今回はスクワットに重要な「足関節の動き」について書きます。
スクワットでは「腰痛」「膝の痛み」などの怪我が多く、その原因として「しゃがむと踵が浮く」ことが挙げられます。
踵が浮かなくても「しゃがむと重心がつま先に寄る」なども同じ類で、共通点は「足関節の動きの悪さ」がよく見られます。
これらは放置して良くなることはなく、自分の体に合ったストレッチやエクササイズを選択して改善する必要があります。
なので今回は、
・足関節の構造と踵が浮く原因
・改善のためのストレッチとトレーニング
の順で解説していきます。
しゃがむために必要な足関節の動き
まずは足関節の構造を見ていきます。
いわゆる「足首」と呼ばれる場所は「距腿関節」と言います。
距腿関節は「脛骨+腓骨+距骨」の3つの骨で構成された関節で、中でも距骨の動きがとても重要です。
足関節の運動と距骨の動きをセットで見ると、
足関節の背屈→距骨は距腿関節に入り込むような動き
足関節の底屈→距骨は距腿関節から飛び出る動き
このように足関節の運動にセットで距骨が動きます。
その中でしゃがみ動作は「足関節の背屈」に当たるので、距骨が距腿関節に入り込む必要があります。
ですが「しゃがみ動作」と「足関節の背屈」には
足関節の背屈→足裏が浮いている状態
しゃがみ動作→足裏が床と接している状態(足裏固定)
のように「固定されている場所」に違いがあります。
このことから、足裏が固定されたしゃがみ動作では距骨が動くのではなく「脛骨の前傾」が必要になります。
「脛骨の前傾」は距腿関節を中心として回転運動が行われ、結果的には距腿関節に距骨が入り込むのと同じ様な運動となります。
つまり、脛骨の前傾(足関節)の動きが悪いと「踵の浮き」に繋がるので、その原因と改善方法を
・足関節の動きが悪い例
・足関節の緩さで起こる例(捻挫歴がある方)
2つの視点から見ていきます。
足関節の動きをの検査方法
まずは足関節の動きを検査します。
①壁や柱から拳1個+指2本離れた位置につま先を合わせる
②踵が浮かないように膝を前に出す(脛骨前傾)
③膝が壁に付けばOK
この動きは「足関節の背屈可動域」と「脛骨の前傾」を見る検査で、膝が壁に付かない場合は硬いと言えます。
改善方法としてはストレッチが有効なので2種類紹介します。
足関節の動きを改善するストレッチ
下腿三頭筋のストレッチ
①つま先が高くなるように台やラックに足を掛ける
②体を前に倒し、ストレッチ側の足に体重を乗せる
③膝を伸ばした状態で、下腿が伸びれば20秒キープする
ヒラメ筋のストレッチ
①ストレッチ側の足を台の上に乗せる
②膝を曲げ、膝の上に腕を乗せる
③体全体を前に倒し、踵が浮かないように注意する
④下腿が伸びれば20秒キープする
上記のストレッチで脛骨の前傾(足関節の背屈)にアプローチ出来たので、次は距腿関節の関節運動をスムーズにするためのエクササイズを行います。
距腿関節エクササイズ
①つま先を下に向け、※距骨を触る
②距骨を指で押さえ、足関節を背屈する
③背屈と同時に、距骨が入り込む方向に指で圧迫する(矢印方法)
④15回繰り返す
※距骨の触診方法
①つま先を下に向け、内くるぶしと外くるぶしの間を触る
②指1本分つま先側にずらし、骨の膨らみを触る(距骨)
次に関節の緩さを改善するエクササイズを見ていきます。
関節の緩さを改善するエクササイズ
捻挫歴や生まれつき関節弛緩性がある場合、関節の安定感を高めたり、適切な動きの範囲内で制御する筋の働きが必要です。
その2種類の方法を紹介します。
前脛骨筋+足趾のエクササイズ
先程の「距腿関節のエクササイズ」の動きに加え、足首を上に上げた際に「足の指を上げる(背屈)」運動を加えます。
①つま先を下に向けて距骨を触る
②距骨を指で押さえ、足関節を背屈する
③背屈と同時に、距骨が入り込む方向に指で圧迫しながら足趾を背屈させる(矢印方法)
⑤15回繰り返す
「足首背屈+足趾背屈」を行うことで、距骨の入り込みを手助けします。
その理由に、筋の走行を確認すると「前脛骨筋と足趾の伸筋」は距骨の前を通過します。
2つの筋が収縮することで、距骨を関節内に入り込む手助けをするので、捻挫歴や関節弛緩性の方に多い「足関節背屈時のゴリゴリ音や詰まり感」の改善に有効です。
カーフレイズ
次は、脛骨の前傾を制御出来ない場合の対策です。
フォーム面以外にも関節弛緩性があると「しゃがんだ際に重心が前にズレる」ことがあります。
しゃがみ動作では「脛骨の前傾」は筋の要素でも制御され、主に「下腿三頭筋」が働きます。
下腿三頭筋の働きとしては「脛骨が前傾し過ぎないようにブレーキをかける」役割で、
脛骨前傾の動きに対して「遠心性収縮」として働きます。
制御する筋に刺激を入れるには「カーフレイズ」がオススメです。
カーフレイズのやり方
①少し体を前傾し、壁にもたれかかる
②足の指の付け根で地面を蹴り、足関節を底屈させる
③ゆっくりと元の位置に戻し、②を繰り返し15~20回スクワット前に行う。
スクワットと踵の浮き まとめ
以上が「足関節の構造から考えるスクワットと踵の浮きの関係」になります。
「足首が硬いからストレッチすると改善する」とは良く聞くと思いますが、脛骨の前傾を制御できないパターンも多く見られます。
もちろん下腿三頭筋の働きだけではなくフォーム面に問題があることも多いですが、多方向から考えることでアプローチの種類が増えるので、ぜひ今回の方法を試して見て下さい。
フォームの修正は下記動画をご覧ください。