今回は投球動作、ベンチプレスで起こる「肘部管(ちゅうぶかん)症候群」 について書いていきます。
「肘部管症候群」とは、肘の裏を通過する神経が「何らかの原因」で圧迫され
・肘から先に電気が走るような感覚
・しびれたり、握る力が入りにくい
といった症状があり「小指、薬指」に起こります。
「投球動作」の多いピッチャーでは、
・試合の後半になると手に力が入りくい
・手が冷たいような感覚がある
「ベンチプレス」の動作では
・ボトムポジションで、肘〜小指にかけて電気が走る
・重量が重くなると症状が強くなる
などがあれば「肘部管症候群」の疑いがあります。
なので、今回は
・「肘部管症候群」について
・「肘部管症候群」の改善方法
を紹介していきます。
*上記の症状がある場合は、まず病院を受診していただくことを勧めます。
神経が圧迫されることで起こる【肘部管症候群】とは?
まずは「肘部管症候群」について説明します。
冒頭でも書いたとおり、
『肘部管症候群』とは、肘の裏を通過する「尺骨神経」が「何らかの原因」で圧迫され、症状が出ている状態です。
尺骨神経が圧迫された症状は「机の角に肘をぶつけた」「肘の裏にデコピンをした」ときに起こる「指先に電気が走るような感覚」で、誰しもが経験したことがあると思います。
上記の場合は一過性ですが「何らかの原因で継続的に圧迫」されることで、常に症状が出るようになります。
その「何らかの原因」で多いのが
・滑車上中靭帯
・オズボーン靭帯
この2つの靭帯に圧迫される例が多く見られます。
「滑車上中靭帯」は、尺骨〜上腕骨内側上顆に付く靭帯です。
「オズボーン靭帯」は、尺側手根屈筋の「2つの起始部」の間にある靭帯です。
上の画像を見てもらうと、尺側手根屈筋は
・上腕骨内側上顆
・肘頭の内側側の尺骨
の2つの起始があることがわかります。
この2つの靭帯の下を通る「尺骨神経」が圧迫を受けることで症状が出ます。
では、投球動作、ベンチプレスにおいての「症状がでやすい場面」について見ていきましょう。
【肘部管症候群】投球動作とベンチプレスの影響
投球動作、ベンチプレス動作中の症状が出やすい場面の共通点として「尺骨神経が圧迫されやすい肢位」が関係しています。
その肢位が「肘屈曲+前腕回内」になります。
「尺骨神経」に負担のかかりやすいのが画像の2つの場面になります。
投球動作では、
・リリースで力が入りにくい
・投げたときに電気が走る、手が冷たくなる
ベンチプレスでは、
・ボトムで小指側に電気が走る
・動作中に肘周辺に気持ち悪い感覚がある
なども特徴として見られます。
簡単な「肘部管症候群」の検査方法としては、
「肘を最大屈曲して前腕回内で30秒キープする」方法があります。
30秒以内に小指側にしびれ、嫌な感覚などがあれば「肘部管症候群」が疑わしくなります。
では「肘部管症候群」の疑いに対してのセルフケアを紹介します。
肘・小指側のしびれに対するセルフケア方法
セルフケアを紹介する前に1つ重要なことがあり、
「肘部管症候群」に対する自分でできるアプローチ方法はかなり少ないです。
冒頭でも病院受診を勧めた理由は上記以外にもあり、状態が悪いと「手術適応」になることもあります。
・症状が強く出ている
・一向に改善傾向なく長引いている
方は「いつか治る」ではなく受診してください。
では、数少ない自分でできる「ケア方法」を紹介します。
原因になりやすい「滑車上中靭帯」「オズボーン靭帯」に直接アプローチすることは難しいので、オズボーン靭帯と密接な関係があり、尺骨神経がその下を通る「尺側手根屈筋」に対するアプローチをします。
アプローチ方法としては
・マッサージ
・ストレッチ
の2つになります。
根本的な「尺側手根屈筋の筋緊張」を改善することで、オズボーン靭帯の動きが良くなる可能性があります。
*特に投球動作で固くなりやすい筋肉
「尺側手根屈筋」を触る方法は
手首を掌屈、尺屈させると指で抑えている部分が盛り上がるので、そこが「尺側手根屈筋」です。
「尺側手根屈筋」が確認できるとマッサージをします。
「指で圧迫をかけながら円を描くように」筋に沿ってマッサージします。
圧迫する強さは気持ち良い程度で、3往復くらい行いましょう。
次に「ストレッチ」を紹介します。
このような形で「20秒間ストレッチ」します。
投球障害、ベンチプレスと肘部管症候群 まとめ
以上が、肘部管症候群に対するセルフケアになります。
筋のアプローチでどこまで改善するかはわかりませんが「尺側手根屈筋」や、それに関与する「オズボーン靭帯」が原因であれば、筋の状態をよくすることで圧迫が無くなり、改善する可能性もあります。
特に、投手にとって「尺側手根屈筋」は、普段の投球動作からも負担がかかりやすく、状態が悪いと「内側上顆剥離骨折」の原因にもなり、いわゆる「野球肘」になるので、肘部管症候群ではなくとも普段からケアしてあげることが大切です。
*筆者は野球肘になったときには、筋の状態は最悪でした。
そして忘れないでほしいのが、症状がひどくなったり、収まる様子がなければ必ず病院に行ってください。
それでは今日はここまで!次回、おたのしみに!
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