今回は「扁平足の原因になる、屈筋肢帯(くっきんしたい)の硬さ」について解説していきます。
「扁平足」には、大きく分けて2種類あり、
- 小学生の間にできるはずの、足のアーチが低い「扁平足」
- 後脛骨筋(こうけいこつきん)が働かずになる「後脛骨筋機能不全の扁平足」
があります。
「扁平足」は遺伝によるものが多く、「後脛骨筋不全の扁平足」は、筋肉が働いていないことで起こります。
ただ、どちらも改善することが可能です。
「なぜ扁平足になるのか?」を考えると、
- 筋肉がうまく働かない
- アーチを作る筋肉が、固まりすぎている
- 偏った負担のかかり方になっている
上2つの「筋肉が働かない・硬い」などは多くの扁平足で悩まれる方が、すでに「マッサージやストレッチを行って来たが、改善されていない」ことが多いとおもいます。
3つめの「偏った使い方」は、「足が回内した状態で強い負荷が加わる」ことです。
「歩行」などもそうですが、「スクワットでニーインする」「しゃがむと小指側が浮いてくる」といった方は、過度に負担をかけてしまっています。
「筋肉が働かず、硬い」「スクワットでニーインしたり、小指側が浮く」といった方の共通点に「屈筋支帯が固まっている」ことがみられます。
なので「屈筋支帯」に動きをつけると、悩みの種を改善するきっかけとなります。
では「屈筋支帯と扁平足の関係性」「屈筋肢帯の動きを良くする方法」について紹介していきます。
「扁平足の原因になる3つの筋肉」と「屈筋支帯」の関係性とは?
扁平足の主な原因は、
・アーチが低い
・後脛骨筋がうまく働かない
と冒頭で言いました。
この「扁平足と屈筋支帯」に関わりの深い3つの筋肉(腱)が、
・後脛骨筋腱
・長母趾屈筋腱
・長趾屈筋腱
の3つで、この筋肉(腱)はすべて「屈筋支帯の中を通過」します。
言葉のみでは、なかなかわかりにくいので「屈筋支帯」と共に見ていきましょう。
「屈筋支帯」は、青色の部分で、「踵骨〜内果(内くるぶし)」に付きます。
屈筋支帯は「中に入っている腱を安定させる役割」を持ちます。
ズボンで例えると「ウエスト部分が大きいズボンに、ベルトをしてズレないように安定させる」”ベルトの役割”が屈筋支帯です。
では「ベルトがきつすぎて苦しい・動けない」となるとどうでしょうか?
ズボンなら緩めればいいですが、「屈筋支帯」を知らないと緩めることも出来ません。
キツキツに縛られた状態では、動くものも動かないようになります。
そうなると「アーチの低下と後脛骨筋がうまく働かない」が起こります。
各筋肉がうまく働かないことで起こる悪影響を見てみましょう。
「アーチが潰れ扁平足になる」原因と理由 ”後脛骨筋”
後脛骨筋は、足のアーチの要である、
・内側楔状骨(ないそくけつじょうこつ)
・舟状骨(しゅうじょうこつ)
や、その他に細かい骨にも付着し「アーチを保つ役割」を持ちます。
このように、後脛骨筋は「アーチを作る足の骨」を安定させます。
この安定感が無いと、扁平足は治りません。
「歩行の足裏の痛みと扁平足」の原因と理由 ”長母指屈筋”
次は屈筋支帯を通る、「長母趾屈筋」についてです。
長母趾屈は、足首の運動にも関わり様々な役割を果たしますが、
「扁平足においても重要な役割」を果たします。
その重要な役割が「ウィンドラス機構」というもので、
「足の親指が上がったときに、アーチを高くする」といったものです。
「ウィンドラス機構」自体を直接行うのは、「足底腱膜」といった別の部分がメインになりますが、「長母趾屈筋」が硬いと、親指が上に上がりません。
実は、皆さんは無意識に「ウィンドラス機構」を行っています。
歩く動作では、つま先と同時に足指も上に上がり、踵から地面についています。
ただ「長母趾屈筋」が硬いと、親指が上に上がりにくいため「ウィンドラス機構」を放棄し、アーチが低いまま歩くので「足裏の疲労・痛み」につながっています。
「扁平足に多い足の回内」の原因と理由 ”長趾屈筋”
最後に3つめの「長趾屈筋」です。
足の指を曲げる作用の他に、もう1つ「扁平足を防ぐ役割」を持っています。
「足を回外させる」役割になります。
回外=「足をくじく方向」と覚えてもらうといいです。
屈筋支帯を通る「長趾屈筋」の動きが悪いと、足が「回内」しやすくなり、アーチの潰れる原因になります。
では、これら3つの筋肉が通過する「屈筋支帯」のベルトをゆるめるコンディショニング方法を紹介していきます。
扁平足の原因になる「屈筋支帯」の硬さを改善する”マッサージ・モビライゼーション”
- 「屈筋支帯」へのマッサージ
- 「長母趾屈筋」へのマッサージ
- 「後脛骨筋」のモビライゼーション
の3つの方法を行います。
まずは、動画で説明しますのでこちらを御覧ください。
次に、画像でも補足と解説をしていきます。
・屈筋支帯のマッサージ
①②屈筋支帯の位置を確認し、母指球でマッサージをします。
20〜30秒行いましょう。
③④圧をかけながら「円」や「縦」の刺激を与えます。
この母指球で、こねるようにマッサージする方法を「揉捏(じゅうねつ)」といいます。
「緊張を取る効果」や、「マッサージ部位の温度があがり代謝活性」を見込めます。
「屈筋支帯」の下には、「後脛骨動脈・静脈」「脛骨神経」といった、足先に向かう血管や神経がありますので、指先で強い圧を加えてのマッサージは避けましょう。
・長母趾屈筋のマッサージ
まずは、親指を片手で上げましょう。
そうすると足裏に腱が浮き出てきます。
それが「長母趾屈筋腱」です。
その「長母趾屈筋腱」に対して、強めの圧を親指でかけながらマッサージします。
腱に沿って行い、特に親指に近い側は固くなりやすいので入念に行います。
40秒〜60秒程度かけて全体をマッサージするようにしましょう。
・長母趾屈筋腱のモビライゼーション
次は「長母趾屈筋腱」に動きを付けていきます。
しっかりと圧をかけたまま、指を動かしましょう。
これも圧をかける部位を、下げながら合計40秒ほど行います。
・後脛骨筋のモビライゼーション
☓印を近づける感覚は、初めは難しいので手で補助するようにしましょう。
(☓印の場所は、「内果」と「舟状骨」です)
そして脛骨の内側に指をあて、収縮感を感じ取れればOKです。
「後脛骨筋不全での扁平足」の方は、この動作が特に難しく感じるかと思います。
ただ、後脛骨筋が働くことにより、「扁平足の改善」に大きく進歩するので辛抱強くやってみてください。
「扁平足」と「足裏の痛み」を治す3つの方法 まとめ
以上が「扁平足」に対する3つのアプローチ方法となります。
「扁平足は、1日で劇的に改善する!」ということは、絶対にありえませんが、
しっかりと筋肉の状態を整え、働くべき筋肉を働かすことで改善傾向は見られます。
そのなかでも、もっとも大切なことが「継続して行う」事です。
扁平足は、時間をかけての変化していったものなので、改善にも時間を要しますが、我慢強く行ってみてください。
また普段から
- 歩いていると足裏が疲れる
- スクワットで足裏の感覚が悪い
といった方にも、おすすめの方法になりますので、是非一度お試しください!
それでは、今日はここまで〜 次回おたのしみに!
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