今回は、「筋トレで首に力が入る」「筋トレで首が痛い」に対しての”改善方法”について解説していきます。
コンタクトスポーツをしている方以外で、「首を鍛える」ことは非常に珍しいと思いますが、「負荷を与えているつもりが無いのに、首が痛む」といったケースはよくあります。
原因としては、
- トレーニング中の「頚椎の向き」(過伸展)
- トレーニング中の「呼吸方法」
- 首の痛みとなる「筋肉の緊張」
が考えられます。
その中でも、
「頚椎の向き」で痛める場合は「過伸展」が多く、すぐに「寝違い」や「捻挫」のような痛みが出ます。
ただ、「慢性的なトレーニング中、トレーニング後の痛み」や「だるさ」は、「呼吸方法」と「筋肉の緊張」の影響が非常に大きくなります。
特に、
- トレーニング動作中に「顔が真っ赤」になる。
- 「バルサルバ呼吸」を多用する
- 「歯を強く噛み締めて」踏ん張ったり、粘る
など思い当たる方は、とくに「呼吸方法の失敗」や「筋肉の過度の緊張」が見られる可能性が高いです。
それらを改善する「正しい呼吸方法」と「首の筋肉のストレッチ」を紹介します。
- 筋トレで首を痛める原因 「首に力が入る間違ったバルサルバ呼吸法」
- ”首の痛みの原因を治す” 正しいバルサルバ呼吸の方法
- 筋トレで”首を痛める原因を治す” 広頚筋のストレッチ方法
- トレーニングで「首を痛める」原因を治す 「呼吸」と「ストレッチ」 まとめ
筋トレで首を痛める原因 「首に力が入る間違ったバルサルバ呼吸法」
ウエイトトレーニングでは、基本的に「バルサルバ呼吸」を用います。
なぜ「バルサルバ呼吸」が大切かと言うと、
- 腹圧・腰圧を高め「脊柱を守る」(怪我を防ぐ)
- 腹圧・腰圧を高めることで「力の伝達」を可能にする。
この2点の「大きなメリット」をもたらせてくれるからです。
そして「呼吸」の中でも「息を吸う」は、2パターンに分けられます。
「胸腔に息を溜める」と「腹腔に息をためる」の2パターンです。
どのような違いなのか?を画像で比較してみます。
「胸式呼吸」では、胸が膨らみ
「腹式呼吸」では、お腹が膨らみます。
”正しいバルサルバ呼吸”=「腹式呼吸」
”首を痛めやすい”=「胸式呼吸」になります。
その理由は、
- 「胸式呼吸」では、「努力呼吸筋」が使われやすい
- 「努力呼吸」をすることで、肩がすくみ首周りの筋肉が緊張する
といった2点が上げられます。
基本的に「息を吸う」ということは、「横隔膜と肋間筋」という筋肉が、息を吸う事のほとんどの仕事を行います。
「腹式呼吸」でも、横隔膜と肋間筋が上手く働くことで「横隔膜の下にある腹腔」に息が溜まります。
ただ、「努力呼吸」とよばれる「頑張って大きく息を吸う場合」に「胸式呼吸」になってしまうと「首・肩」まわりの筋肉が呼吸のメインになってしまいます。
その結果「腹腔」に息が溜まらず、「胸腔」に息が溜まり、「首周りの筋肉の緊張」に繋がります。
水色部分が「努力呼吸筋」です。
「首の痛み」や「だるさ」がある人は、この辺りではないでしょうか??
その「努力呼吸筋」を使わずに「バルサルバ呼吸(腹式呼吸)」をする方法を見ていきましょう。
”首の痛みの原因を治す” 正しいバルサルバ呼吸の方法
「正しいバルサルバ呼吸(腹式呼吸)」を行うには、2つのポイントがあります。
- 息の吸い方
- トレーニングベルトの使い方
の2つが簡単に行なえ、即効性の効果を発揮します。
さっそく「息の吸い方」からみていきましょう。
意識するポイントとしては、「口の形」になります。
おそらく多くの方が意識していないと思いますが、「首・肩の筋肉を使う、努力呼吸」では、大きく口をあけ、「ハーー」と吸い込んでいるはずです。
一度試してみてください。
「ハーー」と大きく吸い込むと、肩が上がってきませんか?
これが、胸腔に溜まる「努力呼吸」です。
「胸腔に溜まる努力呼吸」を極力無くすためには、どうすればよいでしょうか?
口を「ホの字」にして、鋭くお腹の下に吸い込んでください。
「下腹部」が膨らんできませんか??
これが、「正しいバルサルバ呼吸(腹式呼吸)」です。
「ホの字」で吸う呼吸法を「トレーニングベルト」にも応用します。
ベルトを下側に押し込むときは「お腹をへこませる意識」でやってもらうと、やりやすいと思います。
お腹がパンパンに張り、「首に負担をかけること無く、腹圧を高める」事が出来ます。
セットに入る前に行っておきましょう。
ビフォー・アフターも貼っておきます。
この「腹式呼吸+ベルトの使い方」がうまくなると、
- 怪我の予防になる
- パフォーマンスが上がる
- 首を傷めにくくなる
の3つのメリットがありますので、ぜひ実践してみてください!
「腹腔」のコンディショニング方法は、こちらの記事に書いています。
筋トレで”首を痛める原因を治す” 広頚筋のストレッチ方法
次は「筋肉の緊張からくる、首の痛み」を治す”ストレッチ”について紹介します。
冒頭でも言いましたが、
「歯を強く噛み締めて踏ん張る」は、首の痛みの原因になります。
「歯を噛みしめること」は、力も入りやすいですし、何も悪いことではありません。
逆に、「フリーウェイトで歯を噛み締めない事」のほうが危険です。
ただ、その状態を放置しておくことが「首の痛みの原因になる」ということです。
歯を噛みしめる事の対策としては、
- マウスピースをつける
- ケア(ストレッチ)をする
の2つしかありません。
「マウスピース」は誰でも用意出来るものではないので、「ストレッチ方法」を紹介します。
ストレッチする筋肉は「広頚筋」という筋肉です。
すごくマイナーな筋肉ですが、首まわりの動きに重要な筋肉です。
では、位置と、どんな作用があるか見ていきましょう。
「起始停止」を見てもらうとわかりますが、「鎖骨・三角筋・大胸筋」に関与します。
「トレーニングで、胸に効きにくい」という方は、「広頚筋も硬さ」も考えられます。
では、実際に「広頚筋」を意図的に収縮させてみましょう。
やり方は、口を「イィーー」とさせてみてください。
*わかりやすいように、画像では上を向いています。
首の前に張り出してくるのが「広頚筋」です。
画像のように「鎖骨」に触れながらやると、「広頚筋」の動きがよくわかります。
「スクワット・デッドリフト・ベンチプレス」などでは、基本的に「顎が下がっている状態」が多いです。
その状態で「イィーー」と力をいれて歯を噛みしめると「広頚筋」の過緊張で、”常に首が前に引っ張られている”状態になります。
この「広頚筋の過緊張」が、首の状態を悪くし、痛みの原因になることがあります。
では、広頚筋の過緊張を治す「ストレッチ方法」を見ていきましょう。
片方の手で「鎖骨の下」
もう一方の指で「顎下」を抑えます。
ストレッチの基本原則の「起始停止を遠ざける」をします。
指で顎を上に押し、胸を下に押さえましょう。
*もしこれで「首が痛い」「首の後ろが詰まる」などありましたら、指と手で押さずに顎を上に向けるだけでも、効果はあります。
そして「首が痛い・詰まる」という方は、「頚椎の動きが悪化」している可能性が高いので、こちらの記事の「頚椎エクササイズ」もお試しください。
余裕のある方は、「斜め方向」にもストレッチしましょう。
20秒程度伸ばし、2~3セット行いましょう。
トレーニングで「首を痛める」原因を治す 「呼吸」と「ストレッチ」 まとめ
以上が、首の原因を取り除く「呼吸法」と「ストレッチ」になります。
特に、
- フリーウェイト種目をよく行う
- 踏ん張る場面や、歯を食いしばる場面が多い
- バルサルバ呼吸を多用する
といった方は、ストレッチは必ず行うようにしましょう。
また「呼吸法×ベルトのセッティング」も動作の安定に繋がりますので、ぜひお試しください。
それでは、今日はここまで〜次回、おたのしみに!