今回は腰痛の原因となる「ヒップスパイン症候群」について書いていきます。
ヒップスパイン症候群の特徴としては、
・慢性的な腰痛が続く
・日常生活やトレーニング中にも痛む
・ストレッチをすると少しマシになる
などが見られます。
その中でも特に「体が硬い」と自覚症状のある方に多く、対策を取らずに放置すると改善が見込めないパターンもあります。
なので今回は腰痛を改善するために
・ヒップスパイン症候群とは?
・原因の検査方法
・改善のストレッチ
この順に見ていきます。
※腰痛はヘルニア等の可能性もあるので、先に医療機関を受診することをおすすめします。
腰痛の原因「ヒップスパイン症候群」とは?
まずはヒップスパイン症候群の定義から説明すると、
「脊椎(腰)と股関節は密接な関係にあり、一方が障害されると、もう一方も障害を受ける」とされています。
わかりやすく言い換えると、
「股関節の動きが悪いと、腰も痛くなる」
「腰の動きが悪いと、股関節が痛くなる」
「腰が痛いと、股関節も痛くなる」
など、どちらかが悪いともう一方まで悪影響を及ぼします。
現在の医療では、「腰痛の原因の8割はよくわかっていない」と言われますが、その他の2割の中に「腰椎ヘルニア、脊柱菅狭窄症、ヒップスパイン症候群」などが入り、中でも慢性的な腰痛の原因として多いのが「ヒップスパイン症候群」と言われています。
例の中でも特に多いのが「股関節の動きが悪いから、腰も痛くなる」パターンで、日常生活ではデスクワークが続いたり、スクワットで深くしゃがめないといった方は特に注意が必要です。
では最も多い「股関節の動きが悪いから、腰も痛くなる」パターンの検査方法を紹介します。
股関節の柔軟性検査 (1)FFD
まずは股関節の動きに関わるハムストリングスと腰部の検査をします。
方法は「立位からつま先を触りに行く前屈運動」を行います。
膝が曲がらない範囲までで良いです。
※まずは何も考えずに行い、動画撮影などして記録に残しておいてください。
緑線=体の中心線
赤矢印=股関節の動き
青矢印=脊柱の動き
①股関節と腰部が正常
股関節を後ろに引き、腰椎を含む脊柱が適度に曲がり、前屈運動を行う。
②股関節の動きが悪く、腰部は正常に動く
股関節が後ろに引けず、腰椎の曲がりで前屈運動
ハムストリングスや殿筋の柔軟性が低く、お尻がうまく後ろに引けないことが多い
③股関節の動きは正常で、腰部の動きが悪い
股関節は後ろに引けるが、腰部の丸まりがない前屈運動
腰部の筋の柔軟性が低く、うまく体を丸めることができない
①②③比較
自分がどのパターンに当てはまるかメモしておいてください。
次にもう1つの検査をしていきます。
股関節の柔軟性検査 (2)体幹伸展
次は股関節前面の腸腰筋や大腿直筋の検査をします。
立位から体を反る(伸展)運動を行います。
※膝が曲がらないように注意
①股関節と腰部が正常
股関節は前に出て、脊柱全体を反ることができる
②股関節の動きが悪く、腰部は正常に動く
股関節が動かず、脊柱のみ反っている
腸腰筋、大腿直筋の柔軟性が低く、股関節がうまく前に動かない
③股関節の動きは正常で、腰部の動きが悪い
股関節は前に出て、脊柱がうまく反れない
腸腰筋、大腿直筋、腹筋群の柔軟性が低く、体をうまく反れない
①②③比較
2つの検査の中で②に当てはまる「股関節の動きが悪い」パターンが腰痛を起こしやすく、放置することで良くなることはほとんどありません。
なので②を改善するストレッチ方法を紹介していきます。
腰痛改善のストレッチ方法
ジャックナイフストレッチ
①手のひらを正面に向け、足首を後ろから掴む
②胸と膝を付ける
③お尻を天井方向に上げる
④ハムストリングスが伸びたら20秒キープする(息を止めない)
ハムストリングスと腰のストレッチ
①片足を伸ばし、片膝を曲げる
②伸ばした足に向かって体を前に倒す
③ハムと腰に伸びたら20秒キープする
大腿四頭筋のストレッチ
①膝立ちになり、一方の足首を掴む
②掴んだ側の踵とお尻を付けるように引っ張る
③太ももの前に伸びたら20秒キープする
※腰を反らないように注意する
腸腰筋のストレッチ
①片膝立ちで体を地面と垂直になるように起こす
②お尻の穴を締めるように力を入れ、骨盤を後傾させる
③股関節の前が伸びたら20秒キープする
それぞれのストレッチは各20秒ずつ1セットで良いので、朝・昼・夜の1日3回できることが理想です。
何度も言いますが、ヒップスパイン症候群は放置で治ることはほとんどないので、頑張ってストレッチを続けてみてください。
ヒップスパイン症候群 まとめ
以上が腰痛の原因となるヒップスパイン症候群になります。
腰痛の治療と言えば「マッサージ」や「骨盤矯正」など思い浮かべる方も多いですが、改善した例はあまり聞いたことはありません。
なので受動的な改善策ばかり試すのではなく、体を鍛えるトレーニングと同じで、自分の体を「能動的」に整える習慣を付け、慢性的な痛みが起こりにくい体作りをしましょう。
今回紹介したストレッチは改善のための1つの方法ですが、体が硬い以外にも「お尻の筋の弱さ」や「反り腰」の方も腰痛を起こしやすい傾向にあります。
無理のない範囲で下記動画で紹介しているトレーニングも合わせて行ってみてください。