今回は「デスクワークで起こるベンチプレスの怪我の原因」について書いてきます。
ベンチプレスで手首、肩などを痛める原因としては、
・バーを乗せる位置のミス
・手首を立てている
・脇が極端に開いている
などが多く見られますが、その原因の中で
「デスクワークの姿勢」が根本原因になっている可能性もあります。
デスクワークといえば、
「猫背」「ストレートネック」「巻き肩」などはよく知られていますが、『前腕への悪影響』についてはどうでしょうか?
ブログを書いている筆者が言うのもなんですが、
長時間のパソコン作業、事務作業を続けると「前腕が酷使」され、手首の動きが悪くなり痛みの原因となります。
では「前腕の悪影響で起こるベンチプレスの怪我」について見ていきましょう。
※「バーを乗せる位置のミス」「手首を立てることでの痛み」についてはこちらの動画で解説しています。
ベンチプレスとデスクワークの共通点
まずは、2つの共通点を見ていきます。
画像のように
・前腕回内(親指が体の内側を向いている)
・手首の背屈(手の甲側に反っている状態)
2つの共通の動きがあります。
「回内+背屈」自体に問題は無く、問題点は「同じ姿勢(回内+背屈)でいる時間の長さ」になります。
ベンチプレスでは僅かな時間ですが、デスクワークは「長時間」になり、長時間同じ姿勢を保つことで、前腕、手首の動きがかなり悪くなります。
悪くなる根本原因を知るために、
・前腕回内はどのように動いているのか?
・動きが悪化することでの、ベンチプレスの影響
について解説していきます。
前腕の回内動作に重要な「橈尺関節」とは?
まず、前腕は「橈骨」「尺骨」の2本の骨で出来ています。
その2本の骨が「肘の近く」「手首の近く」で関節となり、
・肘側=近位橈尺関節(きんいとうしゃく)
・手首側=遠位橈尺関節(えんいとうしゃく)
となっています。
この関節が動くことで、前腕の回内が可能になります。
そして「前腕の回内」では、2つの関節の「橈骨の動き」が重要になります。
橈骨の動きを紹介を見ていきます。
前腕の回内での「橈骨の動き」は、
・近位橈尺関節:スピンムーブメント(橈骨が「その場で回転」している)
・遠位橈尺関節:ワイパームーブメント(尺骨を乗り越えるように反対側に移動する)
2つの特徴を持ちます。
そして、「デスクワークで酷使される筋肉」が原因で「橈骨の動き」が制限されやすく、前腕の回内の動きに支障が出ます。
では、橈尺関節の動きを制限する筋肉を紹介します。
前腕の動きを制限する筋肉
「近位橈尺関節」を見ていきます。
※近位橈尺関節での「橈骨の動き」は「スピンムーブメント(回転)」
近位橈尺関節では、「橈骨輪状靭帯」という、橈骨を「輪っかのような靭帯」が囲っています。
「橈骨輪状靭帯」は「前腕回内の時に、橈骨がスムーズに動けるよう少し「遊び」をもたせる」という役割を持ちます。
遊びを持たせる条件の1つが「総指伸筋」に柔軟性があることです。
「総指伸筋」とは、「手首を背屈」させたり「指を上にあげる」
いわば、キーボードを打ち込むために使う筋肉です。
つまり、
「長時間のパソコン作業→総指伸筋使いすぎ→橈骨輪状靭帯の動き悪くなる→前腕回内制限」
といった最悪の悪循環が生まれます。
前腕の回内制限とベンチプレスでの肩、肘、手首の悪影響
ここでは、ざっとですが「前腕の回内制限」で起こる「代償動作」を紹介します。
皆さんも是非試してみて下さい。
特に、ベンチプレスのスタートポジションでやってもらうとわかりやすいです。
肩:内に捻って(肩内旋)見せかけで、前腕が回内する
肘:外に張り出して曲げることで、見せかけでバーの乗る位置を合わせる
手首:回内しないと前腕の延長線上にバーが乗らないので、バーを握り込み、手首が立つ
これらの「代償動作」が出ると「脇が開く」ことになりやすく、肩の大きな怪我につながりやすくなります。
他にも、
肘を曲げる上腕筋などが緊張しやすく「肘の痛み」の原因に。
バーが手の中で転がりやすく「手首の痛み」の原因に。
など、前腕の動き1つでも多くの怪我の原因になります。
なので根本原因を改善するためにデスクワークを辞める・・・
とも行かないので、「日常のストレッチ」がとても重要です。
では、簡単にできるストレッチ方法を動画で紹介します。
デスクワーク、ベンチプレスの怪我予防のストレッチ
こちらで紹介している「前腕のストレッチ」がオススメです!
※再生してもらうと前腕のストレッチから始まります。
ベンチプレスの怪我とデスクワークの関係 まとめ
以上が「デスクワークでなりやすいベンチプレスの怪我」です。
今回はベンチプレスとの関連について書きましたが、腰痛の原因にもなり、
デスクワークに限らず、「同じ姿勢が長く続く」ことは体にとって良くありません。
意識的に15分〜30分に1回、姿勢を変えるために体を動かしたり、合間をみてストレッチを入れるのが良いです。
デスクワークの前腕ストレッチは、最低でも「朝・昼・晩」の3回やることで、かなり疲労状態が変わります。
「仕事中にそんな余裕ない!」という方は、肘を伸ばして手首を下に向けるだけで、動かずともできるので、是非試してみて下さい。
それでは今日はここまで!次回、お楽しみに〜
デスクワークで腰痛がある方はこちらがオススメ