダウン

順手と逆手を比較していきます。

比較要素は「効いている」などの主観的な感覚ではなく、「関節運動」で比較します。

 

順手懸垂とラットプルダウン

まず順手は、手幅が肩幅より広い状態で行います。

挙上動作は、開いた脇を閉じる「肩関節内転」の運動がメインで行われます。

 

「肩関節内転」は広背筋の作用なので、僧帽筋ではなく、広背筋がメインで鍛えられやすい種目といえます。 

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先程、順手は肩甲骨の内転が行いやすいと言いましたが、種目毎の

「上に手を挙げている状態(懸垂)」

「前ならえ(ローイング)」

「手が下にある状態(ベントオーバーローイング)」

など、手の位置で変化が出ます。

 

懸垂の動作は「順手で手の位置が上にあり、体を持ち上げる運動」で、これは肩関節内転がメインで働きます。

後に紹介する「手の位置が下にある、順手のベントオーバーロウ」は、肩甲骨内転がメインとなります。

 

 

逆手懸垂とラットプルダウン

次に逆手は、手幅はほとんど肩幅と変わらない位置で行います。

挙上動作は、前にある肩を後ろに引く「肩関節伸展」の運動がメインです。

 

肩関節伸展も広背筋の作用なので、懸垂全般が広背筋を鍛えられる種目です。

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ここでは関節の動きを中心に考えましたが、順手と逆手のどちらが広背筋を鍛える効率が良いのかは、一概には言えません。

 

その理由としては「運動面の違い」があり、

肩関節内転は横方向の「前額面」運動

肩関節伸展は前後方向の「矢状面」運動

の違いがあります。

 

運動面からも考えると、広背筋を多方面から鍛えるために、順手と逆手両方でトレーニングすることが理想だと思います。

 

 

ベントオーバーローイング

次にベントオーバーロウを見ていきます。

ベントオーバーロウは姿勢とグリップの関係性が重要です。

 

僧帽筋を鍛えるフォーム

姿勢:床と上半身が平行

グリップ:順手

この姿勢を作り、まっすぐ上に引くように意識すると「肩甲骨の内転」が誘導されます。

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広背筋を鍛えるフォーム

姿勢:平行より少し上体が起きている

グリップ:逆手

この姿勢を作り、へそに向かって引く意識を持つと「肩関節伸展」が誘導されます。

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どちらのフォームにも言えますが、ベントオーバーロウでは「ハムストリングスで重さを受ける」ことが重要です。

ヒップヒンジ姿勢を作り、ハムストリングスの緊張感を維持することが腰の負担を減らすために重要なので、しっかりと意識してください。

 

特に上体が床と平行になるフォームでは、ハムストリングスのある程度の柔軟性が必要なので、体が硬い場合は無理に行わず、ストレッチ等を優先してフォームを作れる体作りを優先してください。

 

背中のトレーニングと運動連鎖 まとめ

以上が背中のトレーニングと運動連鎖になります。

 

背中のトレーニングが苦手な方も多いと思いますが、グリップなどから出来る運動連鎖を利用することで、体が動かしやすくなることもあります。

 

逆に運動連鎖の乱れが起こるような動きをしていることが、今まで背中のトレーニングが苦手であった原因かも知れませんので、ぜひ試してみて下さい。

 

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