今回は「後頭神経痛」について書いていきます。
後頭神経とは、首の後ろ〜頭頂部に向かって走行する神経で、何らかの原因で神経に負担がかかると「頭痛」として症状が現れます。
「何らかの原因」で多いのが、
・ベンチプレス中、デットリフト後に首や頭が痛む
・デスクワークの時間が長い
・猫背気味や、首が前に突っ込んだ姿勢
など、日常生活〜トレーニングにおいて影響を受けやすく、慢性化すると改善に時間がかかると言われています。
なので今回は、慢性化する前に防ぐために
・後頭神経と頭痛について
・トレーニング、日常生活と後頭神経の関係
・改善のためのストレッチとエクササイズ方法
を紹介していきます。
2種類の後頭神経と頭痛の原因とは?
まずは2種類の「後頭神経」から見ていきます。
後頭神経には「大後頭神経」「小後頭神経」に2種類があり、いずれも「第2頸椎」から枝分かれした神経です。
第2頚椎から分岐後、「大後頭神経は後頭部〜頭頂部」「小後頭神経は耳に近い後頭部」へと走行します。
この2つの後頭神経の両方、あるいはどちらかに大きな負担がかかる際に「神経の走行に沿った後頭部の頭痛」が起こりやすく、「筋の過緊張」「頚椎の負担」などが主な原因となります。
それらの原因について詳しく見ていきます。
大後頭神経の痛みと頭半棘筋の関係
筋の過緊張が起こることで「大後頭神経痛」が起きやすく、その理由の1つに「筋肉の間を神経が走行している」ことが挙げられます。
「頭半棘筋」は
起始:第3頚椎〜第6胸椎横突起
停止:後頭骨
となり、第2頚椎から分岐して後頭部へ向かう際の「大後頭神経」が、頭半棘筋の間を通過します。
頭半棘筋の主な作用は、首を後ろに反らす「頚椎の伸展」です。
猫背や巻き肩などの姿勢が長時間続くと、頭半棘筋は「前に倒れる頭を支える(頚椎の伸展)」ため、「過緊張」の原因となります。
次に2つの後頭神経に関わる「頚椎の特殊構造」について見ていきます。
環椎と軸椎の運動
頚椎は7つの椎体から構成され、その中でも「第1頚椎と第2頚椎」は、他の頚椎3番〜7番と比べ特殊構造をしています。
特殊構造から他とは名前が違い
「第1頚椎=環椎(かんつい)」「第2頚椎=軸椎(じくつい)」
と呼びます。
環椎は「輪っか」のような形をし、軸椎は「歯突起が輪っかにハマる形」となります。
※歯突起:一番右画像の軸索の短い棒のようなもの
このような環椎と軸椎の関節を「環軸関節」といい、頚椎の中でも特に「回旋」の運動に大きく関わり、屈伸にも関与します。
回旋運動は「捻り運動」になるので、例えば首が左に捻られた姿勢が日常で続くと「右の後頭神経」に伸張が加わるので、頚椎の構造からも「後頭神経痛」の可能性があります。
次に「トレーニングと後頭神経痛の関係」について見ていきます。
ベンチプレスで起こる頭痛と後頭神経の関係
まずはベンチプレスから見ていきます。
ベンチプレスでは必ずアーチを作る必要があり、その中で5ポイント(後頭部+背中+お尻+右足+左足)が、ベンチ台と接地している必要があります。
中でも後頭部と背中をベンチ台に付ける動きは「頚椎の屈曲」となり、本来頚椎の持ってる「生理的前弯が消失」している形となります。
極端に「顎と胸を付ける意識」を無くすことで、頚椎へかかる過度な負担を減らすことが出来ますが、屈曲位が続くことは「頭半棘筋の拘縮」に繋がります。
※「拘縮」とは筋緊張などで動きが悪くなり、関節の動きにも悪影響を及ぼすイメージ
とはいえ、他の怪我のリスクを考えると「アーチを作らない」という選択肢は無いので、必ず首のケアが必要となります。
デットリフトで起こる首の痛みとフォームの関係
次にデットリフトです。
デットリフトでの首の痛みは大きく分けて
・ファーストプルで首が上を向く
・オルタネイトのグリップミス
に分かれます。
特にファーストプルで首が上を向くと「頚椎の伸展」が急激に起こり、頚椎に負担がかかるとと共に、頭半棘筋の強い収縮が加わり、過緊張の原因にもなります。
フォームの改善意識としは、数メートル手前に目標物(ペットボトルなど)を置いてもらうことも大切ですが、首の上がりは無意識かつ高重量の際に起こりやすいので、特に注意が必要です。
これらの要因から「日常生活+トレーニング」で負担のかかりやすい「頭半棘筋」のケア方法を紹介していきます。
頭半棘筋のケア方法
ケアというと「ストレッチ」などが真っ先に浮かぶと思いますが、頭半棘筋をピンポイントでストレッチすることは難しいので、「頚椎+胸椎の動きを付ける方法」「頭半棘筋を圧迫しながら動きをつける方法」を紹介していきます。
頚椎+胸椎エクササイズ
後頭神経痛が出る原因の中でも、特に「猫背、巻き肩」などの日常生活の不良姿勢がある方はこのエクササイズを取り入れてみて下さい。
画像では大げさに表現していますが、日常生活の不良生活があると「頭が前に突っ込む形」となり、頚椎屈曲位(前弯消失)し、さらに胸椎の生理的後弯も大きくなります。
この状態では「後頭神経痛」はもちろん、その他の疾患の原因にもなるので、改善のためエクササイズを紹介します。
画像のように、「顎を引く+胸を張る」動作を同時に行ってください。
胸を張る際は、腰を反らないように
顎を引く際は、二重顎を作るように
意識しながら行い、最終的に「耳のすぐ後ろと肩峰が一直線(緑点線)」になる位置まで行います。
15回1セットで良いので、1日の中で思い出したタイミングで何回も行って下さい。
頭半棘筋を圧迫しなたがら動きを付ける
このエクササイズは特に「ベンチプレス、デットリフトで首が痛い」方にオススメです。
まずは「ポジションボール」を用意します。
ポジションボールを「第2頚椎」付近に当てます。
その後、当てたまま上向きに、寝転びボールが動かないように手で押さえ「顎を引く→上げる→引く→上げる」を繰り返します。
ゆっくりと動作を行い、10往復1セット行いましょう。
後頭神経痛と改善方法 まとめ
以上が「日常生活とトレーニングにおける後頭神経痛と改善方法」になります。
今回紹介した頭痛の他にも首、頭の痛みは沢山あるので、一度医療機関を受診してもらい、筋の緊張が原因であれば試してみてください。
そして、トレーニング中に痛みがある場合は根本的にフォームを見直すことが重要です。
フォームに関しては有料にはなりますが、どの動画や記事よりも詳しく書いているので「怪我や痛み」に悩んでいる方は是非参考にしてみてください。
それでは今日はここまで!次回お楽しみに〜!
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