今回は「シュラッグ」を紹介していきます。
「シュラッグ」は”僧帽筋上部繊維”を鍛える種目!として多く知られていますが
実はこの「シュラッグ」には、”ベンチプレスを大きく飛躍”させる要素が、これでもか!というくらい含まれています。
その「シュラッグ」の良さを最大限活かすためには、いくつかのポイントがあります!
そのポイントを実施するだけで「今までのシュラッグとは全然違う」といった感覚になる方も多いと思います!
なので(肩甲骨・胸郭・肋骨)の動きが悪い方や、「巻き肩」「 ベンチプレス愛好家」「ラグビー」などのコンタクトスポーツをしている幅広い方に、オススメですのでこれから「正しいシュラッグ」を見ていきましょう!
〜目次〜
- 「シュラッグ」がベンチプレスに活きる”フォーム”と”ポイント”
- その1 「肩甲骨上方回旋」を誘発し、肩甲骨の動きを良くする
- その2 「肋骨」「胸郭」の動きが良くなり体の連動が上がる
- その3 「バルサルバ呼吸」で硬くなった筋の緩和
- その4 ベンチプレス時の「土台の安定化」
- ベンチプレスを飛躍的に伸ばす「シュラッグ」まとめ
「シュラッグ」がベンチプレスに活きる”フォーム”と”ポイント”
まず「シュラッグ」の基本動作+ポイントを見ていきましょう!
その1 「肩甲骨上方回旋」を誘発し、肩甲骨の動きを良くする
バーベルを握り、手幅は肩幅よりやや広く持ちます。
従来の「シュラッグ」では、赤矢印の「肩甲骨挙上」という動きにをメインに行いますが、「肩幅より広く持つこと」で、バーに掛かる力が上下のみでは無くなるため、水色矢印の「肩甲骨上方回旋」の動きが出しやすくなります。
そして、もう一つ重要なポイント「肩甲骨の動かす方向」になります。
右側のBADでは、前に肩をすくめ、ほとんど「肩甲骨挙上」のみの動きになっています。
対して左側のGOODでは、「肩甲骨挙上・上方回旋」が共に行われやすい角度になっており、「僧帽筋中部」も働きやすくなるので、より肩甲骨の動きの活化に繋がります!
*挙上の際に、顎を少し手前に引くとGOODの方向に引きやすくなります!
この「肩甲骨上方回旋」の動きが非常に重要です。
ベンチプレスでは「肩甲骨下方回旋」の動きばかりになります。
そこで、逆方向の動きを入れてあげることで、肩甲骨周りの筋肉が、より大きな可動域で動かせることにより、「肩甲骨の動きが良くなる」ことに直結します。
「巻き肩」や「ラグビー」などのスポーツをされている方は、特に「僧帽筋の筋の硬直」がみられやすいです。
筋肉が硬い状態で固まり「本来動くべき範囲」が動けなくなります。
それを、この「シュラッグ」を用いることで、
「ボトムポジション」では”筋肉に対してのストレッチ効果”
「トップポジション」では”収縮による血流促進と動きの改善”
が見られので、是非取り入れてみてください!
その2 「肋骨」「胸郭」の動きが良くなり体の連動が上がる
その1では「肩甲骨の動き」や「挙上方向」などトップポジションにおける動作が大事でしたが、次は「ボトムポジションでの呼吸」が重要となります。
まずは「ボトムポジションでの呼吸」により、「肋骨」「胸郭」の動きを良くする方法を見ていきましょう。
ピンク線:基準線(第7頚椎)
赤線・水色線:「肩峰の位置」
「点線の位置の差分」だけ、「僧帽筋」を中心に肩甲骨周りにストレッチがかかっています!
ポイントは、できるだけ「なで肩」になるように肩を落とす!ことです。
ただもっと重要なことがあります!
それはボトムで大きく息を吸う事!です。
画像を比較してもらうと、右側は、体の中心が丸くなり、中心が膨らみ「風船」のような形になっているかと思います。
この体の中心が膨らみ「風船」になることが大事です!
この「風船」になることで「肋骨」と「胸郭」に動きが大きくつきます。
水色:バーベルの重量方向
赤色:呼吸時の「肋骨」の動き
大きく呼吸する「風船」状態を作ることにより、赤矢印の方向に「肋骨」が開いていきます。
ここに、水色矢印のバーの重量が加わることで、更に「肋骨」が開きます。
「肋骨」が開くことにより、右側画像の「肋骨の間にある筋肉」に対してもストレッチ効果が得られます。
この筋肉は、普段の「猫背」姿勢などでも動きが悪くなりやすい場所ですが、自分でなかなか気づくことはありません。
その「肋骨の間にある筋肉」に、ここまでのストレッチをかけ、動きを出すことは他の種目ではなかなかできません。
「胸郭」と「肋骨」は体の中心部にあり、動きが悪いと「他の関節」の動きの連動も悪化させるので、必ずボトムポジションで「息を大きく吸いストレッチをかけてあげる」ことが大事です!
実際に、ボトムポジションで大きく息を吸った時に、「肋骨」に伸張感などを感じれると良いですね!
その他にも「胸郭」のセルフケアにつきましては、こちらの記事に書いています。
その3 「バルサルバ呼吸」で硬くなった筋の緩和
BIG3などの「コンパウンド種目」に欠かせない呼吸が、「バルサルバ呼吸」になります。
ベンチプレス安定化のための「バルサルバ呼吸の理論」についてはこちら
ベンチプレスにおける「バルサルバ呼吸応用編」はこちら
に書いていますので、是非一度目を通してみてください!
「バルサルバ呼吸」の「腹圧」を高める際の、重要なポイントとして
”努力呼吸筋をなるべく使わない”という点があります。
この「努力呼吸筋」というのは大きく息を吸ったり、吐いたりする時に使われるのですが(肋骨・胸郭・横隔膜)などの動きが悪くなると、”首の筋肉を使って呼吸”をしてしまいます。
「努力呼吸筋」をなるべく使わないようにする方法は、大きく深呼吸をして、お腹に空気を溜めるイメージです!
「胸」の部分が膨らまないように注意します。
いわゆる「腹式呼吸」ですね!
この呼吸の際に気をつけて欲しいのが、口を「”ホ”の字」にして大きく息を吸います!
なぜかと言うと、
「”ハ”の字で呼吸」をすると「努力呼吸」といい、首の筋肉をメインに使い呼吸をしてしまいます。
一度試してみてください!
”ハ”の字で大きく呼吸すると、肩がすくみませんか?
この、すくみは(肩・肩甲骨・胸椎・肋骨)などなど
すべての動きの邪魔になりますので、気をつけましょう!
とはいえ「バルサルバ呼吸」ではなるべく「努力呼吸筋」を使わないように意識はしますが、必ず使われます。
そして「努力」しているのですから、疲労が溜まりやすく、首まわりの不調の原因になります。
「不調の原因例」として
- 首に詰まり間がある
- 首・鎖骨周りの筋が硬くて動かしくい
- 首・鎖骨・上肢あたりに痛みや、しびれがある
などといった症状がある方は、かなり疲労や筋の状態悪化が考えられます。
ですが、その改善策として「シュラッグ」は非常に優秀です。
まずは、「不調の原因例」から見ていきましょう。
「不調の原因」1・2では、左側の首周りの筋肉の動きを良くすれば改善することが多いです。
「シュラッグ」のバーの重量と、「風船」により筋緊張は緩和されます。
ただ問題は3の症状がある場合です。
”胸郭出口症候群”という言葉を聞いたことはありますか?
筋肉の間や、鎖骨の下を通っている「腕神経叢」といった神経の固まりがあります。
そして、右側の赤丸印は「腕神経叢」が絞扼(圧迫や締め付け)されやすい場所になります。
そこで絞扼を受けると「神経症状」が出現し、”痛み””しびれ”などの症状がでます。
絞扼の受けやすい4つのポイントは
- 「斜角筋」通過部
- 「鎖骨下」通過部
- 「小胸筋」通過部
- 「肋鎖間隙」通過部
となります。
なにやら難しい言葉も出てきていますが、この4つの絞扼ポイントに共通する事は「首の筋肉と呼吸の影響を非常に受けやすい」といったことです。
このような「神経症状」が出ている方は、高重量のシュラッグは絶対に行ってはいけません。
何故かと言うと、過度の重量負担は「神経通過部」の道を狭くし「絞扼」を強めることになります。
では、どうすればよいのか?
「軽い重量のシュラッグ」を行ってみてください!
20回楽々出来る程度の重量で十分です!
そのときにも、いままでの注意点を必ず意識することを忘れないでください!!
軽い重量で行うことで、「絞扼」部位の筋肉を軽い刺激で動かすことができ、「血流の改善」により筋緊張緩和や可動域向上が見込め、「絞扼」部位の緩和が望むことができます。
普段から「バルサルバ呼吸」を多用する方で、(肩・肩甲骨・胸椎・肋骨)の不調がある方は、是非自身の状態にあわせて試してみてください!
その4 ベンチプレス時の「土台の安定化」
これは「シュラッグ」のトレーニング効果として大きい恩恵です。
僧帽筋上部・中部が鍛えられる事により、ベンチプレス時の「接地面」の拡大と安定化が見られます。
「土台が安定」することにより、「筋出力の向上・動作の安定化」といった怪我防止・パフォーマンスアップに重要な役割を果たしてくれます。
ベンチプレスを飛躍的に伸ばす「シュラッグ」まとめ
以上が「シュラッグ」の紹介となります。
「シュラッグ」は僧帽筋上部のトレーニングと捉えられがちですが、方法や一工夫を加えることで、体の動きを良くする様々な効果をもたらしてくれます。
バーベルでの「シュラッグ」は高重量を扱いやすいでが、大切なことは「丁寧な動作」です。
「ボトム」に下ろしながら大きく「呼吸」を行い、
「トップ」では「挙上と上方回旋」をセットでおこなうイメージで行いましょう。
10〜12回 3セットくらい「丁寧」に行うといいと思います!
それでは今日はここまで〜
次回、【インクラインダンベルプレス】肩が痛くても出来る!理にかなったフォームと方法は?お楽しみに!