今回は「肘の痛み(肘関節インピンジメント)」について解説していきます。
肘の痛みには様々な種類がありますが、
「伸ばした時に肘の後面に痛みが出る」
といった場合は、肘のインピンジメントを起こしている可能性があります。
特に、
・投球動作のリリースのタイミングで痛みが出る
・ベンチブレスの押し切る場面で痛みが出る
という方は疑いがあります。
肘のインピンジメントを無視して運動を続けると、
肘の骨の変形や、治るまでの期間をかなり遅らせることになります。
なので今回は、
・肘関節のインピンジメントとは?
・肘関節インピンジメントへのアプローチ方法
について見ていきましょう。
肘関節の痛みの原因 インピンジメントとは?
インピンジメントとは、
「何らかの原因で、動く関節に組織が挟み込まれること」を指します。
肩のインピンジメントや股関節のインピンジメントが有名ですが、肘にも起こります。
肘のインピンジメントとして多く見られるのが、
「肘を伸ばした時の、肘の後面の痛み」です。
これは肘の関節部分の「肘頭」と「肘頭窩」の間に何かしらが挟まれいる可能性があります。
挟まれている「何かしら」は主に、
1. 骨軟骨生要因
2. 軟部組織性要因
の2つの要因があります。
「骨軟骨性要因」とは、
肘頭や肘頭窩に骨棘(骨の変形)ができたり、関節内にネズミが存在することです。
この場合は、外科的な手術などが選択されることもあるので、あまり痛みが長引いたりしている方は、病院に受診することをオススメします。
「軟部組織性要因」は、
肘関節後方の「軟部組織」が挟み込まれることが原因になります。
挟み込まれることが多いのは、
「肘関節の後方関節包」と「肘関節の後方脂肪体」の2つになります。
では、
「後方関節包」と「後方脂肪体」がインピンジメントを起こす理由を、肘の解剖学と共に見ていきます。
肘の解剖学とインピンジメントが起こる原因
「後方関節包」と「後方脂肪体」のと肘の動きを見ていきます。
このように正常な伸展動作では、挟み込み(インピンジメント)をうまく回避します。
挟み込みを回避させるために必要な働きが「上腕三頭筋内側頭の機能」です。
「上腕三頭筋内側頭」は、関節包に付着していて肘伸展時に、関節包、脂肪体が挟まれないように誘導する役割があります。
*厳密には、脂肪体が関節包を押し上げ、関節包が背側上方移動し、空いたスペースに脂肪体が移動することでインピンジメントを防ぎます。
「上腕三頭筋の内側頭が働く=インピンジメントを防げる可能性が高い」
と覚えていおきましょう。
なので、
上腕三頭筋の内側頭が機能しない(硬い、癒着がある)と、肘関節のインピンジメントの原因となります。
では、
「上腕三頭筋の動き、肘インピンジメントを改善するアプローチ方法」を紹介します。
肘インピンジメントを解消する上腕三頭筋へのアプローチ方法
上腕三頭筋内側頭へのアプローチの
1. 癒着を取り、動きを改善するためのマッサージ
2. 関節包、脂肪体と連動して働かすための運動療法
この2種類について見ていきます。
上腕三頭筋の動きを改善するマッサージ
まず、上腕三頭筋内側頭の位置を確認しアプローチしていきます。
捻るときのポイントが
「圧迫している指だけ捻り、上腕骨は固定しておく」ことです。
指の捻る方向に上腕骨を捻ると、ただ圧迫して上腕を動かしているだけになってしまいます。
GIFで細かい動きを確認します。
このように圧迫しながら捻り「癒着を剥がすイメージ」で行ってください。
圧迫の強さは、少し痛い程度の「強め」でいいと思います。
関節包、脂肪体の連動を出すアプローチ方法
次にインピンジメントを起こさないために
・「関節包、脂肪体」を適切な位置に誘導
・三頭筋内側頭の機能の活性化
をおこなっていきます。
「下に引っ張る理由」は、
上腕骨から内側頭を引き離すことで、同時に関節包、脂肪体が「肘頭窩」から引き離されます。
*内側頭が関節包に引っ付いているので、同時に引っ張られるため
引き離された状態で、内側頭に刺激を入れることで「関節包、脂肪体」の連動が上がるので、引っ張ったまま「肘の屈伸運動」をおこないます。
肘の屈伸15回を2セット程度行うようにしましょう。
肘の痛みの原因 インピンジメントまとめ
以上が、肘のインピンジメントを解消するアプローチ方法になります。
トレーニングでプレス系のメニューを多く行い、ケアを怠ると肘の細かい動きの乱れが出てインピンジメントの原因になりますので注意しましょう。
痛みが長く続き、改善がない場合は「骨性要因」の可能性もありますので、その時は整形外科など受診してもらうことをオススメします。
また「肘筋」も肘の動きに大きく関わり、肘の痛みの原因になりますので、こちら記事にあるアプローチ方法も同時に試してもらうと良いです。
それでは今日はここまで!次回、お楽しみに!
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