今回は、デッドリフトやシュラッグで起こる「背中・肩甲骨の痛み」について解説していきます。
背中や、肩甲骨の痛みの原因は、
・筋肉の損傷による痛み
・脊柱や肩甲骨の骨の痛み
・神経による痛み
などがあります。
上2つは、体の感覚的に気付きやすいですが、「神経の痛み」は知らないと疑えません。
神経痛が出やすい条件の1つとして、
高重量の扱える「デッドリフト」「シュラッグ」をよくする。
ということがあげられます。
その中でも、特に神経痛の出やすい方の特徴として、
・肩の高さに左右差がある
・肩甲骨・肩・脊柱の動きが悪い
といった事が見られます。
それでは、
・背中・肩甲骨の痛みの原因となる神経
・神経痛を治すためのストレッチとエクササイズ
について見ていきましょう。
- 背中・肩甲骨内側の痛みの原因となる ”肩甲挙筋と肩甲背神経”
- 【デッドリフト・シュラッグ】肩甲背神経の痛みを緩和する ”肩甲挙筋のストレッチ”
- 【デッドリフト・シュラッグ】肩甲背神経の痛み原因を取り除く ”肩甲挙筋エクササイズ”
- 背中・肩甲骨内側の痛みの原因を治す ストレッチ・エクササイズまとめ
背中・肩甲骨内側の痛みの原因となる ”肩甲挙筋と肩甲背神経”
まずは、痛みの原因となる「肩甲背神経(けんこうはいしんけい)」を見ていきましょう。
第5頚椎の神経から枝分かれし、肩甲骨の内側を走る神経を「肩甲背神経」といいます。
なぜ、「肩甲背神経」に痛みがでるのか?
その原因も見てみます。
「肩甲背神経」は3つの筋肉(肩甲挙筋・大菱形筋・小菱形筋)の裏側を通過します。
よって、
この3つの筋肉の動きが悪くなると、
肩甲背神経が絞扼され「神経痛」として、痛みが現れる。
といった状態になります。
特に、硬く動きの悪い状態の筋肉が「伸張」されたり、「等尺性運動」で神経絞扼はよく見られます。
それらを踏まえて、「肩甲背神経の痛みとデッドリフトの関係性」を見てみます。
床から持ち上げる高重量(主観的)に対して、先程の3つの「肩甲挙筋・大菱形筋・小菱形筋」は、負けじと耐えようとします。
このときは「等尺性の運動」が起こっており、重量に負けると「伸張」が加わります。
もちろん、これらの筋肉がすべての役割を行っているわけではありませんが、大きな負担が、繰り返しかかることにより「神経絞扼」の原因の1つとなります。
「神経痛」を取り除くには、「神経絞扼」の原因となっている筋肉に対して、アプローチするのが最善です。
なので今回は、原因筋の1つである「肩甲挙筋」のストレッチとエクササイズについて紹介していきます。
*菱形筋は、今後配信予定となります。
菱形筋のストレッチを先に知りたい方は、こちらの記事のストレッチをお試しください。
【デッドリフト・シュラッグ】肩甲背神経の痛みを緩和する ”肩甲挙筋のストレッチ”
もう一度「肩甲挙筋」を見てみましょう。
肩甲挙筋は、4本の束から出来ている筋肉で、「菱形筋・僧帽筋」と共同で働きます。
あまりにも動きが悪いと、「肩甲骨を下方回旋・挙上」で固定してしまい、肩の怪我にも繋がるので、注意が必要です。
では、「肩甲挙筋のストレッチ」を紹介します。
*今回は「右の肩甲挙筋」のストレッチです。
手を後ろに回す際に、肩が痛い場合は、痛みのない範囲で構いません。
腕を真っ直ぐに引っ張る理由としては、肩甲骨を真下に下げて「肩甲挙筋」に、より伸張を与えるようにしましょう。
「肩甲挙筋」は、「僧帽筋」の深部に位置するので伸びている感覚は、僧帽筋にもあります。
また、首を傾けることで「胸鎖乳突筋」にもストレッチが掛かります。
肩甲骨周辺や、頚椎に関与する筋肉を同時にストレッチすることが出来るので、動きの向上と共に、「神経痛」の緩和になります。
ストレッチによる伸張程度では、神経痛出ることは少ないですが、
もしストレッチで神経痛が出る場合には、ストレッチを緩めるか、お風呂上がりなどの体温が高く、筋が動きやすいタイミングで行ってください。
20秒ストレッチを2セット程度行いましょう。
最後に一連の流れをGIFで見てみましょう。
【デッドリフト・シュラッグ】肩甲背神経の痛み原因を取り除く ”肩甲挙筋エクササイズ”
次に「肩甲挙筋エクササイズ」を紹介します。
先程も言いましたが、肩甲挙筋は僧帽筋・菱形筋と共同で働きます。
エクササイズにおいては、なるべく
肩甲挙筋にのみ刺激を与えたいので、僧帽筋・菱形筋が関与しにくい姿勢を取る必要があります。
僧帽筋の関与を減らすために行う肢位が、
・肩関節:内旋、伸展
・肩甲骨:下方回旋・内転位
にした状態で、肩甲挙筋のエクササイズを行います。
先にその肢位を取ったエクササイズを見てみます。
画像と共に解説していきます。
まずは、先ほどのストレッチ同様、手を後ろに回します。
これで「肩の伸展・内旋」がおこなわれ、
さらに反対の手で「腰から右手を遠のける」ように軽く押します。
この理由は、肩甲骨の下方回旋を誘発させるためです。
では、ここから
「肩甲骨の内転・挙上」を行います。
先に「内転」を行う理由は、僧帽筋・菱形筋の関与を減らすためです。
その後、「挙上」を行うことにより「肩甲挙筋」をメインに働かせることが出来ます。
これらを踏まえ、もう一度GIFを見てみましょう。
10回を1セットで初めは構いません。
あまり多くやると「肩こり」のような、だるさが出ることもあるので気をつけてください。
逆に肩こりの人は、動きがないので頻繁にやってもらって構いません。
背中・肩甲骨内側の痛みの原因を治す ストレッチ・エクササイズまとめ
以上が「肩甲背神経の痛みの原因に対してのアプローチ方法」となります。
今回紹介した「肩甲挙筋」は、通称”肩こり筋”など言われるため、日常生活の影響を大きく受けます。
携帯の画面を見る際の、首の傾きは基本的にはずっと同じ方向ですので、トレーニング以外の場面で硬くなりやすく、その硬くなった状態で「デッドリフトやシュラッグ」などの高重量の牽引を受けると、症状が出やすくなります。
なので「肩甲挙筋」のストレッチは、トレーニング前だけではなく普段から取り入れることをオススメします。
そのほかにも、全体に動きをつけるにはこちらを参考に、
肩甲背神経の元となる「頚椎の動き」をつけるならこちらを参考に
してもらえると、症状の緩和は早くなりますのでお試しください。
それでは、今日はここまで〜 次回、お楽しみに!